今月のインタビュー

医療・福祉のあらゆる分野の第一人者の方々に、ご専門分野に関する現状・課題・今後の展望などをおうかがいする「今月のインタビュー」。
多くの看護師、医療従事者の方々にとって"目指すべき医療とはなんなのか"を考えるきっかけにしていただけるよう、毎月テーマを厳選してお届けします。

第126回 2013/10

支え合いのある地域づくりを目指して -栃木県 高齢者サロンの取り組み-

高齢者にとって、住み慣れた環境で安心して暮らすために身近な地域の住民との“ふれあい”は欠かせません。ところが、一人暮らしであまり地域との交流のない方や引きこもりの高齢者が増えているという現実もあり、地域における支え合いの体制づくりが求められています。「高齢者サロン」は、高齢者をはじめ地域の皆さんが気軽に立ち寄れる場として、全国で増加している注目の場所です。高齢者の介護予防のための活動や健康づくりの場としても活用されている高齢者サロンについて、栃木県庁の職員の方にお話を伺いました。

栃木県保健福祉部高齢対策課 生きがいづくり担当  課長補佐
栃木県保健福祉部高齢対策課 介護保険班 市町村支援チーム  課長補佐
薄井 益美 氏  矢古宇 豊 氏

栃木県ホームページ(高齢者福祉)

全国比較では低い高齢化率。しかし、支え合いの体制づくりが急務

平成24年10月1日現在での栃木県の総人口は199万3,386人で、そのうち65歳以上の高齢者人口は45万8,081人です。高齢化率は23.2%という状況で、全国平均の24.1%を0.9ポイント下回っています。また、要支援・要介護認定率は平成24年9月30日現在で、全国の平均の18.1%を2.2ポイント下回る15.9%でした。 さらに、平成22年度の3世代同居率(高齢者のいる世帯が対象)の調査では、全国平均が16.3%に比べて、栃木県では26%となっており、10ポイントも上回る結果となりました。

要支援・要介護認定率が低い理由としては、高齢化率が低いことも挙げられますが、それ加えて3世代の同居率が高いことも考えられます。ご家族が支え合いながら介護に取り組んでいらっしゃる世帯が多いとも言えるかもしれません。 このように、全国の平均に比べますと高齢化率と要支援・要介護認定率ともにやや低い値となっていますが、年々上昇傾向にあることは間違いありません。本県においても、本格的な高齢化社会を支える社会づくりへの取り組みが急務となっています。

「高齢者サロン」で地域を見守る大田原市の取り組み

県内では、市町村、事業者、NPO等の団体、地域住民などの各主体が協働し、高齢者の安心な暮らしを支える創意工夫を凝らした取り組みが、さまざまな地域で行われています。

その一つに「高齢者サロン等の居場所づくり」への取り組みがあります。高齢者のひきこもりや地域での孤立を防ぐために、高齢者をはじめ地域の誰もが気軽に立ち寄り、会話を楽しんだり、介護予防のための健康づくりに励んだりできる居場所づくりを推進しています。自治会館や公民館、カフェなどの場所を利用しているところが多く、中には個人宅でも開設されている地域もあります。 県庁所在地の宇都宮市から車で1時間程度の場所に位置する大田原市では、「高齢者ほほえみセンター」という名前の高齢者サロンを市内に設置し、高齢者の介護予防に力を入れています。平成25年3月現在では、市内の23ヶ所で運営されており、高齢者の方が寝たきりや認知症にならないための介護予防と高齢者の居場所づくりをうまくセットさせた取り組みで効果を上げています。
今回は、黒羽地区にあります「川西高齢者ほほえみセンター」の取り組み事例をご紹介します。


県では、このような取り組みを紹介する事例集をまとめて、広く活用いただけるよう配布しています。地域に合った多様なサロンづくりに活かしていただきたいと考えています。

子どもとの交流機能を加えた介護予防拠点施設「川西高齢者ほほえみセンター」


保育園跡地に建設された「川西高齢者ほほえみセンター」。大田原市ではこのように、介護予防拠点として専用の施設を建設し、高齢者の方が介護を必要とする状態になる前に、体力の低下を防ぐための運動などを行う「介護予防」の実施に力を入れています。

地元にある国際医療福祉大学との連携体制がほほえみセンターの特長の一つです。運動指導を担当する、理学療法学科の准教授である下井俊典氏をはじめとし、口腔機能や認知症予防などそれぞれの専門家と協力しながら、介護予防に効果的なさまざまなプログラムが行われています。

一方、「川西高齢者ほほえみセンター」は、介護予防の場としての機能のみならず、子供たちも自由に出入りできる施設になっています。地域の高齢者と子どもが交流できる場としても活用されており、遊びや会話などの触れ合いの中から生まれる支え合いの心や思いやり、また高齢者の生きがいづくりといった双方への相乗効果も期待できる場となっています。

ほほえみセンターの目標
『すみなれた地域で、ずっといきいきと自分らしく生活する』
ほほえみセンターの仕組み
自治会長や民生委員などの地域住民が中心となって構成された、ほほえみセンター管理運営委員会が運営を行っています。研修を受けた介護予防リーダーやほほえみサポーターが、ボランティアで日常の運営をサポートしています。
ほほえみセンターで行われていること
●介護予防事業
・保健師や専門家による筋力向上トレーニング、栄養改善や口腔ケアなどの講話
・年1回の体力測定の実施 など
●その他の事業
センターの参加者やほほえみサポーターが自主的に行っている事業
・絵手紙、輪投げ、手芸、折り紙、カラオケ大会、食事会、ラウンド・ゴルフ、ゲートボールなど
・七夕会やクリスマス会など季節のイベント
・将棋クラブ、鮎釣りクラブなどのクラブ活動

■体力測定のようす■
国際医療福祉大学の下井俊典氏の指導のもと、5m歩行や握力測定、開眼片足立ち、継足歩行などの体力測定が行われます。測定終了後は、昨年の結果表が配布され、今年の結果と見比べながらご自分の運動機能をチェックします。
川西高齢者ほほえみセンターを訪れる高齢者は皆さんいきいきとされており、体力測定中も終始笑いが絶えないほど、明るい場づくりが実施されています。


  • 握力を測定中

  • 国際医療福祉大学の学生さんも協力して体力測定が行われる

  • 下井氏の説明を興味深い様子で聞く参加者
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