今月のインタビュー

医療・福祉のあらゆる分野の第一人者の方々に、ご専門分野に関する現状・課題・今後の展望などをおうかがいする「今月のインタビュー」。
多くの看護師、医療従事者の方々にとって"目指すべき医療とはなんなのか"を考えるきっかけにしていただけるよう、毎月テーマを厳選してお届けします。

第142回 2015/02

介護予防や見守りなどにも期待。高齢者ボランティアが広げる地域の和(後編)

全国に広まる「介護支援ボランティア制度」は、地域に住む人々が自ら考え、活動していくことが生きがいづくりにつながっていくと考えられています。ボランティア活動は高齢者に対しどのような影響を与えるのか、前編に引き続き、横浜市の地域ケアプラザで地域活動・交流事業のコーディネートを担当している金子 裕利 氏にお話をうかがいました。

社会福祉法人 横浜博萌会 汲沢地域ケアプラザ
地域活動・交流事業 コーディネーター
金子 裕利 氏

汲沢地域ケアプラザ

担当者とボランティアの間に芽生える信頼関係


地域ケアプラザ内では、ボランティアや文化活動など、さまざまな地域での活動を掲示している
前編はこちらからご覧ください。

私は地域交流コーディネーターになって12年目を迎えました。始めは地域の会合に出かけて行っても受け入れていただくことが難しかった私ですが、最近になってやっと地域の仲間として溶け込んできたと実感することが増えてきました。他のケアプラザで勤務している地域交流コーディネーターの勤続年数は、平均3~4年程度が一般的なので、私は非常に長い期間担当していますね。地域の人々にとって、担当者が変わらないというのはとても安心できることだと思います。信頼関係ができているからこそ小さなことでも気になることがあれば相談してくれるようになるでしょう。地域に私の居場所があるということは非常にありがたいと思っています。

地域住民の皆さんが自ら考え、行動していく様を最も近くで感じられる……コーディネーターは他の職種では感じることができない充実感を得られる職業だと思います。地域が実際に動き、そして携わっている住民の皆さんが、生き生きと取り組んでいらっしゃることが肌で感じられるのです。それが地域の高齢者の居場所や生きがいをつくることにつながっていくのだと思います。

生き生きと活動することで介護予防につながる

さまざまなボランティアの皆さんや地域活動に携わっている皆さんと接していると、地域自体も高齢化が進んでいる中、地域で役に立ちたいという熱い思いをもってボランティアに参加されている方がとても多いと感じます。ボランティア活動が社会や地域の役に立つ、というモチベーションや充実感につながっている。こうした正のエネルギーをもつことは非常に大切です。また、活動に参加するために家の外に出たり、運動したり、他人とコミュニケーションをもつことも認知症の予防に効果があるとされています。

また、活動の年数が経過していくうちに、ボランティアさん自身も年を重ね、支援を受ける側に回ることもあります。突然の病のためにいつもと動作の様子がおかしいな、と職員が気づくこともできるでしょう。また、その時が訪れた時、それまで築いてきたグループや訪問先の施設の職員に対して介護や医療への不安を相談することもできる可能性が高いとも考えられます。

「続ける」ためには施設側の受け入れ態勢の整備も必要

汲沢地域ケアプラザでの施設ボランティアも、これまでのベ数百人の方を受け入れてきました。デイサービスの利用者さんのために何かしたいと思って来てくださった方でも、はじめから完璧に支援ができるわけではありません。利用者さんとのコミュニケーションがうまくとれなかったり、慣れない業務に失敗してしまうこともあるでしょう。そんな時は職員がボランティアさんをサポートする必要がありますし、何か困ったことがあればすぐに報告してもらえるよう、職員とボランティアさんとの関係をあらかじめつくっておくことも必要です。

ボランティアさんが不安を感じた時に一言「それでいいんですよと」声をかけてあげられるかどうかで、活動の達成感にも大きな変化があります。なにかしら消化不良な部分があると、次に参加するときに大きな壁となってしまう。ただでさえボランティア活動は仕事等の契約関係ではなく、ボランティアさん自身の「気持ち」で活動されますので、続けて来ていただくには職員が意識をしてボランティアさんに声をかけ、不安を取り除くことも大切だと思います。ある意味、職員とボランティアさんとの信頼関係が必要不可欠だと思います。地域活動も同じで、初めて地域活動に参加された方に声をかけてくれる人がいるだけで安心して居場所ができる。いかに新しいボランティアさんを受け入れられるか、という受け入れる側の意識や配慮についても考えていく必要があると思います。

金子 裕利 氏

【略歴】
2000年 東洋大学経営学部商学科卒業
2003年 日本社会事業学校研究科卒業
2003年 社会福祉法人横浜博萌会入職、汲沢地域ケアプラザ コーディネーター就任

【資格】
社会福祉士
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