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~古武術介護の発想に学ぶ~「腰痛のない介助技術」
第1回 技術をレベルアップさせる合理的な動き方

古武術の「筋力に頼らない、体に負担をかけない」合理的な体の使い方と、さまざまな場面に応用ができる柔軟な発想をヒントに提案された「古武術介護」。型にはめられたマニュアル的な技術ではなく、患者さん一人ひとりの状態に合わせた「オーダーメイド」の、介助する側・される側双方に負担の少ない介助技術をつくりだします。あわせて介助者の身体の使い方を改善すれば結果として体を痛めることもなくなるでしょう。そんな「古武術介護」を全4回の連載でご紹介します。

全身の連動性がカギとなる

車いすやベッドへの移乗動作を中心としたさまざまな介助は身体的な負担も大きく、腰痛等は職業病と思われています。介助技術そのものが腰を痛めるという意見もありますが、私はそうは思いません。問題の本質は、技術のベースとなる私たちの普段の「動き方」が、すでに体を痛めやすい状態にあることにあります。

普段の動きを改善するためには、全身の連動性を高めることに尽きます。ここでは、上半身、下半身、体幹部と全身を3つに分割して、それぞれの介助技術での役割、痛めやすい原因、改善方法をご紹介します。

下半身の動き ~介助技術の土台となる下半身~

介助技術において下半身は「土台」の役割をもちます。土台がぐらつくようでは、技術も使えません。まず、下半身の動きをチェックしてみましょう。この場でしゃがんでみてください。
いかがでしょうか。案外苦戦した方も少なくないでしょう。

【悪いしゃがみ方】股関節が曲がりきらず、腰が高く、不安定なしゃがみ方。膝に負担が集中しやすく、足腰の筋肉も部分的にしか使われていない

【良いしゃがみ方】きちんとしゃがむためには股関節の可動域は120~130度が必要

足腰全体を使いやすくする股関節

かつての畳を中心とした和式生活では、人々は和式トイレを使ったり、農作業をしたりと、生活の中で股関節を自然と鍛えてきました。しかし、現在の椅子中心の洋式生活では、膝を使っての動きが中心となり、股関節を使った動きをすることが少なく、きちんとしゃがめない方が多いのだと考えられます。そこで、股関節の動きを引き出す動作を行って、改善を図りましょう。

■股関節の動きを引き出す動き

  • 腰を下ろしながら、股関節、膝、つま先を広げていく

横からみると、膝、つま先が前ではなく、横を向いていることに注目

腰を下ろしながら、股関節、膝、つま先を広げていくことで、大腿の前側、内側、裏側と足腰全体の筋肉を使います。一方立ち上がる際は、股関節、膝、つま先を閉じながら、大腿の裏側、内側、前側の筋肉を使います。上下動に、らせん状の動きが加わるようなイメージで行うとよいでしょう。

上半身の動き~相手との接触点である上半身~

移乗介助などをする際、患者さんを腕力だけで抱え上げていませんか? その結果、手首やひじ、肩を痛めてしまう方も少なくありません。介助者が力任せに筋力で持ち上げるのではなく、患者さんの合理的な動きを引き出せれば、介助者・被介助者双方への負担がグッと減ります。そのためには、被介助者との接触点になる上半身の使い方を改善する必要性があります。
 
ポイントは、腕と背中をきちんと連動させること。背中は、背筋力に代表されるように、体の中で最も大きな力や動きが出せるところです。背中にある肩甲骨と腕の連動を意識し、一体に動かすことができれば、背筋の力を利用でき、結果的に少ない力で移乗介助が可能となるでしょう。

■肩甲骨との連動で腕を動かす

肩甲骨が広がってくると同時に腕を伸ばしていく

肩甲骨が背中の中央に寄ってくると腕が戻ってくる

体幹(姿勢のポジショニング)~上半身と下半身をつなぐ~

下半身と上半身の動きが改善されても、姿勢のポジショニングが崩れてしまえば、双方の動きが分断されて腰1点に負担がかかってしまいます。私たちは幼い頃から「気をつけ」の姿勢が良い姿勢だと教わってきましたが、実はこれは腰に負荷が集中してしまう姿勢です。
 
動きやすい姿勢のポジショニングとは、肩の力を抜いて、膝と股関節は軽くゆるめながら、骨盤と腰骨をニュートラルポジションに保つイメージです。そこに手足の動きをつけてあげると動きやすくなります。その際、必ず骨盤と腰骨は真っ直ぐの状態にすること。この姿勢が、介助の基本的な姿勢にもなります。

■姿勢のポジショニングの悪い例と良い例

腹から上半身を曲げると腰1点に負担が集中してしまう

常に体は、股関節から曲げるようにすることで、骨盤と腰骨は真っ直ぐのポジションを保ち、腰がしっかりと決まった状態になる


自分の身体の状態を確かめることはできましたか? 動きやすい身体の使い方を
次回第2回では、介助者の負担を減らす、筋力に頼らない身体の使い方をご紹介します。
 
連載 ~古武術介護の発想に学ぶ~「腰痛のない介助技術」
第1回 技術をレベルアップさせる合理的な動き方
第2回 技術を楽に行う3つの原理
第3回 床に転倒した人の立ち上がらせ方
第4回 ベッドと車いす間の移乗編

書籍紹介

『カラダを痛めない古武術介護』を抽選で5名様にプレゼントいたします。必要事項を明記の上、下記のメールアドレスまでご応募ください。

必要事項:①お名前、②ご職業、③年齢、④ご住所、⑤電話番号、⑥メールアドレス、⑦この記事の感想、「お役立ちライブラリ」で今後取り上げてほしいテーマ
応募メールアドレスinfo@nursing-plaza.com
締切:2015年3月15日(日)

プレゼントの当選結果は、発送をもって代えさせていただきます。



『カラダを痛めない古武術介護』
筋力に頼らず、体に負担をかけない、介助者・被介助者の双方が快適な介護術を紹介。古武術の動きをヒントにした「古武術介護」を徹底的に解説する。

著者:岡田 慎一郎
出版社:学研パブリッシング
価格:1,620円(税込)

講師:岡田 慎一郎 氏
古武術介護の提唱者 岡田慎一郎公式サイト
理学療法士、介護福祉士、介護支援専門員

身体障害者、高齢者施設に勤務し、独自の身体介助法を模索する中、武術研究家の甲野善紀氏と出会い、古武術の身体運用を参考にした『古武術介護』を提案したところ大きな反響を呼んだ。近年は介護、医療、リハビリ、育児支援、 教育など、幅広い分野で身体を通した発想と実践を展開させ、講演、執筆、企業アドバイザーなど多岐にわたる活動を行う。

著書『古武術介護入門』『古武術介護実践編』『腰痛のない身体介助術』(医学書院)、『家族のための介護入』(PHP研究所)、『介護福祉士実技試験合格ガイド』(晶文社)など多数。 ユーキャン通信講座「古武術介護講座」、NHK学園通信講座「古武術式カラダ使いこなし入門」の監修、株式会社JTBベネフィットのアドバイザーを務める。

UP DATE 2015/01/05

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