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国境なき医師団のナースに聞く、医療派遣のすすめ

世界中から医師や看護師が集まり、アフリカ・アジア・中東をはじめとするさまざまな国へ医療支援を行うNPO団体「国境なき医師団」。日本からも多くのスタッフが派遣されています。吉田照美さんは6度の派遣経験のあるベテラン看護師。国境なき医師団に参加してみたい!と考えている看護師の皆さんの疑問を、吉田さんに答えてもらいました!

お話していただいた方

国境なき医師団(MSF)日本
看護師 吉田照美さん
 
埼玉県出身の看護師。
1997年、青年海外協力隊員・看護師としてフィジーへ派遣。帰国後、日本赤十字看護大学看護学部へ編入。血液・骨髄移植科勤務ののち、訪問看護ステーションで、訪問看護・介護支援専門員業務を経験した。2012年6月、国境なき医師団に初参加。南スーダン、パキスタン、ウクライナ、シエラレオネ(エボラ出血熱対策プログラム)にて、合計6回のプロジェクトに参加している。

海外での医療支援に求められている人材について知りたい!

Q. 国境なき医師団に参加する看護師には、どのようなスキルが求められますか?
現地では、子どもの患者さんを看ることが多いので、特に小児科(特に新生児)の知識やスキルが役立ちます。また、公衆衛生も学んでおいた方がよいでしょう。また、栄養失調プログラムの知識も重要です。
私の場合は、看護師のリーダーとしての参加だったので、マネジメントスキルを求められたので、日本の病院でのリーダーとしての経験が役立ちました。訪問看護ではケアマネジャーの仕事もしていたので、ケアの計画を組み立てたり、地域でのマネジメント経験も非常に役立ったと思います。

2013年、パキスタンで ⓒ MSF

Q. 外科や救急科の経験が必要ですか?
外科や救急科の経験は必須ではありませんが、経験があると非常に有効です! 国境なき医師団の活動は「緊急援助」、つまり外科や救急のイメージが強いかもしれませんが、感染症をはじめ内科疾患の患者さんも多くいます。マラリアや結核・HIVなど感染症課での勤務経験が役立ちました。自分のスキルでどのような役に立てるのか、考えてみてください。

必要な語学力について知りたい!

Q. 国境なき医師団にはどんな国のスタッフが集まりますか?
アフリカの各国や、欧米、オーストラリアなど、多国籍スタッフのチームです。アジアからは香港、韓国などから来る人もいます。
 
Q. 医療支援のプロジェクトでは、どんな言語を使うのですか?
フランス語が使える人はフランス語圏の国へ、スペイン語が使える人はスペイン語圏の国へ向かうなど、使える言語によって派遣先が変わります。私の場合は英語が使えるので、英語圏のプロジェクトに参加しました。
 
Q. 語学力はどのように身に付けましたか?
日本の英語の語学学校に通算で1年以上通い、一般英語を学びました。医療用語に対して難しいイメージがあったのですが、実際に現場で困ることは意外とありませんでした。医療支援の現場で叩き込まれたものも多いです。
語学力は、スタッフや患者さんとのコミュニケーションのために必要です。日本人の私を含め、英語を第一言語としないスタッフも大勢います。外国語では伝わりづらい想いもあるので、会話の中の言葉の裏に隠れている想いをくみ取るように心がけ、誤解のないようしっかりと説明したり、聞き出したりするコミュニケーション能力が必要です。
 
Q. 他のスタッフとの文化の違いで困ったことはありますか?
他の派遣スタッフとも、現地スタッフとも、コミュニケーションに困ることはしょっちゅうでしたね。でもそれは、生まれも文化も異なる人たちですから当然のこと。私たちが現地にお邪魔しているのだということを意識して、相手の文化を尊重することを心掛けました。
もちろん、国境なき医師団としての理念や看護方針があるので、大切なことをしっかりと伝えつつも、現地の流儀を取り入れながら業務を遂行しました。相手の意見を聞き、一緒に考えていく、相互的なコミュニケーションをとることが大切です。

予防接種の準備を行っている様子 ⓒ MSF

看護師として参加するための心構えを知りたい!

Q. 国境なき医師団に向いている人ってどんな人ですか?
オープンマインドな人が向いていると思います。相手の考えていることや行動理由に興味をもつことが大事です。
また、世界で起きていることに疑問を抱く人も向いているでしょう。自分に何ができるのかをよく考える人は、国境なき医師団の方針に沿う人だと思います。
興味のある方はぜひ、一度国境なき医師団の説明会に参加して、国境なき医師団の理念に触れてみてください!
 
Q. 勤務中の病院を辞める必要はありますか。また、帰国後、職場に復帰できますか?
プロジェクトは6ヵ月以上になることが多いため、派遣前に勤めていた病院へ戻ることは難しいかもしれません。看護師では、退職してから参加する方がほとんどです。帰国後、再度就職活動を行い、再就職される方もいます。2回目以降の参加を希望される方は、プロジェクトの合間に日本で看護師のアルバイトをしながら生活する方も多いです。
 
Q. 家族の賛同が得られるか心配です。
私を含め、多くの人が家族の説得に時間をかけています。特にシリアをはじめとする紛争地域や、エボラ熱の感染が広まる地域へ行くとなると、反対も強くなります。私の場合、仕事に打ち込む姿を見せたり、時間をかけて地道に説得してやっと理解してもらいました。参加の申し込みをする前から少しずつ、行きたい意志をアピールしておくとよいと思います。
 
Q. 吉田さんは6度渡航されているそうですが、繰り返し参加される方が多いのですか?
参加者の約7割は帰国後、新たなプロジェクト(2度目以降の活動)に参加するそうです。
私の場合、それぞれの活動の振り返りや反省を次に生かしたいという思いがあります。医療の届かない人たちのために、また現地の人たちと働きたいと思い、次の活動に参加します。

Voice:世界の医療現場で、日本人の私に何ができるのかを考えたい

看護師 吉田照美さん

私は国境なき医師団に参加する前、青年海外協力隊に参加し、フィジーでの医療支援に参加しました。その後しばらくの間は、日本で内科病棟のナースや訪問看護師として働いていましたが「いつかまた、国際協力に参加したい」という想いが強くありました。日本での活動に一区切りついたころ、国境なき医師団と出会い、「苦境にある人びと、天災、人災、武力紛争の被災者に対し人種、宗教、信条、政治的な関わりを超えて差別することなく援助を提供する」という憲章に共感し、参加を決めました。
 
現地では、看護チームのリーダー、監督者として、現地の看護師たちや、私と同じく派遣された外国人スタッフのマネジメントを担当しました。日本の病院でいえば、看護師長クラスの仕事です。
パキスタンや南スーダンなど、さまざまなスタッフとともに活動した6度のプロジェクトを通じ、看護師としても人としても成長できたと思います。
例えば、南スーダンではこんなことがありました。半月以上、休職を申し出る現地の看護スタッフがおり、ほかのスタッフから苦情も出ていました。業務に支障をきたしていたので、チームのため、かた患者さんのために、私は管理者として、休職の申し出は受け付けられないということも考えられました。しかし話を聞いてみると、ある理由がありました。彼女は、養子にした娘が結核にかかり、毎日クリニックに通う必要があったのです。南スーダンでは、紛争や、極端に不足する医療が、常に背景にあります。私がこの問題に直接的な解決をもたらすことはできないのですが、彼女が抱える理由を知り、その背景を理解することの重要性を、認識できるようになりました。
マネジメントの経験を通し、考え方の幅が大きく広がった気がします。今後も、柔軟に考えながらさまざまな課題をクリアして行ければと思います。

国境なき医師団の活動について、イメージは深まりましたか? 後編では、吉田さんの経験をもとに、海外での生活について迫ります。
実際の活動の模様や、参加者の体験談については、各地で説明会が開催されます。興味のある方は、ぜひ説明会に参加してみてください。


【説明会 インフォメーション】
国境なき医師団日本 海外派遣スタッフ募集説明会
●10月16日(日)15:00~16:00 ウェブ説明会(インターネットでライブ配信します)
●10月22日(土)14:00~16:00 大阪英語説明会(すべて英語で行う説明会です)
入場無料、お申込 http://www.msf.or.jp/work/infosessions.html

UP DATE 2016/09/30

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