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2023/1

小林光恵さんの おやすみコラム #003「寝息効果」

小林光恵さんの おやすみコラム #003「寝息効果」

昨夏、両親(父92、母90)と布団を並べて寝る機会がありました。
これからは、地域包括ケアシステムの各種サービスを利用して、年齢なりに衰えが目立ちはじめた両親の生活をしっかりサポートするのだ、と決めたころでした。

ゴーゴーというエアコン音と自身のザーという耳鳴りが邪魔して、よく聞こえなかった両親の寝息ですが、次第に耳が慣れてきました。ゆっくりと波打つような間隔で、細いけれど規則的な寝息。声と同様に、寝息の音にも違いがあるのがわかり、交互に響く父と母の寝息が聞こえてきました。
 
すると、その寝息が、なかなか眠れないでいた私の緊張や不安をやわらげてくれたようで、その日の昼間の出来事をふと思い出しました。父が、自分の飲んでいる薬の効果を何度もたずねるので、そのたびに説明したのですが、それでも解せない様子の彼。

面倒くさくなって「全身の薬だよ」と答えると、
府に落ちたような顔になり「ああ、前に進む薬ね」と言ったのです。
渾身のジョークだったのかな。そう心でつぶやいてクスリと笑うと眠くなってきました。

寝息、それもすやすやと眠っている寝息を耳にしたときの心理効果は案外大きなものなのかもしれません。患者さんや利用者さんの寝息、それもすやすや寝息だと、業務上の安心の類だけでなく、人として受け取っているものがあるのかも。どうでしょうね。

 

ところで、眠るの副詞「ぐっすり」は、good sleepの略だという説がありますが、江戸時代からある日本語のようです。

著者/小林 光恵さん
元看護師。著述業。つくば市在住。
エンゼルメイク研究会代表、ケアリング美容研究会共同代表。

看護師、編集者を経て、1991年より本格的に執筆業を中心に活動。「おたんこナース」「ナースマン」など。2023年出版を目標に、ナイチンゲールの子孫が主人公の小説を鋭意執筆中。

<多数のメディアで連載中!>
●小説 「令和のナースマン」
(月刊ナーシング 株式会社Gakken)
●エッセイとイラスト 「アンチヘブリンガン」
(月刊ナーシング 株式会社Gakken)
●コラム 小林光恵の「ほのぼのティータイム」
(Aナーシング 日経メディカル)
●コラム 「ついついやってしまいがちなエンゼルケア」
(Will Friends 日本看護学校協議会共済会)
●ドクターズコラム
(健達ねっと メディカル・ケア・サービス)
など

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