小林光恵さんの おやすみコラム #027「不採用の理由を知りたい」
2025/1/14
みんなの広場
2024/12
「病院で誕生日を迎えるということ(※)」と題した症例報告を読みました。
予後不良の状態となった女性患者(60代)のもうすぐやってくる誕生日を、彼女の夫と共に看護師がお祝いすることに、賛成する看護師、反対意見の看護師、患者や家族の意見を聴き尊重していくと考える看護師。
結局、看護師は積極的には介入せず、病室では家族でホールケーキを囲み、患者と写真を撮っている姿が見られたようです。
これを読んでいてスナックのママMさんの話を思い出しました。常連客の高齢の男性Tさんは、ある夜Mさんに頼みました。「実は、一番忘れたくないことが妻の誕生日なんだ。オレがボケはじめて、もし忘れているようなら、その日だとおしえてほしい」と。
Mさんはこう続けました。
「Tさんはね、超のつく照れ屋なのかな、奥さんの誕生日になんのお祝いもしたことがない。おめでとう、も一度も言ったことない。でも、秘かに、今日は誕生日なんだな、とじっくり思うことにしてるんだ、って」
それ以来Mさんは、常連さんの誕生日には、〇〇さんの誕生日だな、と思いながらビールを一杯やるようになったのだとか。
前述の症例でも、意見交換をした看護師さんらは、その女性患者の誕生日に直接お祝いはせずとも、彼女が誕生日であることを思ったことでしょう。
考えてみれば、プレゼントやメッセージを送らなくても、今日は〇〇の誕生日だな、と思う日が私も少なくありません。誕生日を迎えた本人が思うよりもずーっと多くの人が、その人が誕生日であることを思っているのかもしれませんね。
著者/小林 光恵さん | 元看護師。著述業。つくば市在住。 エンゼルメイク研究会代表、ケアリング美容研究会共同代表。 看護師、編集者を経て、1991年より本格的に執筆業を中心に活動。『おたんこナース』『ナースマン』など。 <新刊情報> ナイチンゲールの子孫が主人公の小説 『ナイチンゲール7世』(イースト・プレス)が発売中! <多数のメディアで連載中!> ●小説 『令和のナースマン』 (月刊ナーシングキャンバス 株式会社Gakken) ●エッセイとイラスト 「アンチヘブリンガン」 (月刊ナーシング 株式会社Gakken) ●コラム 小林光恵の「ほのぼのティータイム」 (Aナーシング 日経メディカル) ●コラム 「ついついやってしまいがちなエンゼルケア」 (Will Friends 日本看護学校協議会共済会) ●ドクターズコラム (健達ねっと メディカル・ケア・サービス) など |
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