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看護師・介護士が必要不可欠!
災害現場で求められる清潔・健康ケア

西日本豪雨をはじめ、東日本大震災や熊本地震など、日本では多くの自然災害が起こっています。災害から数日経って少し落ち着いた頃に大切になってくるのが、避難所や自分自身の清潔・健康ケア。看護師さん・介護士さんにとっては日常的に行っているものですよね。「その知識が災害現場では必要不可欠」と語るのは、特定非営利活動法人 全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)代表理事の栗田氏です。今回は、数々の災害現場で支援活動をされている栗田氏に、災害時の清潔ケア・健康ケアについてお話をお聞きしました。

講師紹介

特定非営利活動法人
全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)
代表理事 栗田暢之氏


95年阪神・淡路大震災時に当時勤務していた大学の学生ら延べ1,500名のコーディネーターとして被災者支援にあたったことを契機に、同年7月に設立したボランティア団体「震災から学ぶボランティアネットの会」の事務局長に就任。
2002年3月に同会を発展的に解消して「特定非営利活動法人レスキューストックヤード」が認証され、同法人の常務理事兼事務局長に就任。
2011 年東日本大震災では、全国の NPO・NGO・ボラン ティア団体等で構成する
「東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)」の共同代表世話人も務める。
2016年6月に「全国災害ボランティア支援団体ネットワーク」を設立し、代表理事に就任。現在に至る。
 

多くの人が清潔・健康ケアを求めている
災害時のケアの現状

皆さんは災害現場と聞いてどのような想像をされますか。多くの現場を見てきたなかで、私の中にある災害現場のイメージは「修羅場」そのもの。特に災害直後の現場は、すぐ目の前に血を流して倒れている人がいたり、すでに亡くなっている方の姿も多くあるような状況が広がっています。
 
少し状況が落ち着いてくると、次は各自の清潔・健康ケアや避難所の衛生管理など、少しでも健康的に生活できるように環境を整備することが急務の課題となります。避難所の生活では、普段通りの生活とは程遠いながらも、例えば食べる前に手を洗う、食べた後は歯を磨くといった、体を清潔に保ち、そして健康的に過ごすために日常的に行っていた行為を、口に出さずとも多くの方が求めているのです。しかし、水が充分にあるのか、歯ブラシなどの衛生グッズは揃っているのかといった制限は、常に必ずつきまとう問題です。

清潔・健康ケアの大切さを感じた
熊本地震による「関連死」

被災後の清潔・健康ケアの大切さはどの災害現場でも同じですが、特に強く感じたのは熊本地震のときでした。熊本地震では、地震によって家がつぶれ、その下敷きとなって亡くなったり、土砂に巻き込まれて亡くなったというような「直接死」が50人、その一方で「熊本地震が間接的な原因」となって亡くなった「関連死」は212人(2018年5月現在)にのぼります。関連死は、大変な震災を一度は生き抜いた命であり、本当は死なせてはいけない命なのです。しかし、結果として熊本地震では直接死の4倍以上の方が関連死で亡くなってしまいました。
 
死の原因が清潔・健康ケアの不足によるものだと一概に言うことはできませんが、関連死のなかには、清潔ケアが行き届いていなかった避難所の環境が過度なストレスにつながり、持病が悪化したり、車中泊を長く続けている方々に、体を健康に保つための指導が足りず、エコノミー症候群を発症してしまったということがありました。特に、災害時は高齢者や障害者といった、生活の機能が低下している方が犠牲になりやすくなります。こうした方々が、避難所というプライバシーのない環境の中で、生活しやすい環境を整えてあげることも健康ケアのひとつではないかと私は思います。そうしたケアを日常的に行っている看護師さんや介護士さんといった専門職の方の力が、災害現場では必要不可欠なのです。
 

専門職の知識を存分に発揮しよう!
看護師・介護士に望む3つの働き方

災害現場には、日本看護協会や介護士全国ネットワークから派遣要請を受けて入ってくる方や、個人的にボランティアで参加される看護師さん・介護士さんがいらっしゃいます。数々のボランティア活動を進めていく中で私が感じた、専門職だからこそできること、力となって欲しいことをお伝えします。
 
まずは積極的に有資格者であるということを教えてください
 
災害現場や避難所で、看護師さん・介護士さんの人手不足を感じないことはありません。今回の西日本豪雨でもボランティアセンターには常に「看護師さんの方、申し出てください」と書かれた貼り紙がありました。夏日が続き、毎日のように熱中症で人が搬送されているような状況でしたから、なおさらだったと思います。
 
私たちも、被災者の方の様子を気にかけて見てはいますが、異変にすぐに気づき、なおかつ適切な処置を施すというのは、十分な知識をもつ有資格者にしかできないことです。泥かきだけでもとても助かりますが、専門職だからこそできることが災害現場にはたくさんあることを知り、力を貸してください。
 
できる限り長期的、かつ組織的な関わりを意識してください
 
看護師さん・介護士さんには、できる限り長期間でお手伝いして欲しいといつも感じています。被災者や被災地の「状況の変化」がわかることが望ましいのです。例えば、昨日よりも被災者の顔色が悪くなっていたら、その原因が個人的なものなのか、環境の変化によるものなかを、昨日の様子と比べながら判断でき、より適切なケアができます。
単独でボランティアで来ている方が、長期的に関わることは難しいと思いますが、組織的に関わっている方々ならば、被災された方や被災地の様子などの引き継ぎをしっかりするなどして、現場の状況が常に共有されているような仕組みが望ましいです。
 
専門職ならではの視点で、私たちボランティアを先導してください
 
わたしたちボランティアも一生懸命頑張りますが、自分の専門外のことはなかなかできませんし、気づけません。避難生活時には、常に清潔・健康ケアを行っている看護師さん・介護士さんならではの視点が役立つことがとても多いのです。例えば、普段から行っている清潔ケアの指導や、不衛生になりやすい場所の指摘、感染症対策といったアドバイスを積極的に行っていただくだけでも、避難所の環境整備につながります。
さらに、「寝ている人を起こすときは股の間に片足を入れてぐっと持ち上げる」といったサポートや介助のコツも教えてください。そうすることで、ケアをする側が介助に慣れていなくても、今まで以上にケアがしやすくなるでしょうし、ケアをされる側も安心して体をまかせることができます。

避難所で生活している方にとって、看護師さん・介護士さんは、何でも相談できるという安心感を与えてくれるとても貴重な存在です。実際に支援活動をしているなかで、これまであまり話そうとしなかったおじいさん・おばあさんが、安心した様子で話をしている様子をよく見かけます。これは、看護師さん・介護士さんがもつ優しさや、会話を上手に広げていくという、普段のお仕事そのものがいきてこそだと思います。皆さんの力が、避難所の環境整備、避難している方々の健康維持には欠かすことができないのです。

栗田氏のおすすめ書籍

『コミュニティケア』2017年11月臨時増刊号

地震や豪雨などの災害が発生したとき、訪問看護の利用者は「要配慮者」になる可能性が高く、支援を受けないと、最悪の場合「災害関連死」が起きてしまうこともありえます。それを見逃さないようにするには“地域の医療者”である訪問看護師が避難所等で行政や災害ボランティア団体などと連携して要配慮者を支援していかなければなりません。

今号では訪問看護師の経験もある佐々木裕子氏監修の元、「訪問看護師が災害時に支援できること」をまとめました。災害発生時に訪問看護師がとるべき行動が分かりやすくまとめられた一冊です。


 

UP DATE 2018/08/22

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