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あなたは何タイプ? タイプ別「効果的なPMSの漢方治療法」

前編では、PMSの治療に漢方が効果的であることを解説しました。中編では、タイプ別の特徴やおすすめの漢方治療、また東洋医学的な視点から普段の暮らしの中でできる、PMSを予防するためのワンポイントアドバイスをご紹介! これまでたくさんのPMSに悩む患者さんを治療し、改善に導いている研医会診療所 漢方科の岡田研吉先生いわく、PMSの患者さんは3つのタイプに分けることができるそう。自分のタイプを知って、より効果的に治療を行いましょう。

東洋医学的分類で自分のPMSタイプを知ろう!

これまでに診察した数多くの患者さんの症例から、岡田先生はPMSの患者像を大まかに3タイプに分類しています。
 
「大きく分けると、次の3つになります。
 
1)「興奮・イライラ」タイプ
2)「パニック・逃避」タイプ
3)「落ち込み・クヨクヨ」タイプ

 
「実際の診察では、それぞれをさらに細かく分類し、治療法を変えていきますが、治療方針の基本はこの3つです」(岡田先生)
 それでは、タイプ別におすすめの漢方治療をご紹介していきましょう!

タイプ別「効果的なPMSの漢方治療」①
「興奮・イライラ」タイプ

主な特徴…余分な熱が興奮・イライラを引き起こす
「このタイプは、ストレスなどが原因で肝に熱が生じている状態といえます。一般に熱は暖かく上へ昇る性質から上(上半身)へ移動しますが、肝の機能低下により熱が循環せずとどまってしまうため、頭や顔のほてり・熱感、口の渇き、のぼせ、いらいら、カーッとして興奮しやすい、頭痛、目の充血、便秘といったさまざまな熱症状が現れやすくなるのです」
 
こう話す岡田先生は、続けて、その原因は大きく、肝の機能低下・異常が原因と考えられると指摘します。
 
「東洋医学では、臓器や器官同士の関わり方やそれぞれの働きが、長年の経験則から体系的にまとめられています。なかでも「肝(かん)(※1)」は精神・情緒の安定にかかわります。これは過剰なストレスやイライラが続くなどメンタルが不安定な状態になることで肝臓の機能低下が起こりやすいことからも理に適っているといえるでしょう。
 
「肝(かん)(※1)」
漢方で「肝」という場合、その意味は「肝臓の臓器そのもの」に加え、「その臓器の機能、働き」を表します。
 
個人差はあるものの、同タイプの方は普段から精神、肉体の両面で熱症状の傾向をもたれがちです。月経前の時期になると、それがより顕著に現れるというわけです」

 
おすすめファーストチョイス漢方は「加味逍遙散」
 「このタイプでは、「余分な熱(実熱:じつねつ)」があることで各症状が起こります。その背景には「肝の機能低下(肝のバランスの乱れ)」があり、体内を潤す働き(陰:いん)の不足、ストレスなどによる熱の発生にともなう心身を温める働き(陽:よう)の過剰などいくつか要因が考えられます。
 
こうしたさまざまな状況を複合的に捉え、多くの患者さんに類似した処方を服用いただくなかで、もっとも高い治療効果があったのが『加味逍遙散』です。
 
この処方には、街のドラッグストアで買える一般用医薬品と医師の処方箋が必要な医療用医薬品があります。前者の場合、基本的には体に必要なものが足りていない「虚証」気味(多くは胃腸虚弱など)の方向けで、自律神経の異常によるのぼせや火照り、イライラなどの熱症状、血の道症全般ならびに更年期の不調、月経不順・月経困難、不眠症などに効果的とされる処方です。しかし、医療用の分野では、特に女性の自律神経の失調に伴う精神・肉体面の諸症状に対して有効となります。
 
またこのタイプでは便秘傾向の方も多いのが特徴ですが、PMSの諸症状が改善されるにつれ、便秘も治まっていくケースが大変多く見られます」
 
暮らしのワンポイントアドバイス~熱性よりも冷・潤性の食材
「『熱をとりこまないようにすること』を普段から意識してみましょう。たとえば食事では、キムチ、トウガラシ、ラー油、ニラ、にんにくなど熱性・温性の食材は控えるのが好ましいといえます。
 
一方で、とりたい食材としては、きゅうり、なす、トマトなどの体の熱を冷ます野菜、肉なら潤す豚肉、特に夏場であればスイカ、秋には梨などがオススメです」

タイプ別「効果的なPMSの漢方治療」②
「パニック・逃避」タイプ

主な特徴~最大の判別ポイントは情緒不安
岡田先生いわく、「パニック・逃避」タイプの場合、他のタイプとの一番の判別のポイントは、とにかく「情緒・精神が不安定であること」だそうです。
 
「大きな特徴として、「気分が沈む」「強い不安感」「悲しい気持ちが強くなる」「泣きわめく」「ヒステリー」など、感情の起伏が激しく、まさに情緒不安定になりやすい方ですね。
 
主な症状は、メンタル面に表れます。イライラして怒りっぽくなったと思ったら、ガクッ!と気分が落ち込んだり。かと思うとヒステリックに泣きわめいてしまうなど……まさにパニックですね。このほか、あくびが出やすいという特徴的な症状もあります。
 
原因としては、基本的に「心(しん)(※2)の機能低下」によると考えられます。東洋医学では、「心」は大きくふたつの働きをもっています。ひとつは、全身に血液を送り、体のすみずみまで栄養物を届け、新陳代謝、生命活動を成り立たせる働き。さらに、精神・意識・思考など高次元の神経系の機能となります。心が単に血液を巡らせるポンプ機能だけの臓器でないことは、「こころ」という、もうひとつの読み方にも表れています」
 
「心(しん)(※2)」
漢方では「心」とは「心臓の臓器そのもの」と、「その臓器の機能、働き」を表しています。

 
おすすめファーストチョイス漢方は「甘麦大棗湯」
「このタイプの治療では、実際の臨床の現場で『甘麦大棗湯』がよい結果を出しています。もともとこの薬は心身の興奮を鎮め、不安定な状態を改善するもので、「漢方の抗不安剤」ともいえる処方です。
 
子どもの夜泣きやひきつけ、さらには、統合失調症など幅広いメンタル症状の安定に効果を発揮しています。
 
同処方に含まれている生薬は3つ。そのいずれもが「緊張の緩和」「興奮を鎮める」といった作用をもっています。これらが同時に配合され、一緒に働くことでよりよい効果を発揮していると考えられています」
 
暮らしのワンポイントアドバイス~常備しておきたい甘いもの
「気分が落ち着かない、あるいは、まさにパニックになりそうなとき、「甘いもの」は素早く気分を安定させる働きがあります。古くから、いろいろな実験や症例研究などで、甘いものにはメンタルを安定させる働きがあるという報告がなされていますが、確かにその傾向はあると思います。
 
実際、先に紹介した甘麦大棗湯も、含まれるすべての生薬が甘い味で、子どもでも非常に飲みやすい、珍しい処方といえます」

タイプ別「効果的なPMSの漢方治療」③
「落ち込み・クヨクヨ」タイプ

主な特徴~日常的にダウンな気持ちが特徴
岡田先生によれば、「落ち込み・クヨクヨ」タイプの原因は、主に「肝や心の機能低下」が考えられるそうです。
 
「このタイプでは抑うつ状態、要するに「気分が落ち込む」「悲しい気持ちになる」などや、不安感、焦燥感、そして「カーッ!」と逆上・激昂するような「イライラ!」ではなく、もやもやした「イライラ感」、あとは「やる気が起きない」などの意欲の低下が顕著です。
 
こうした傾向は普段から見られるのですが、特に月経前の時期に症状が悪化するのが特徴となります」
 
※先にも触れましたが、「肝(かん)(※1)」は精神・情緒の安定に、「心(しん)(※2)」は精神・意識・思考など高次元の神経系の機能に大いにかかわっています。
 
おすすめファーストチョイス漢方は「抑肝散加陳皮半夏」
「一番の見極めポイントは、落ち込みやすい、クヨクヨと内にこもって考え込む傾向があるという点で、さらに胃腸が弱いなど虚証(きょしょう)の傾向も見られます。
 
そこで肝、脾(※3)の働きの低下を改善して心身の不調を治していく『抑肝散加陳皮半夏』が第一選択となります。
 
「脾(※3)」
大まかにいうと、消化吸収など「胃腸の働き」を指す言葉。

 
処方に含まれる「柴胡」は熱や炎症を抑え、筋肉の緊張を緩和して、メンタル症状の緩和・改善に働きます。さらに脳循環の改善に働くとされる「釣藤鈎」や、水分代謝、緊張緩和、メンタル安定などに作用する「茯苓」、胃腸の機能改善などに効果を発揮する「陳皮」「半夏」などが配合されています。
 
また、生理後、貧血気味になることが多い方は、この処方に『加味帰脾湯』をプラスすると、より症状改善に効果的なケースが多く見られています」(岡田先生)
 
暮らしのワンポイントアドバイス~スパイスカレーで元気を巡らす
「このタイプには総じて『元気、やる気のなさ』が見られますが、これは私たちの心と身体を動かしているエネルギー「気(き)(※4)」が、正常に巡っていないことから起こるケースが多々あります。
 
「気(き)(※4)」
体を心を動かしている生命エネルギー。他のエネルギーと同様に目には見えませんが、「よく寝たから元気!」「明日から仕事で気が滅入る…」など日常的に、無意識に、実は誰もがその存在を感じています。

 
そこでおすすめの食事のひとつがカレーです。特にウコンやショウガといった気を巡らせるスパイスが豊富に入っているタイプのインドカレーがおすすめ。冬場の寒い時季はもちろん、クーラー病で冷える夏場にもメリットがあるといえます。イライラやほてりなど熱感が強い方は控えたほうがいいでしょう」

(※)
今回は治療の第一歩として、大まかなタイプ分類に対する第一選択となる漢方薬をご紹介しました。今回紹介した漢方薬には「一般用医薬品」と「医療用医薬品」があり、メーカーにもよりますが、効能効果に多少の差異がある場合があります。より詳しい内容については、岡田先生のような専門医にご相談ください。

 
後編では、PMSと混同しやすい病気や、PMS治療で医療機関を受診するかどうかの見極め方について紹介します。

公益財団法人 研医会診療所 漢方科
医師 岡田研吉
 
1972年、東邦大学医学部卒業。ドイツ・リューベック医科大学留学中に東洋医学を志す。帰国後、名古屋聖霊病院・藤枝市立病院に勤務する傍ら、国立東静病院で漢方療法を学ぶ。
1982年に北京中医学院(現・北京中医薬大学)に1年間留学。東京・玉川学園で岡田医院を開業。著書に『素問次注集疏(上・下)』『傷寒論考注(上・下)』『宋以前傷寒論考』他。
 

UP DATE 2019/07/23

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