デキル人へ一歩前進 お役立ちライブラリ

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がちょっぴり気になるアレコレにお答えします!休憩時間や通勤などのスキマ時間にサクッと読めるお役立ちコラムです。

“社会福祉法人”の概念が変わる?
「恋する豚研究所」には新しい福祉の風が吹いていた!

「福祉施設のイメージが変わるよ」。とある医療関係者の方から紹介されたのが「株式会社恋する豚研究所」。同社は、千葉県を拠点として主に豚肉や豚肉加工品の生産、企画、販売などを行っている一般企業。さらに、「就労継続支援A型」として事業を行う社会福祉法人でもあります。“社会福祉法人の新しい形”を、この目で確めるべく、今回はNursing-plaza.com運営委員が現地視察を実施! 同社の営業として働く小泉さんに、設立の経緯やお取り組み、製品へのこだわりなどたっぷりとお聞きしました。「障がい者雇用支援月間」特別企画として、現地体験レポートをご紹介します!

障がい者が働ける場をつくりたい!
「豚肉×福祉」が生み出す新しい障がい者支援の形

成田空港から車に揺られること約20分。自然豊かな地域に、ひと際洗練された雰囲気の建物を発見! これが「恋する豚研究所」でした。

千葉県香取市に位置する「恋する豚研究所」の外観。空の青さと屋根の赤色、芝生の緑のコントラストが美しい。

「これが福祉施設……?」と思ってしまうようなデザイン性の高い建物に驚きを隠せない取材班。待ち合わせの時間まで少し余裕があったので、周囲を散策してみることにしました。すると、外を清掃していた従業員の方から、素敵な笑顔と共に「おはようございます!」と元気なあいさつが! 活き活きと働く姿に、心がぽかぽかと温かい気持ちになりました。

恋する豚研究所のエントランス。二階には、同社のブランド「恋する豚」を使用した料理が楽しめる食堂がある。

約束の時間になったので二階へ上がり、今回お話をお聞きする小泉さんと合流後、食堂に移動します。取材をしたこの日は猛暑日だったこともあり、従業員さんが持ってきてくれたお水を飲み干す勢いでゴクゴク。するとすぐさま、おそらく障がい者の店員さんが「お水どうですか?」と追加のお水を注いでくれました。温かい笑顔と気遣いに、とても嬉しい気持ちになります。ふと食堂内を見渡すと、障がい者の方も関係なく接客をされている姿がちらほら。障がい者の方の働く場所というと、どうしてもバックヤード業務を想像しがちだった私たちは、少し驚きを覚えました。

恋する豚研究所の営業として商品のブランディングも行っている小泉さん

のども潤ったところで、恋する豚研究所開設の経緯から詳しくお話をお聞きしていきます。
 
「恋する豚研究所は2012年に設立されました。当社を運営しているのは、千葉県を中心に高齢者向けのサービスを運営している『社会福祉法人福祉楽団』です。当法人の理事長である飯田の叔父が養豚を生業としていたことが、恋する豚研究所を開設するきっかけとなりました。彼は、自分が大切に育てた豚が市場に出された後、どのようにして消費者のもとに届き、どのような様子で豚肉を食べてくれているのかが全くわからないことを懸念していました。
さらに当時は、このあたりに障がい者の就労支援施設はほとんどなく、お給料は、全国平均でみても、月に12,000円しかもらえていないような状況でした。
 
こうした叔父の想いと、障がい者支援の状況から、飯田は豚肉と障がい者支援という福祉事業を組み合わせることを思いつきます。こうして、彼の叔父が育てる豚肉のブランド化と共に、「就労継続支援A型」として障がい者の就労支援をスタート。障がい者が活き活きと働ける場をつくりたい、という飯田の強い想いが、今の恋する豚研究所の原点にあるのだと思います」(小泉裕さん)

福祉はウリにしない。
商品の質の高さに付加価値をつけ売り込んでいく

食堂は平日にも関わらず満席状態。にぎやかな雰囲気が伝わってきます。「土日には行列ができます。近隣の地域からはもちろん、ドライブがてら東京などの関東圏から足を運んでくれるお客様も多いです」と小泉さん。アクセスも決して便利とは言い難いこの地で、ここまでの人気を博しているのには、なにか理由があるはず。どのようにして製品のブランディングを行ってきたのでしょうか。
 
「最も大切にしていることは『福祉をウリにしない』ということです。社会福祉法人ではなく、「株式会社恋する豚研究所」というブランドで、お客様には評価していただきたいと考えていました。
 
障がい者のバザーというような形で、パンやクッキー、ブローチなどを売っているのを時々目にしませんか? ブランディングを考えていく中で、そうした販売の形はとらないようにしよう、という考えに至ったんです。お客様に商品を買って頂く際に、「障がい者が作ったから」という理由ではなく、「美味しいから」という商品そのものの評価で買っていただきたいと思ったんですよね。
 
おいしいものをきちんとブランディングして販売し、その対価を、ここで働く障がい者の方々のお給料として還元していく。障がい者を理由にしないという軸は、決してぶれないようにしようと思っています」

恋する豚研究所の商品たち。ロゴデザインには著名なクリエイターを起用。オリジナルのフォントを使用している。

もちろん、商品ブランディングもさることながら、豚肉へのこだわりもしっかりとお持ちです。
 
「当社の豚は、代表の飯田の親族が営む在田農場で飼育されています。飼育数は約5,000頭。一番の特徴は餌です。パン工場から出るパンの耳や、お菓子工場からでる割れたビスケットなどをバランスを考えて調合し、そこに、乳酸菌や麹菌を加えてじっくりと発酵させます。人間と同様、「腸内環境を健康に」という考えを、豚にも応用しているというわけです。こうすることで、独特の豚臭さがなくなり、甘味のあるお肉になります」
 
当日は、実際に食堂で提供されている「恋する豚のしゃぶしゃぶ定食」をいただくことに。きれいなピンク色の豚肉は、豚本来の旨みはもちろん、すっきりとした甘味も感じられ、農家さんの愛情を感じる美味しさでした。 食堂の雰囲気もよく、従業員さんも気持ちのよい接客をしてくださる方ばかり。居心地のよい、ゆったりとした時間を過ごすことができました。

恋する豚のしゃぶしゃぶ定食。豚肉はもも肉とバラ肉の二種類が楽しめる。

食堂の内装。高い天井と大きな窓ガラスで開放感がありながらも、木目調の温かみを感じるデザインが、居心地のよさを感じさせる。

美術展の開催やサツマイモの生産
クリエイティブな視点で地域活性化も

外観や内装、ロゴデザインなどのこだわりが、「おいしい豚肉」という枠を超えたつながりを生み出しているそうです。
 
「例えば、建築を担当していただいたクリエイターのつながりで、「もしも忘れたら」という美術展を当施設内で開催したこともあります。恋する豚のブランディングが、新しい集客の可能性を広げてくれているのだと感じますね」
 
さらに小泉さんは、やはり「福祉」という視点も大切にしていきたいと話します。
 
「社会福祉法人は、地域のケアも考えていかなければなりません。例えば、恋する豚研究所の食堂で使用している野菜やお米は、ほとんどが近くの農家さんばかりです。いわゆる「地産地消」という形で、地域の農業を少しでも活性化させられたらうれしいですね。
 
それから、障がい者の方々に雇用の場をもっと幅広く提供していけたらと考えています。障がい者の方々の働く場がもっともっと増えていけば、その家族も住み慣れた地域で安心して住み続けることができますからね。
 
現在、恋する豚研究所と同じ敷地内に、「栗源第一薪炭供給所」という施設があります。間伐した木材を薪を近くのBBQ場に売ったり、当施設内にある薪ストーブに使用したりしています。ほかにも、このあたりで有名な、紅小町という品種のサツマイモの生産と、それを使ったスイートポテトの販売も、今後本格的に動き出していく予定です。これらも全て、障がい者雇用の一環として行っています。地域に住む障がい者の方々の働く間口をもっと広げていきたいですね」

奥が「栗源第一薪炭供給所」。その手前にはサツマイモ畑が青々と茂っている。

ふと、恋する豚研究所をご紹介いただいた方の、「福祉施設のイメージが変わるよ」という言葉がよみがえりました。おしゃれで、開放的な空間で活き活きと働く障がい者の方の姿。オリジナルのロゴを使用するなど、「製品ブランディング」に徹底的にこだわる姿勢。これまで持っていた福祉施設のイメージが、アップデートされたような気がします。「恋する豚研究所」の取り組みに、これからも注目していきたいと感じた一日でした!
 
後編では、当社で働く障がい者の方々の働き方や、その様子をご紹介。実際に働く障がい者の方の生の声もお聞きすることができました。

株式会社恋する豚研究所
https://www.koisurubuta.com/

所在地 :千葉県香取市沢 2459-1
設 立 :2012年2月
事業内容:食肉及びの農産物の販売、食肉加工品の比較、開発、製造、販売
代表者 :飯田大輔(代表取締役)
関連法人:有限会社アリタホックサイエンス
     社会福祉法人福祉楽団

UP DATE 2019/09/10

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