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障がい者と健常者という垣根のない働き方
「恋する豚研究所」が注力するこれからの障がい者雇用

毎年9月は「障がい者雇用支援月間」です。今回は、地域の障がい者雇用に注力している「恋する豚研究所」に注目。実際に現地へ足を運んでみると、障がい者の方たちが食堂で接客をしたり、施設を掃除しながらお客様と接し、楽しそうに働く姿がありました。障がい者が活き活きと働くことのできる環境を、どのように作りあげているのでしょうか。今回は、同社の営業担当の小泉さんと、社会福祉士の山根さんを取材。『福祉をウリにしない』ことにこだわる、同社の障がい者雇用の特徴や、実際に働く障がい者の方の生の声をご紹介します。

「就労継続支援A型」という形を選択
障がい者の自立をサポートしたい

2012年、千葉県香取市に設立された「恋する豚研究所」。良質な豚肉の生産、販売だけではなく、障がい者と雇用契約を結び、最低賃金を保障する「就労継続支援A型」という顔をもつ、福祉施設でもあります。同社を運営する「社会福祉法人福祉楽団」の理事長である飯田氏の、障がい者が働く場を提供したい、という強い想いから開設されました。なぜ、「就労継続支援A型」という形を選択したのでしょうか。
 
「いわゆる『施設』ではたらく障がい者の方々の大半は、最低賃金が保障されません。実際に、平均月収が2万円というところもあると聞いたことがあります。それでは生活できませんよね。当社では、住み慣れた地域で、自立して生活できるようになってほしい、という思いもあり、みな対等にお給料を支払えるようにと、A型の形を選択しました。
 
2018年度の月給中央値は、85,386円(社会福祉法人福祉楽団 アニュアルレポート2019より)。これに、障がい年金などをプラスすれば、アパートなどを借りることができ、自立した生活も可能になるのでは、と考えています」(小泉裕さん)
 
「就労継続支援A型」という形を取ることで、地域に暮らす障がい者の自立支援をサポートしていているという同社。それでは、実際に現場で働いている障がい者の方々はどのような様子なのでしょうか。

障がい者の月給10万円を目指していきたい、と語る小泉さん

障がい者と健常者という概念をもたず
みんなが働きやすい労働体制がキモ

障がい者の方々は、恋する豚研修所でどのようなお仕事を担当されているのでしょうか。現場で働く障がい者を支援している山根さんにお聞きしました。
 
「現在、当社には29名の障がい者の従業員がいます。主な仕事は、生肉や加工品の製造や、シールやラベル貼りなどの包装作業といった工場での業務がほとんどですね。それから、食堂での配膳や洗い物、野菜やお肉を並べるなどの仕込み作業や施設内の清掃、芝刈りや草抜きなどの施設の維持管理など、障がい者の方々の仕事は多岐にわたります」(山根正敬さん)

芝生が綺麗に整えてあり、施設内も清掃が行き届いている。施設の維持管理がしっかりと行われていた。

『福祉をウリにせず、商品の質のよさで評価していただく』ことを大切にしている恋する豚研究所。施設内にも障がい者に関する表示や案内は一切置かれていませんでした。こうしたこだわりの中で、どのような労働環境をつくりあげているのでしょうか。
 
「大前提として、「障がい者」と「健常者」という視点をもっていません。皆さんの中にも、苦手なことは必ずありますよね。そうしたものがたまたま表に出ていないだけで、自分たちだって同じなんだという思いが僕のベースです。
 
もちろん、働きやすいようにマニュアルやチェックシートを作成したり、なるべく見える化を意識するといった細かい対応は行っていますが、障がい者の方々のために、なにか特別なことを行っているつもりは一切ありませんね。障がいに関係なく、誰もが働きやすく、やりがいをもって働ける職場づくりを目指しています」

社会福祉士として障がい者の方々の働き方をサポートする山根さん。

こうした支援員の方の想いが、結果として現場で働く障がい者の方々の働きやすさにもつながっているのかもしれません。もちろん、障がい者の方々がよりスムーズに働けるような体制をしっかりと整えています。
 
「福祉系の資格を持っているのは私を含めて3人です。3人だけで障がい者全員をサポートすることは難しいので、普段のやりとりは食堂長や工場長などの一般の従業員と行ってもらっています。障がいをもっていない従業員にも、障がい者の方々との関わりを大切にしてほしいんです。統計的にみると、約13人に1人の割合で障がい者手帳をもっていますが、障がいをもっている方と接する機会はそう多くありません。だからこそ、あまりプラスではない障がい者のイメージができあがってしまう。しかし、実際に一緒に働いてみると、障がい者の方にしかないよさや、できることの幅広さなども感じられると思うんです。こうやって、障がい者のことを知ってもらえたらいいなと思いますし、面白いんじゃないかなあと思いますよ。私も一緒に働いていると、障がい者の方々の素直さにハッとさせられることも多くあります。
 
もちろん、それだけでは解決しない問題も多々発生しますから、そのときに、支援員が間に入ったり、直接話を聞いて対応する、という形をとっています。食堂長や工場長は、福祉系の資格を所有されていない一般の方々ですから、障がい者の方とのコミュニケーションの取り方や物事の伝え方なども、私たちが伝えることも多いです。
 
最近ではこんな話がありました。仮にAさんとBさんとしましょう。障がい者であるAさんが更衣室のドアをバタンッと開けたときに、中にいたBさんにドアが当たってしまったそうなんです。でも、ドアを開けた張本人は、Bさんのことを無視して、謝ろうともしなかった、ということで私が呼ばれました。
よくよく話を聞いてみると、AさんはBさんに対して、もともとイライラしていたらしく、ドアをバタンと開けるという行動に出てしまったということなんです。Bさんが「痛い」と言ったときも、自分に言っているとは思わなかったから無視している気はなかった、と話していました。
 
実際、食堂や工場のリーダーは現場をうまくまわすことがメインのお仕事ですから、じっくり話を聞くことも難しいんです。そうしたときに支援員がサポートにまわります。障がい者の有無に関わらず、発生する問題は、人間関係のもつれがほとんどですから、私たち支援員も、なるべく早い段階で間に入るように、ということは意識していますね」
 
「障がい者だから」という理由で寄り添いすぎず、恋する豚研究所で働く全員が働きやすいように、という視点を持っているからこそ、みんなが働きやすい職場づくりが実現されているのかもしれません。実際に、他の企業をやめて入社した方が、すっかり元気になり、今は楽しそうに働いているのだそうです。

入社8年目! 大ベテランに聞く
「恋する豚研究所」での仕事

現在のお仕事について丁寧に答えてくれる加藤さん。

今回は、恋する豚研究所設立当時から働いているという大ベテランの加藤さんに、お話をお聞きすることができました!

―――現在のお仕事内容を教えてください。
施設内の清掃です。
 
――――週にどれくらい働いていらっしゃるんですか?
週に5日ですね。2日お休みをもらっています。
 
―――お仕事は楽しいですか?
楽しいです!
 
――――お仕事をしていてどんなところが楽しいですか?
掃除をする中で施設が綺麗になっていくことが嬉しいです。
 
――――おやすみの日は何をされているんですか?
成田のイオンに行ったり、本屋さんに行くことが多いです。
 
隣で話を聞いていた山根さんも、加藤さんとはもう長い付き合いということで、二人の間にはしっかりと信頼関係が成り立っているように感じました。
 
「加藤さんは最初の実習のときから出会っているので、もう8年以上、一緒にここで働いてくれていることになります。やることをしっかりやってくれますし、細かい作業がとても得意。ゴミも見落としません。あと、話すのも上手なので、取材対応も得意です。
 
加藤さんもそうですが、少しのサポートだけで、しっかりと働ける方はとてもたくさんいます。特に田舎だと企業も少ないので、そういう方が埋もれてしまうというのがとてももったいない。そうした方のためにも、しっかりとお給料を支払えるような場が、もっと増えたらいいなと思いますね」(山根正敬さん)

楽しそうに談笑する加藤さんと山根さん。

実際に恋する豚研究所へ足を運んで感じたことは、なんといっても働いている方々の雰囲気のよさ。障がいの有無に関係なく、のびのびと、そして活き活きと働く姿が、恋する豚研究所の居心地のよさを創り出しているのではないかと感じました。
自然豊かな地に立つ「恋する豚研究所」は、静かに、しかし確実に、これからの新しい福祉の形を作りあげていく存在となっていくのではないでしょうか。

株式会社恋する豚研究所
https://www.koisurubuta.com/

所在地 :千葉県香取市沢 2459-1
設 立 :2012年2月
事業内容:食肉及びの農産物の販売、食肉加工品の比較、開発、製造、販売
代表者 :飯田大輔(代表取締役)
関連法人:有限会社アリタホックサイエンス
     社会福祉法人福祉楽団

UP DATE 2019/09/20

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