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大切なのは普段からの意識
自分を振り返ることでコミュニケーションマスターに!

看護師さんの仕事のひとつとも言える、患者さんとのコミュニケーション。病気で気分が落ち込んでいたり、気が立っている患者さんを支えるためには、適切なコミュニケーションをとることが大切です。しかし、さまざまなタイプの患者さんがいる中では、言葉選びや対応に失敗することもあるでしょう。そこで今回は、「動機づけ面接」のトレーナーである三瓶舞紀子さんを取材し、どうすればコミュニケーションの苦手を克服できるのか伺いました。コミュニケーションに苦手意識を持つ人は、まず自分を振り返ってみることがカギだそうです!

コミュニケーションがうまくいかないのはなぜ?
自分の“こうあるべき”という思い込みを和らげよう



医療現場でのコミュニケーションは、決して簡単なものではないでしょう。患者さんへのわかりやすい説明や、落ち着いていただくための会話、他スタッフへ患者の情報を正確に伝えるための表現力などが求められます。そのような中では、選ぶ言葉がひとつ違うだけで、大きなコミュニケーショントラブルにつながることもあります。
 
「コミュニケーションがうまく運ばないのは、自分の気持ちや考えは“あたりまえ”だと思い込んで、それらに気づけないことに大きな原因があります。自分の考えや気持ちをいったん棚上げする考え方と、そのスキルをもっていれば、状況の悪化を防いだり、結果的に誰もが心地よい状態になれる可能性は高くなります。
 
例えば、“処置の時間になったら患者は必ず自分のベットにいるべきだ”“新人は朝一番に病棟にこなければならない”などあなたの“あたりまえ”は、目の前の人にとっては思いつきもしない考えかもしれません。相手が誰であれ、相手の“あたりまえ”ではどうなんだろう、という謙虚な考えが役立つかもしれません。また、『正しい考え方(実は“あなたが正しいと思い込んでいるにすぎない考え方”)にさせよう』と頑張れば頑張るほど、相手はあなたを警戒し、不安感や不信感をもつようになります。
 
他者への“○○べきだ”がある方は、ご自身に対しても同じように“○○べきだ”と思い込んでいることが多いかもしれません」(三瓶さん)
 
ありたい自分でいられず、ご自身にもどかしさを感じているような看護師さんは、まず、“○○であるべきだ”“△〇でなければならない”など、思い込みがないか考えてみましょう。例えば、恥をかくことが怖いなどと感じている方は、「恥をかくことは絶対に耐えられない」と確信しているために、かえって緊張してしまったり、恥をかくようなことをしてしまったりする場合があります。 
 
例えば、恥をかきたくないために本当は知っている人に確認した方がいい処置のやり方をそのままにしてしまい、同僚に指摘されて結局恥をかくことになってしまう。例えば、「恥をかきたくない」と緊張するあまり意味の通らないことを口走ってしまい、結局恥をかいてしまう......といった具合です。この場合は、“恥をかかない方がいいと思うあまり、恥をかくことになってる......本末転倒だ”、“恥をかかない方がいいけれど、もし恥をかいたとしてもそれで私の人生全てが終わるわけじゃない” など、自身の思い込みを和らげるような言葉を自分にかけてあげることで、“絶対”という考え方がやわらぎます。考え方がやわらぐことで多少気持ちがやわらぎ、結果的に不本意な行動をとらずにすむかもしれません。
 

共感スキルで職場の雰囲気をハッピーに
まずは自分の“いいところ探し”から始めよう

患者さんだけではなく、一緒に働く仲間に対しても“共感のスキル”を皆が使えるようになれば、患者さんの居心地もナースステーションの雰囲気も格段によくなるでしょう。
 
動機付け面接の“共感のスキル”は、上達に練習が必要ですが、すぐにできることとしては、あなたが感じる相手の“いいところ”を積極的に探して、それを感じた具体的な場面を相手に伝えることです。“具体的”というのがポイントです。例えば、「○○さんの処置、手際がよくて無駄がなくて、真似したいと思いました」「さっき先輩が△△さんへ声かけられた時、△△さん、嬉しそうでしたね」などです。
 
「他の人の良いところを見つけることが苦手な方の多くは、ご自身のそれを見つけるのもまた苦手なことが多いようです。でも、諦めることはありません。苦手なのは、単に良いところを言葉にする経験が、これまで少なかったからにすぎないのです。相手のどのような部分に注目するかは、親の育て方やどんな教育を受けて過ごされてきたかによっても左右されます。良い悪いではなく、練習すれば見つけられるようになる、ということです」(三瓶さん)
 
練習方法は、まず自分の一日の中で“良かった”“できていた”「場面」を思い返して具体的に言葉にしてみること。例えば、「今日の私の担当の○○さんのトイレ誘導、時間をはかって声をかけたらタイミングぴったりだった」「○○さん、信頼している感じの眼で私のことを見て、ありがとうって言ってくれた」などです。できれば一日にひとつ以上は言葉にする練習をするようにします。日記のように手帳やノートに書くのがおすすめです。自分の、良いところ、できたこと、が具体的にたくさん書かれたノートは、落ち込んだ時に見返せば、あなたに元気を取り戻してくれるかもしれません。

こんな失敗例に覚えはありませんか?
ケーススタディで学ぶ原因と解決法

普段のコミュニケーションの中で、例えば次のような行動をとったことはありませんか?
①相手の話をしっかりと理解しないまま次の行動に移った
②苦手な患者さんや同僚との会話をなるべく避けている
 これらのケースに共通しているのは、「相手の考えや気持ちを理解しようとする会話を、省略しているか、怠っていること」です。
また、次のようなケースもあるかもしれません。
③患者さんの急変に驚いて、的確な指示ができなかった
落ち着かなくてはと思うあまり、落ち着けなくなってしまっている場合です。
 
こうしたケースに遭遇したことがある方は多いのではないでしょうか。では、この3つのケースを題材に、なにに原因があり、どのような対応をしたらよいのか考えてみましょう。
 
■Case1
相手の話が、抽象的でなにを言っているかわからなかったが、しっかりと理解しないまま次の行動に移った
 
<原因>
「あの処置は、終わっている? 」と、言葉に指示語が使われていたり、「もっとやわらかな感じで話してください」といったように抽象的な表現が多いと、コミュニケーションの錯誤が生まれやすくなります。話す相手がこうした表現が多い場合、話の内容をしっかりと理解しないままにしておくと、後々のトラブルにつながることもあります。
 
<解決法>「具体的に聞き返す」(&言葉じりの音を下げる)
抽象的な言葉を自分なりに想像して、相手がどのような考えや気持ちを伝えようとしているのか、自分の想像は相手の考えや気持ちと合っているかどうかを具体的に相手に確かめることで、解釈の齟齬が起こりにくくなります。「まぁいっか」と思わず、しっかりと意味を理解しようという姿勢での会話を心がけましょう。また、具体的に聞き返す際には、独り言を言うかのようにセリフの最後の音を下げることがコツです。音を下げることで威圧感を減らして相手を理解しようとしている意図をより伝えることができます。
例えば上記の例への確認では、「あの処置というのは、○○さんの包交のことでしょうか」「申し訳ありません。大きな声で早口で話してしまい驚かせてしまったでしょうか」などと、言葉じりを下げて聞き返します。
 
■Case2
苦手な人、怖い人がいて話しかけにくい。その人たちとの会話をなるべく避けている
 
<原因>
人に対するネガティブな感情は、コミュニケーションがうまくいかない大きな理由のひとつ。苦手であるというバイアスがかかってしまうと、なにげないコミュニケーションでも苦痛に感じてしまうからです。しかしながら、Aさんを苦手だと思っていたのに、実はAさんとよく似ているだけの、あなたにとって嫌な思い出のあるBさんとAさんとを重ねてしまっていただけ、ということはよくあります。人間の脳は似た情報がはいってくると、以前にもっている情報のひとつとしてまとめてしまう省エネ志向のため、似た部分があるだけであなたの脳はAさんとBさんを同じ分類にほうりこんでしまいます。しかし、よくよくその人を知るとAさんとBさんの似ているところはほんの一部分にしかすぎなかった、ということは起こりがちなのです。
 
<解決法>「観察する」&「相手の良いところを探して具体的な場面について伝える」
観察した上で、前述の、相手の“いいところ”を積極的に探して、それを感じた具体的な場面を相手に伝えることを積極的に行います。相手の良いと思う面を言葉にすることで、あなたもその言葉を耳でききます。そのことは、あなたの脳へ、相手の今の“分類”を変えるよう働きかけることにもつながります。また、その相手は、どういうタイミングで話しかけると機嫌が悪いのか、どのくらいの速度で話せばストレスなく聞き取ってもらえるかを観察してみましょう。その人とコミュニケーションをスムーズに行っている先輩や友達との会話やタイミングを真似てみると、話しかけるコツが掴みやすくなるかもしれません。
 
■Case3
パニックで頭が真っ白になってしまう
 
<原因>
医療現場では予想していないことが起きることも多々あります。突然の出来事にパニックを起こして的確な判断ができなくなり、コミュニケーションがうまくとれないこともあるでしょう。
 
<解決法>「自分の感情をおさえこもうとしない」
パニックになるのは、“落ち着かなきゃ。焦っちゃだめだ””不安になっちゃダメだ”と、無理に不足の事態に対する不安や驚き等あたりまえの感情をおさえこもうとするからです。人間がサルだった頃には、恐怖や不安を感じているからこそ、それらの感情を感じる生き物を敵だと判別して、その敵から逃げたり闘ったりして身を守ることができました。感情は、脳のより古くからある部分で感じています。感情そのものをおさえることはできません。従って、危機状態になった時に、感情をおさえようとすると、“危機的状況なんだからおさえちゃダメ”とばかりに、むしろその感情は大きくなってしまいます。
結果的に感情をおさえるためには、
①逆に“この気持ちはあたりまえ”と自分に何度も言い聞かせた方が、気持ちは落ち着く方向へ動きやすくなります。例えば「私は今すごく驚いている。驚くのはあたりまえだ」「めちゃめちゃ不安になってる。不安になって焦ってる。でもそれってこんな状況なんだから、あたりまえだ」などです。
②次に腹式呼吸を意識しながら深呼吸をしてください。深呼吸は、人間が唯一物理的に副交感神経系へ働きかけることができる方法です。冷や汗をかく、動けなくなるといった身体的反応やたかぶる気持ちを落ち着かせるためには、副交感神経を優位にさせるのが有効です。副交感神経を優位にするには、意図的に深呼吸をすることが最も効果的です。
③最後に、突然の出来事に対する対応を考えます。「私は今すごく驚いて不安でいっぱいだ。それは当然なんだ。その状態でもできそうなことってなんだろう。」誰かに報告することかもしれませんし、ナースコールをおして患者を安全なところに移動させることかもしれませんし、この驚きと不安とでいっぱいになった思考力や機能のおちた自分でもできそうな最善のことを探します。

いかがでしたか? コミュニケーションで悩んでいる看護師さんは、まず自身の“あたりまえ”が自身を苦しめていないか検討して、もしそうならばその考えを和らげるような言葉をみつけてみましょう。また、自身の良い部分を感じた具体的な場面を言葉にする練習をしていくことも効果的です。そうすることで相手の良い部分も探しやすくなります。相手が何を考え、何を望み、どんな気持ちを感じているのか、こうしたことを想像し言葉にして確認することを通して理解しようとすることで、信頼関係を作りやすいコミュニケーションをとれるようになるでしょう。

おすすめ書籍

『看護の現場ですぐに役立つ 患者接遇のキホン』
著者:三瓶舞紀子
出版:株式会社 秀和システム

医療現場の、接遇やマナーの悩みを解決してくれる
情報が盛りだくさん。患者さんとのコミュニケーシ
ョンに悩んでいる看護師さんにぴったりの一冊です。


   国立研究所研究員
   三瓶舞紀子
   2000年から7年間精神病院に勤務後、2007~2009年に
   聖路加看護大学大学院看護学博士前期過程修了。
   その後2009~2012年に順天堂大学医療看護学部精神看護教員として勤務し、
   2012~2014年に東京大学医学系研究科公共健康医学専攻を修了。
   現在は国立研究所研究員、および小児科医院にてカウンセラーとして勤務。
   また、動機づけ面接トレーナーとして面接法の研修や講演を行っている。

UP DATE 2019/10/28

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