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マナーがなければすべてが水の泡!?
おさえておきたい看護師面接の基本マナー
看護師さんの転職活動の中でも最も重要とされている面接試験。面接に向けて、身だしなみや持ち物のチェックはもちろん、質問への回答などの準備をする方がほとんどのはずです。でも、いざ面接でどんなに立派な志望理由や今後の目標を語っても、マナーや常識がなっていなければ、「前の職場で何か問題を起こして辞めたのでは?」と思われてしまうかも。反対に、きちんとした所作が普段から身についていることが感じられれば、面接官にもより一層魅力的に映るに違いありません。そこで、看護職の面接で気を付けるべきマナーについて、看護師でキャリアコンサルタント(国家資格)の濱田安岐子さんにお話をうかがってみました。
患者さんの命と健康を支えるだけでなく、患者さんのご家族のサポートまでを行う看護師さん。患者さんやそのご家族を大切にできるよう、責任感はもちろん、社会人としての常識やマナーを兼ね備えていることが求められます。もし自分や家族が病気になったとき、不躾なマナーで対応する人がいる病院に、大切な命を預けたいと思いますか? 誰一人としてそんな看護師さんを求める人はいませんよね。その想いは病院側も同じ。いくら看護師としての志や技術力が高かったとしても、マナーがない人を採用はしないはずです。
それほど看護師さんにとって大事なマナー。面接では、どんなところでマナーを見られているのでしょうか? ここからは、【面接前】【面接中】【面接後】の3つシーンに分けて、それぞれの場面で気を付けるべきポイントを、濱田さんに教えてもらいました!
【面接前】
★病院到着前に身だしなみをチェック★
看護師さんは衛生管理がとても重要な職業。清潔さを感じさせる身だしなみが重要です!
スーツ
・黒や濃紺のスーツが基本で、ストライプなどの柄が入ったものはNG
・スカートの丈は椅子に座ったときに裾が膝にかかるくらいがベスト
シャツ
・白色が基本で、色や柄の入ったものは避ける
アクセサリー
・基本的につけない
・腕時計はシンプルなデザインのものを選ぶ
ストッキング
・自分の肌色に合ったものを選ぶ
・黒色や濃すぎる肌色、色や柄、ラメの入ったものはNG
※男性の場合、靴下は黒色で、無地のものを選ぶ
靴
・黒色のシンプルなデザインのものを選ぶ
・細すぎるヒールはNG
・ヒールの高さは3~5cmがベスト
※男性の場合、先端の尖ったものは避ける
「いわゆる面接時の服装や身だしなみの例は、ビジネスシーンを想定して提示されていることが多くなっています。必ずスーツでなければならないということではなく、応用が上手にできていれば問題ありません。ただし、マニュアル通りの服装と身だしなみをしていることで、面接者は『面接の勉強をして、しっかり準備してきたのだな』と感じます。つまり、準備ができる看護師であるという印象を残すことができます」(濱田さん)
★10分前に到着し、5分前には受付を★
時間に余裕を持ち、10分前には面接会場に到着するようにしましょう。看護師という職業において遅刻は厳禁です!
最初の1分が超重要!
「面接では、入室からの1分で、面接官が応募者のイメージを決めてしまうといわれています」と濱田さん。多くの人の生命と健康のために、日々緊張感をもって働く看護師さんには、面接という緊張しやすい場面でも正しい立ち振る舞いができる人が求められています。
<入室時の立ち振る舞い>
①ドアをノックする。
②入室を促されてからドアを開け入室し、ドアの前で一礼する。手はふらふらとしないように、下腹部の前など自然な形で軽く重ねる。 ※男性は太ももの横につける
③椅子の前に立ち、名乗る。
④着席を促されてから着席し、面接を開始する。
<イスの座り方>
①椅子の前に立つ。
②浅く腰掛けてから、腰を後ろにずらして深く座る。
③背筋を伸ばして、前を見る。足はそろえ、手は太ももの上で軽く重ねる。 ※男性は、膝をこぶし1つ分ほど開け、手は太ももに置く
<お辞儀の仕方>
①まっすぐに立ち、視線を前に向ける。
②さっと頭を下げて、お辞儀の姿勢で1~2秒止まる。
③ゆっくりと体を起こす。視線は斜め下に。
【面接中】
★丁寧な言葉遣いを意識★
看護師さんは患者さんをはじめとする多くの人とのコミュニケーションが必要な職業。そのため、正しい言葉遣いができるかどうかが、看護師としてふさわしい人物であるかを判断する基準にもなります。「~です」「~ます」などの丁寧語で話すようにしましょう。
言葉遣いのポイント
丁寧な言葉 |
●わたし→わたくし ●あとで→のちほど ●ちょっと→少々 ●今日→本日 ●明日→みょうにち ●だれ→どなた ●これ・それ→こちら・そちら |
面接で大活躍の“クッション言葉”
言いにくいことや相手に迷惑をかけることを伝える場合は、「クッション言葉」をつけることで、こちらの申し訳なさを伝えることができます。
クッション言葉の一例
クッション言葉 |
●恐れ入りますが~ ●お手数おかけいたしますが~ ●ご迷惑をおかけしますが~ ●申し訳ございませんが~ ●失礼ですが~ ●差し支えなければ~ |
【面接後】
★最後は丁寧にお礼を★
忙しい中、面接の時間を設けてもらったことへの感謝の気持ちを伝えましょう。まずは椅子から立って御礼とお辞儀を。部屋から退室するときも、ドアの前で面接官の方に向き直り、改めてお辞儀することを忘れないようにしましょう。
<退室時の立ち振る舞い>
①面接が終了したら、立ち上がって椅子の左側に移動し、一礼する。
②ドアの前でお礼を言い、退室する。
「仕事上、患者さんやそのご家族と接する機会が多いので、立ち振る舞いのマナーは普段から身についているはずです。面接のために練習したのか、そうでないのかは、面接官もわかっていますよ」
★建物を出るまでは気を抜かない★
建物を出るまでが面接といっても過言ではありません。すれ違うスタッフに挨拶をする、担当者が出口まで見送りをしてくれる場合は、再度振り返りお辞儀をするといった気配りも忘れずに。病院内で携帯電話を使用するのはご法度です!
「家に着いてから、お礼のメールを送ると印象もよく、マナーが身についていることをアピールできるでしょう」
応募者側のメリット | 採用側のメリット |
・交通費など移動コストがかからない ・移動時間がなく、面接を受けられる回数が増える ・遠方の病院など、応募先の幅が広がる |
・採用にかかるコストが削減できる ・遠方に住んでいる優秀な人材などとのマッチング機会を増やせる ・採用活動が効率化できる ・面接を録画しておけば、動画をスタッフ間で共有できる |
面接試験を経て、無事に内定をもらったら、それで転職活動が終わりというわけではありません。今の職場に次の職場が見つかったことを伝え、ほかのスタッフたちに迷惑をかけないようにしっかりと仕事を引き継ぐこともマナーのひとつです。
退職の意思は、職場にルールに従って就業規則を確認しつつ、勤務調整が困らない時期を上司に確認できるとよいでしょう。検討段階から管理職に必ず口頭で伝えるのがベスト。退職の意向を伝える前に職場の同僚などに相談をして、噂という形で管理職の耳に入るという事態にならないよう注意しましょう。
「辞めるということは、職場に大きな影響を与えることなので、同僚たちも動揺するはずです。退職の意思や辞める時期はもちろん、辞めることを職場の皆さんに伝えるタイミングや辞める理由、伝え方についても、師長さんと相談した方が良いでしょう」
これまでの職場を辞める際は、円満退社が一番。とくに、病院内での横のつながりが必要不可欠な看護師さんの場合、退職することを伝えた後も勤務することを考えると、関係悪化によって居心地が悪くなるような状況は極力避けた方が、最後まで気持ちよく勤務できます。
現在の職場に対する不満や人間関係のもつれなど、力を尽くしても改善することができなかった状況で退職という結論に至ったプロセスが、上司に伝わっていることが重要です。なにも努力せずに退職をしたという印象を残さないよう、たとえ退職理由がネガティブなものであっても、職場の上司や同僚に対する配慮や気配り、辞めることによる影響をなるべく小さくするための努力を忘れないようにしたいものです。
看護師採用試験 面接試験攻略法
著者:濱田安岐子
出版:つちや書店
面接試験に不安を抱えている人に向けて、実際の面接でよく聞かれる質問55個や面接で差がつくマナーと常識を紹介するほか、面接時の質問に対する回答の考え方まで解説しています。
濱田 安岐子氏
NPO法人看護職キャリアサポート代表
病院看護部での教育担当と看護専門学校専任教員経験の後、キャリア・ディベロップメント・アドバイザーの資格を取得(2016年より国家資格キャリアコンサルタント登録)。2006年から独立し、看護師のキャリアカウンセリングや病院看護部の教育プログラム企画運営等の支援を始める。2010年NPO法人看護職キャリアサポートを設立。現在は病院に所属せず、利害関係のない第三者の立場で看護職へのキャリアカウンセリングを実施。そのほか、執筆活動や研修講師を通して看護師の自分らしいキャリアを支援している。
UP DATE 2020/08/28
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