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コロナ禍でも自信をもってケアするために!
訪問看護師が押さえておきたい3つのポイント

新型コロナウイルス感染症の拡大で、心配な毎日が続いていますね。とはいえ、訪問看護を必要としている患者さんには、いつでも、どんなときでも安心してもらえる看護を提供したいものです。今回は、コロナ禍における「訪問看護のマナー」をテーマに、埼玉医科大学総合医療センター 訪問看護ステーション管理者の澤田理恵さんを取材。新型コロナを恐れず、自信をもってケアを行えるように、訪問看護師に知ってほしい在宅ケアの特性と「訪問看護のマナー」のポイントをお聞きしました。

患者ニーズが急上昇
「訪問看護のマナー」を見直そう!

自宅で療養したいと望む患者さんにとって、在宅ケアの充実はとても大切です。しかし、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の発生以降、なかなか思うようにケアを提供できないと、悩まれている訪問看護師さんは多いのではないでしょうか。
 
そうした気持ちと反するかのように、訪問看護を希望する患者数は「圧倒的に増えているように感じる」と澤田さんは言います。
 
「多くの病院で面会制限が行われていますが、そのことが患者さんやご家族の精神面に影響を及ぼしているのではないかと思います。『面会ができないのならば、早く退院して、自宅で過ごしたい』と考える方が増えているのではないでしょうか。また、デイサービスではマスクを着用しなければならないため、『苦しいから嫌だ』と、利用者にとって居心地の悪い場所になってしまっていたり、そもそもデイサービスなどの施設が休止になったりといった理由から、訪問看護に切り替えたいと希望する方もいらっしゃるようです」(澤田さん/以下同じ)
 
訪問看護に対する患者ニーズが高まるなかで、訪問看護師が安全でスムーズなケアを提供するためにはどうすればよいのか。第一に求められるのは、「新型コロナに対する万全な対策」ではないでしょうか。
 
このコラムでは「万全な対策」のことを、感染管理の視点から見た「訪問看護のマナー」と呼ぶことにしましょう。配慮すべきマナーというのは、インフルエンザやその他の感染症と変わりないかもしれません。しかし、コロナ禍においては特に、訪問看護師が感染の原因になったり、患者さんから病原体をもらって自分が感染したりというリスクが高くなります。安全で安心のケアを継続的に提供するためにも、また、コロナ禍であっても効率よく仕事を進め、訪問看護を希望する多くの患者さんをケアするためにも……。今いちど、在宅ケアに対する理解を深め、訪問看護のマナーを見直してみてはいかがでしょうか。

感染管理から見た
「在宅」という特異的な環境とは

まずは、訪問看護のサービスを受けている患者さんの特性や環境について、あらためて確認しておきましょう。そもそも、訪問看護を利用する患者さんの多くは、医療依存度が非常に高いという特性があります。
 
「医療技術が進み、人工呼吸器などの医療機器を必要とする患者さんや、末期がんの患者さんなども、自宅で療養できる時代になりました。中には、腹膜透析や中心静脈栄養、自己注射など、患者さん自身やご家族で管理しながら治療を続けられるものもありますね。しかし、それだけ医療依存度が高いということは、さまざまな医療機器が必要となりますし、多くの職種がその患者さんに関わるということになります」
 
つまり、患者さんが自宅で過ごせるという大きなメリットがある反面、感染管理の観点で考えると、在宅という場には、感染源になり得るリスクが多く潜んでいるということになります。その一つに、医療器具があります。自宅では、病院などと比べると器材の共有が少ないことや、他の患者(利用者)がいないことから、病原体が侵入する可能性は低いかもしれません。しかし、「器具の洗浄を怠たる」「器具を不衛生な環境で取り扱う」など適切に管理しなければ、感染リスクは高まる可能性があります。
 
「患者さんやご家族、そして出入りする訪問看護師をはじめ、医師、薬剤師、ホームヘルパーなども感染源になる可能性がありますね。犬や猫などのペットも感染源のひとつになりますが、これは自宅ならではの環境と言えます。また、複数の人が使う場所がたくさんあるというのも自宅の特徴です。トイレ、寝具、衣類、食卓や台所のような水回りなどは、感染経路としての影響は大きいと思います。
 
患者さんが、医療施設やデイサービスなどに出かければ、そこでも感染源に接触することが考えられます。在宅は、病院とは異なる感染リスクがあちらこちらにあるという、特異的な環境であることがわかりますね」
 
そして、在宅という環境について、なによりも押さえておいてほしいのが「自宅は生活をする場である」ということだと、澤田さんは続けます。「本人やご家族が、病院での医療行為を望まず、自宅で生活をしたいと思っていることを、訪問看護師はいつでも頭に入れておいてほしいですね」
 
患者さんの生活は本人のものであり、患者さんの同意あってこそ、訪問看護師などのサービス提供者が関われるということ。画一的なケアではなく、一人ひとりの生活環境や在宅特有の特徴をしっかりと踏まえたうえで、患者さん中心のケアを行うことをめざしていきたいものです。

コロナ禍でも最善のケアを!
「訪問看護のマナー」の3つのポイント

最後に、訪問看護を利用する患者さんに、よりよいケアを提供するための「訪問看護のマナー」についてまとめておきましょう。基本的なマナーとしては、手洗い・消毒、手袋、エプロンなどの正しい用法がありますが、具体的な内容に関しては近日公開予定の後編でご紹介します。ここでは、訪問看護のマナーのベースにある「3つのポイント」を、澤田さんに教えてもらいました。
 
ポイント1
患者さんに完璧を求めない
 

「自宅という場は、感染管理を完璧に遂行できる環境ではないことを覚えておきましょう。皆さんもご自分の生活を振り返ってみるとわかると思いますが、生活をするうえで感染源を完全に断ち切ることはまず不可能です。医療者の視点から見るとベストではないこともあるでしょうが、患者さんの価値観を尊重しながら、常に患者さんの合意を得たうえで看護を進める必要があると思います」
 
ポイント2
感染管理の重要性をしっかり伝える

 
「感染防止のための対策をいきなり強要してはいけません。まずは、患者さん本人はもちろん、ご家族も巻き込んで、感染管理の必要性や重要性をじっくりとお話しすることから始めましょう。例えば、腹膜透析をしている患者さんの場合、厳重な感染管理が必要です。もし、部屋にペットの犬が出入りできるようになっているのであれば、どのようなリスクがあるのかを丁寧に説明し、患者さんとご家族に納得いただくことが大切です。腹膜透析を行っている時間は犬をゲージに入れていただくなど、具体的にアドバイスするのもよいですね」
 
ポイント3
生活習慣に合わせた提案をする

 
「訪問看護は、患者さんの生活空間で行われます。そのため、訪問看護師の立場で必要と思っても、患者さんやご家族の同意を得ずに行うことは、信頼を損なうおそれがあります。訪問初日から『病院ではこう指導されたでしょ?だから、きちんとやってください』などと言ってしまうと相手は警戒してしまいます。まずは、必要と考えるケアについて、相手に受け入れてもらえる関係性を築くことが大切です。コミュニケーションをとるなかで相手を理解し、患者さんの能力や生活習慣に合わせた提案を行うようにしましょう」

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新型コロナに感染した患者さんや疑いのある患者さんを訪問する場合、患者さんと接する時間をなるべく短縮している訪問看護ステーションは多いと聞きます。感染リスクを考えると当然の流れといえますが、患者さんの中には「十分なケアを受けられていない」と感じている人もいるかもしれません。
 
しかし、コロナ禍だからといってあきらめず、「どうしたら効率的に、満足度の高いケアを提供できるのだろう」という視点をもってみてください。今回お伝えした内容は基礎的なものかもしれませんが、あらためて振り返ることで、新しい視点が生まれたり、業務の効率化につながるようなアイデアが浮かんだりすることもあると思います。訪問看護を望む多くの患者さんのために、コロナに打ち勝つような安心のケアをぜひ提供し続けてください!

おすすめ書籍

訪問看護師のための在宅感染予防テキスト
編著:NPO法人 HAICS研究会 PICSプロジェクト
出版:メディカ出版

感染予防の基本から、在宅ケアにおける注意点まで、写真やイラストを用いながらわかりやすく解説!指導&説明ツールはそのままダウンロードして使える、現場でも活躍する便利な一冊です。

澤田理恵氏
 埼玉医科大学総合医療センター訪問看護ステーション
 管理者・訪問看護認定看護師
埼玉医科大学附属看護専門学校を卒業後、1998年より訪問看護に携わる。
2004年より埼玉医科大学総合医療センター訪問看護ステーションへ入職
2006年に訪問看護認定看護師資格を取得
2013年12月より同ステーション管理者として就任し、現在に至る。

UP DATE 2020/11/24

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