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きちんと感染対策できてる⁉
安全に訪問看護を行うための基礎的マナー

新型コロナの発生以降、訪問看護を希望する患者さんが増えているといいます。病院での治療から在宅医療へ切り替える患者さんや、デイサービスなどの外出を控えて訪問看護を増やす患者さんなどがいるのだそうです。在宅ケアにおいても感染リスクが不安視されますが、訪問看護師は今まで以上に感染対策に敏感にならなければいけませんね。そこで今回は、安全にケアを提供するための「訪問看護のマナー」をおさらいしましょう! 埼玉医科大学総合医療センター 訪問看護ステーションで管理者を務める澤田理恵さんに、澤田さんが今現在も行っている感染対策のお話しを交えていただきながら、訪問看護の基礎的マナーについてお聞きしました。

手洗い、消毒を徹底的に!
感染予防の基本の中の基本とは

澤田さんによると、訪問看護の現場において、新型コロナウイルス感染症などの感染を防ぐために最も有効な方法は「手指衛生」だといいます。石けんを使って手洗いをすること、アルコール消毒液などを使って手指を消毒することの両方をしっかりと行うことが、訪問看護の重要なマナーとなります。
 
「手洗いは、感染予防の基本として必ず行っていただきたいことです。訪問看護先の患者さんのご自宅でも、手洗いのために水道を使わせていただきたいということを、あらかじめお願いしておくとよいと思います。過去には、物がたくさん積まれていて水道が使えない、というお宅もありましたが、お願いすればたいていは対応してくれました。なんらかの理由でどうしても水道を自由に使えないという場合は、ペットボトルに水を用意して持参してもよいでしょう」(澤田さん/以下同じ)
 
訪問看護の場合、外に出かけるのが必須。外に出た瞬間から、汚れやほこりなどが手や指に付着したり、虫や泥なども付いたりする可能性があります。目に見えないとしても、「手には必ず何かが付着している」と思って、「しっかりと洗い流そう」と意識することが大切です。
 
「アルコール消毒液は、水で洗い流せなかったウイルスなどを除去するためのものです。汚染された状況でアルコール消毒をしても意味がないので、なるべく手を洗ったうえで、消毒液を使うことをおすすめします。ただし、手を洗える環境ではない場合、効果は下がりますがアルコール消毒液だけもOKです。なかでも、擦り込み式のアルコール消毒液は効果が期待できます」
 
水で手を洗い流すこと、アルコール消毒液を活用することは、ケアにおいての基本中の基本。いつも必ず行っているという訪問看護師の方も多いと思いますが、その方法や注意すべき点に意外な見落としがあるかもしれません。毎回の訪問で正しく実行できているかどうか、あらためてチェックしておきたいですね。

知っていても、もう一度確認を!
押さえておきたい手指衛生の基礎知識

まずは、手洗いと手指の消毒を正しく行うための基礎的な知識をチェックしておきましょう。どんなタイプの手洗い石けんがよいのか、アルコール消毒液の適量はどのくらいなのか……。澤田さんも監修をつとめる『訪問看護師のための在宅感染予防テキスト(メディカ出版)』より、いくつかのポイントをご紹介します。
 
手洗い石けんのポイント
□石けんは非抗菌性タイプでOK!
一過性に付着した細菌のほとんどを除去することができます。
 
□ポンプ式の液体石けんがベスト!
固形の石けんは水分が残って、細菌の汚染を受ける可能性があります。
 
□石けんがなくなったら新しいボトルにチェンジ!
液体石けんはリフィルタイプのものもありますが、ボトルの洗浄や乾燥が不十分な場合、細菌が繁殖してボトル内を汚染する可能性があります。ボトルへの継ぎ足しはせず、常に新しいボトルに交換しましょう。
 
擦り込み式のアルコール消毒液のポイント
□たっぷりの量を使用しよう
重要なのは使用する量です。擦り込み式のアルコール消毒液はポンプ式の製品が多いです。ポンプを最後まで押して出てきた量(約3mlのものが多い)が1回の量です※。少し多いように感じると思いますが、量が少ないと両手を十分に消毒できません。
※製品によって適量が異なるため、使用前に必ず確認してください。
 
手指衛生のときのポイント
□身につけているものを外そう
腕時計や指輪をはずして手洗い、消毒を行いましょう。
 
□洗い残し、消毒液の擦り込み残しのないように
親指、指先、爪の間、水かきなど、手洗いをしそこないやすい部位があります。これは、アルコール消毒液の使い方でも同様の部位です。

きちんとできている?
正しい手洗いの方法と消毒液の使い方

次はいよいよ、石けんと流水による正しい手洗いの方法と、擦り込み式アルコール消毒液の正しい使用法のチェックです。普段から正しく実行できているかどうか、一つひとつのステップをじっくりと確認してみてください。1つでも見落としがある場合は、明日からさっそく正しい方法を取り入れてみましょう。
 
石けんと流水による正しい手洗いの方

提供NPO法人HAICS研究会

正しい擦り込み式アルコール消毒液の使用方法

提供NPO法人HAICS研究会

患者さんにいつでも安心を!
訪問看護のマナーをシーン別に解説

​手指衛生の重要性について振り返ってきましたが、感染対策はそれだけでは不十分です。訪問看護師が、患者さんにとって、いつでも、どんなときでも安心してもらえる存在であるために、できる対策はどんどん取り入れながら、万全のケアを行っていきたいものですね。
 
最後は、手指衛生を含めた、感染対策における訪問看護のマナーをご紹介。澤田さんが、コロナ禍である今現在も、実際に取り組まれているマナーを訪問看護のシーン別にまとめてみました。いずれもすぐに始められるマナーばかりですので、「まだ取り組んでいなかった」という内容があれば、さっそく試してみてください!
 
訪問前のマナー
①車に乗る前にシュシュっと消毒!
「私たちの移動は、ほぼ車です。車に乗る前に、スプレータイプの消毒液を使って自分に吹きかけたり、車内をアルコールでふき取ってから車に乗るようにしています。患者さんのご自宅に着く前から、感染対策は始まっています」
 
②玄関に入る前にも消毒を
「患者さんのご自宅に着いたら、手指消毒という意味で、アルコール消毒液を手に擦り込みます。自分の衣類にもシュシュっとしましょう」
 
③水道を借りて手洗い・消毒を入念に
「先ほどもお伝えしましたが、ケアを始める前は、必ず手をしっかり洗い流してください。もちろん、アルコール消毒も必須です」
 
 
訪問中のマナー
①手袋を適切なタイミングで取り換える
「手袋は、数に限りもあると思いますので、一人のケアの最初から最後まで同じものを使うことが多いと思います。しかし、臀部など下半身のケアや痰吸引などをした際は、作業が終わるごとに手を洗い、手袋を変えるようにしましょう。手洗いができないときは、ジェルタイプの消毒液で代用してもよいでしょう」
 
②こまめに洗面所を利用しよう
「できれば作業ごとに手洗いをしてほしいですね。私も、ちょこちょこ洗面所に行って、水道をお借りしています(笑)」
 
 
訪問後のマナー
①痰吸引やマウスケアを行ったら各アイテムは捨てよう
「飛沫が考えられる作業には、ゴーグル、エプロン、手袋などのアイテムが必須です。一度の訪問の中で2回、3回と吸引などを行うことがありますが、その都度、取り換えるのはむずかしいことでしょう。でも、訪問が終わったら、そのとき使ったものは捨てるようにしてください」
 
②捨てるのは訪問先のご自宅で
「使用したものでもう使わないというものは、基本、患者さんのご自宅で廃棄するようにしてください」
 
③最後もシュシュっとして終わり!
「玄関を出たら車に乗る前に、自分の衣類、手指などのアルコール消毒をしましょう」

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一つひとつのシーンをあらためて確認してみると、手を洗うタイミング、消毒液を使うタイミングがかなり多いことに気づきますね。さらに、手指衛生以外にも、気をつけるべきポイントがたくさんあることもわかります。
 
「普段からジェルタイプの消毒液は持ち歩いていましたが、噴霧タイプは、コロナ禍になってから使うようになりました。いっときは、品切れになってなかなか入手できないこともあり、感染予防をするのにかなり苦労しましたね」と、澤田さん。
 
まだまだ、先行きが見通せない新型コロナ。アルコール消毒液の売り切れ状態が、またいつ起こるともわかりません。そして、訪問看護のあり方も、この先どんどん変わっていくかもしれませんね。とはいえ、訪問看護のマナーはある意味で普遍的。どんな世の中になったとしても、手指衛生や訪問先で行うべきことというのは、大きくは変わらないはずです。世の中の状況や患者さんの状態に柔軟に対応しつつも、マナーの基本は基本としてきちんと理解し、いつでも正しい感染予防とケアを実施できるようにしておきましょう。

おすすめ書籍

訪問看護師のための在宅感染予防テキスト
編著:NPO法人 HAICS研究会 PICSプロジェクト
出版:メディカ出版

感染予防の基本から、在宅ケアにおける注意点まで、写真やイラストを用いながらわかりやすく解説!指導&説明ツールはそのままダウンロードして使える、現場でも活躍する便利な一冊です。

澤田理恵氏
 埼玉医科大学総合医療センター訪問看護ステーション
 管理者・訪問看護認定看護師
 
埼玉医科大学附属看護専門学校を卒業後、1998年より訪問看護に携わる。
2004年より埼玉医科大学総合医療センター訪問看護ステーションへ入職
2006年に訪問看護認定看護師資格を取得
2013年12月より同ステーション管理者として就任し、現在に至る。

UP DATE 2020/11/27

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