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看護師・介護士さんにも多いHSPって?
特徴を知り“生きづらさ”から脱却しよう

「他人の気持ちに敏感」、「少しの失敗で自分を責めてしまう」、「とにかく疲れやすい」。普段の生活でこうした“生きづらさ”を感じていませんか? それは、もしかしたらあなたが「HSP気質」だからかもしれません。HSPとは“Highly Sensitive Person”を略したもので「とても敏感な人」を意味します。実は、看護師・介護士さんに比較的多い気質でもあるのです。今回は、日本でも数少ないHSPの臨床医であり、十勝むつみのクリニック院長の長沼 睦雄先生に、HSPの特徴や傾向に加えて、HSP気質の看護師・介護士さんがもっと生きやすくなるコツを教えていただきました。

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Instagramの投稿数は約6万件!
今、HSPが注目を集めるワケ

最近、じわじわと話題になっている「HSP」。書店では、HSP関連の書籍を目にすることが増え、Instagramでの「#HSP気質」の投稿数は、約6万件にのぼります(2021年3月時点)。なぜ今、HSPが注目され始めたのでしょうか。
 
「とても敏感な人=HSPと呼ぶようになったのは、1996年に出版された、アメリカの心理学者エレイン・N・アーロン博士の著書『The Highly Sensitive Person』がきっかけです。この翻訳本が日本でも出版され、2000年ごろから日本にもHSPが広まり始めました。
 
HSPが注目され始めた理由のひとつは、今まで病院や医師に相談しても、敏感さへの悩みや不安を解決できなかった人たちに、HSPの概念がぴったり合ったことが考えられます。最近は敏感さをテーマにした書籍も増加しているため、HSPという言葉を目にする機会が昔以上に増えたことも大きいでしょう。さらに、コロナ禍によって不安や恐怖が高まっていることも、他人の気持ちや感情に敏感なHSP気質の方々を刺激しているのだと思います」(長沼 睦雄先生)

敏感な自分に悩んでいませんか?
「4つの性質」があるかを調べてみよう

HSPには、例えば「人の感情や感覚に過剰に反応する」、「音や色、においなどの刺激に敏感」、「特別な感覚を持つ」「自己肯定感が低い」などの特徴があるとされています。「もしかしたら自分も……」と思いつつも、いまひとつ判断するのが難しいですよね。どのような人がHSP気質だといえるのでしょうか。
 
「HSPかどうかを調べる際、私がいつも確認しているのが『HSPに必ずある4つの性質』です。これはアーロン博士によって提唱されたもので、4つ全てが当てはまらないとHSPではないとしています」
 
HSPに必ずある「4つの性質」
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1.物事を深く処理する
あらゆることを、深く、丁寧に考え理解するため、機知に富んだ発言ができる。
一方で、さまざまな可能性を配慮し、慎重に考えるため行動に移すまでに時間がかかる。
 
2.過剰に刺激を受けやすい
普通の人にとっては何でもないようなことがとても気になる。
特に大きな音、強いにおい、大勢の人がいる場所、突然の予定変更などに弱い。
 
3.感情の反応が強く、特に共感力が高い
人の気持ちをくみ取って、相手の考えていることを予測する直観力に優れている。
一方で、人の感情に同調し、自分も悲しくなったりつらくなったりする。
 
4.ささいな刺激を察知する
小さな音、微かなにおい、わずかな味の違いなど、普通の人が気づきにくい感覚を感じ取る。痛みにも敏感。
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「ひとつ注意していただきたいのは、HSPは病気の概念ではないということ。自律神経系が生まれ持って敏感であるという神経の特性のことです。発達障害や不安障害とは別の概念ですので、そこはきちんと理解しておいてくださいね」

HSP気質の看護師・介護士さんが多い理由は
アダルトチルドレンとの関係性にアリ

看護師・介護士さんは、患者さんやその家族、医師、薬剤師など常に他人と関わる仕事でもあり、時に命に関わる仕事でもあります。刺激に過剰に反応したり、行動を起こすまでに時間を要する性質を考えると、HSPの方は看護師・介護士という職を避けるのでは……とも考えてしまいます。しかし、長沼先生いわく、「HSPの看護師・介護士さんはとても多い」のだそう。
 
「私のクリニックにHSPで来診される方の中には、看護師・介護士さんも多くいらっしゃいます。HSPの看護師・介護士さんが多い理由のひとつには、アダルトチルドレン(以下AC)という概念が大きく関係しています。ACは、もともと看護師・介護士さんに多いといわれており、看護雑誌などで特集が組まれているのを見たことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 
ACとは、子ども時代、親や大人など周囲の人間に左右され、自己主張や自分の本音を出すことができないまま育った大人のこと。HSPはこの現象の原因のひとつ、ACは結果のひとつと考えてよいと思います。HSPの真面目で正義感が強く、外にばかり気をくばり、自己主張ができないという特性は、ACの「大事なことをはっきり言語化することに不安を感じ、本当の気持ちを言えない」という結果をもたらします。
 
さらに、ACの人は育ちの中で「人に認められたい」「人に役に立ちたい」などの承認欲求が強くもつので、「人を助けたい」という気持ちが強く、看護師・介護士というような人に尽くす職業を選びやすくなります」
 
HSPは繊細さや過敏さにより、神経系が高ぶりやすいため、疲れやすく、慢性疲労や精神症状が出やすくなります。そのため、「自分は看護師・介護士に向いていないのではないか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。しかし、長沼先生は「敏感な性質を活かせれば、優れた看護師・介護士になれる」と言います。
 
「仕事に疲れ果ててしまうと、HSPのマイナス面ばかりが意識されがちですが、疲労を防げればHSPは職場での“優しさのカギ”になれるのです。HSPは、共感性が高く想像力も豊か、人の感情や感覚に敏感で気も利きます。患者さんが求めていること、感じていることをいち早く察することができます。その優しさに癒され、救われる患者さんが多くいるのです」

必要以上の疲労を抱える看護師・介護士さんへ
敏感さんが生きやすくなるための4か条

HSPの看護師・介護士さんは患者さんに「癒し」や「安心」を与えてくれる、とても大切な存在です。人との関わりが仕事の大半を占める看護師・介護士さん。しかし、マルチタスクでとても多忙な職業であるがゆえに、HSPは想像以上の疲労や疲労感を背負ってしまいます。そうした方々の生きづらさを少しでも解消するための4か条を教えていただきました。
 
敏感な自分を生きやすくするための4か条
 
1.自分の特徴を知る
自分はHSPであるということや疲労しやすいということを、まずはきちんと自分で理解し納得することが大切です。生きづらい理由を自分の中で明確にしておきましょう。また、敏感さといってもその性質や程度は人によってさまざまです。自分が何に敏感なのかをきちんと知っていることが、対策の糸口になります」
 
2. HSPとして生きる覚悟を決める
「HSPは病気や障害ではなく、生まれもった神経の過敏性です。ならばどうするか。まずは自分がHSPであることのマイナス面を認め、受け入れましょう。次に自分の弱さを理解し受けとめてくれる人を探しましょう。弱さを公開し、仲間に助けてもらいましょう。HSPとして自分を尊重して生きる覚悟が大切です。」
 
3.自他の境界線を引く
「HSPの特徴のひとつに、『心の境界線の弱さ』があります。非HSPの人は『自分は自分、人は人』という自他を区別する境界線をしっかりもっていますが、HSPはこの境界線が弱いことで、他人の考えや気持ちに巻き込まれたり、入り込まれたりしてしまうのです。時に感情を揺さぶるような現場を担当する看護師・介護士さんにとって、他人との境界線をきちんともつことは重要なポイントです」
 
4.ひとりで休む時間と空間
「真面目で頑張り屋が多いHSPは、我慢や無理をしがちです。他人の目を気にするがあまり、『自分は怠けてはいけない』『期待に応えなければならない』など、潜在的な思い込みで自分に無理をさせてしまうのです。疲れ果てないためには休むことへの罪悪感など捨てて、『自分にとって休息は必要なこと』と考え、ひとりで静かに休める時間と空間を確保しましょう」

繊細さや敏感さは、今の仕事に必要なすばらしいアイデンティティです。普通の人には気づけないような患者さんの気持ちを察したり、困っている仲間を先回りしてサポートしたり……。「生きづらさ」を感じている方も、少しだけ見方を変え、自分を守り大切にする対策をしっかり行えば、自分だけの強みへと変えられるかもしれません。
 
後編では、春の新たなスタートに向けてHSP気質ならではの仕事のお悩み解決法をご紹介します。

おすすめ書籍

『敏感すぎて生きづらい人の心が楽になる方法』

著者:長沼 睦雄
出版:永岡書店

HSP気質を味方につけるための4つのステップと15のワークをわかりやすく紹介。
HSPさんの「やりたいこと」が実現できるよう、背中を押してくれる一冊です。

長沼 睦雄氏
 
十勝むつみのクリニック院長。日本では数少ないHSPの臨床医。2000年よりHSPに注目し研究。北海道大学医学部卒業。脳外科研修を経て神経内科を専攻し日本神経学会認定医の資格を取得。北大大学院にて生化学の基礎研究を終了後、障害児医療分野に転向。道立札幌療育センターにて13年間小児精神科医として勤務。2008年より道立緑ヶ丘病院に勤務し大人の精神科診療も。2016年にクリニックを開業し、HSPや慢性疲労を中心に、脳と心(魂)と体の統合的医療を目指している。著書に、『敏感すぎる自分を好きになれる方法』(青春出版社)『10代のための疲れた心がラクになる本』(誠文堂新光社)、『敏感すぎる人のいつものしんどい疲れがすーっとラクになる本』(永岡書店)など多数。

UP DATE 2021/04/02

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