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がちょっぴり気になるアレコレにお答えします!休憩時間や通勤などのスキマ時間にサクッと読めるお役立ちコラムです。

HSPならではの仕事のお悩み解消術
職場環境の変化に負けず無理なくスタートできるコツ

HSP(Highly Sensitive Person)をご存知ですか? 「とても敏感な人」と訳されるこの概念が、最近注目を集めています。他人の感情や感覚などの刺激に敏感なHSPの方にはさまざまな特徴があり、「初めての人や場所は不安で怖い」、「集団のザワザワした雰囲気が苦手」というような面を持ち合わせていることも。とはいえ、これからは出会いと始まりの季節! 春から新たな職場でスタートを切るけれど不安……という、HSP気質の看護師・介護士さんがグンと働きやすくなるコツを、HSPの臨床医であり、十勝むつみのクリニック院長の長沼 睦雄先生に教えていただきました。

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マイノリティゆえの苦労……
慢性疲労も実はHSPが関係していた?

まずは、HSPについてかんたんに説明しておきましょう。HSPには【①物事を深く処理する②過剰に刺激を受けやすい③感情の反応が強く、特に共感力が高い④ささいな刺激を察知する】という4つの性質があります。HSPの提唱者であるアメリカの心理学者エレイン・N・アーロン博士は「HSPならば、4つ全ての特性をもっている」、と提言しています。また、敏感さにより、普通の人以上に疲労感を感じやすいというのも特徴のひとつ。特に疲れやすい職業である看護師・介護士さんはなおさらではないでしょうか。
 
「HSPは、性別、国、職業に関係なく2~3割といわれています。職業柄、看護師・介護士さんには多いと思います。それでも、マイノリティがゆえに、優しくて気が弱く、いやと言えない看護師・介護士さんほど、組織の中では仕事を頼まれたり、押しつけられがちです。加えてHSPの人は持ち前の責任感の強さや、嫌われたり攻撃される恐怖から、依頼を断るのが大の苦手。感覚刺激で自律神経も疲労しているのに、仕事量も増えたら、疲労や疲労感は蓄積する一方なのです。こうした結果、慢性的な疲労に悩む方も少なくありません。
 
最近、HSPと『慢性疲労』との関係がわかってきました。神経の敏感さは、感覚神経や自律神経が、炎症で誤認識や誤作動を起こしている結果であり、HSPはストレス負荷でそれらの神経系が炎症を起こしやすいというメカニズムが推定されているのです。どれだけ休んでも疲労感が取れないと感じている慢性疲労状態の方にはHSPが多いかもしれません。
 
少し余談になりますが、看護の祖と言われているナイチンゲールは、クリミア戦争従軍後、50年間も疲労虚脱状態に陥り病床に伏しました。このことから、彼女の誕生日である5月12日は看護の日であるとともに慢性疲労症候群の国際的な啓発デーになっています。それほど、人や社会に尽くす看護という仕事は疲労しやすい職業でもあるということですね」(長沼 睦雄先生)

看護師・介護士さんのお悩み第1位
HSPならではの職場でのストレス解決術

相談に来るHSPの看護師・介護士さんの悩みには、実習や実務場面での対人関係のストレスが多いとのこと。そこで、HSPが陥りやすい仕事上でのお悩みと、その解消方法を長沼先生に教えていただきました! 疲労や疲労感がたまってばかりというあなたも、この春は、イキイキと働けるように少しだけ自分の理解や働き方を変えてみましょう!

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お悩み1 突発的なできごとにパニックになる
6秒間の深呼吸で気をそらそう
 
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「本来、HSPには、マルチタスクでなく、マイペースでじっくり取り組めて、突発的なできごとが少ない仕事が向いていますが、看護師・介護士さんのお仕事にそれらはつきもの。状況に応じた臨機応変さが求められる仕事ですよね。
 
HSPは、急な予定変更や思わぬ叱責などがあると交感神経が高ぶり、興奮してパニックになったり、緊張して固まったりすることがあります。このようにパニック状態になりやすい人は、神経の高ぶりを早めに自覚して、6秒間だけ気をそらせてみましょう。神経の高ぶりや怒りのピークは長くても6秒で鎮まると言われていますから、まずはゆっくりと3回深呼吸をする、1から10数えるなどをして気持ちを落ち着かせてください
 
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お悩み2 相手の感情に左右されすぎてしまう
自分の「バリアー」をもつ
 
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「脳の中には、ミラーニューロンという“相手の行動を見ただけで、自分も同じ行動をとったかのように反応する”神経細胞があります。HSPは非HSPに比べて、感情のミラーニューロンの働きが活発であるがゆえに、他人の感情に同調しやすくなります。
 
マイナスな感情をもっている人には近づかないことが一番ですが、その相手が患者さんであれば避けられません。嫌な思いをしないためには、強気になることです。「気が弱い、優しい、嫌が言えない」では相手の感情を被ってしまいます。他人の感情にはバリアーをはって、触らず、無視してください。悩んだり相談したりせず、何もしないでいることが大切です」

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お悩み3 「どうせ私なんて……」といつも自分を責めてしまう
マイナスな感情への没頭をやめ、ありのままの自分を受け入れる
 
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「HSPは真面目で正義感や責任感が強いがゆえに、自分のミスで迷惑をかけたことに対して、いつまでも引きずり自分を責めることが多いのです。そのため、自分を好きになれず、自分がいけないのだと無力感でいっぱいになり、自己肯定感が下がってしまいがちです。
 
看護師・介護士さんは『ミスができない仕事』ということもあり、HSPであれば少しの失敗でも激しく動揺し、落ち込んでしまいがちです。自分を好きになり自己肯定感を上げるには、「認めてもらいたい」「理解してもらいたい」「許してもらいたい」などの承認欲求を捨てることです。嫌われる勇気をもてず、周囲の評価を気にしているのでは、自信も満足も持てません。ずっと自分を責め続けてきた人は、ダメな自分を認めるだけで大きな肯定感につながります」
 
加えて、とにかく疲れたときは「ストレスから離れること」と長沼先生は強調します。
 
「HSPは交感神経が高ぶりやすく、不安でも楽しくても、動いても動かなくても、アドレナリンが出やすい状態にあります。リラックス方法のおすすめは、ひとりになれる時間と空間で、好きなことをして遊ぶことです。自然や動物、名著と触れあい、本来の自分と接したり会話することで、すーっと楽になれます」

人事異動や新人の加入
春ならではの新しい環境の不安にお答えします!

さて、4月は始まりの季節でもあり、新たなスタートを切るHSPの看護師・介護士さんも多いのではないでしょうか。とはいえ、HSPは人事異動などの環境の変化が比較的苦手でもあります。新しい環境、人との関わり方への不安とどのように向き合えばよいのか、長沼先生に聞いてみましょう!
 
Q:職場移動や新たな人との関わりなど、環境の変化を前に不安でいっぱいです。うまく対応するための方法はありますか?
 
A「不安をごまかさず、対処法を考えましょう。先の見えないことに不安になるのは当然のこと。ならば『見える化』するとよいのです。一般に不安には3つの方向から対処します。心の支えとなる安心があること(人・物・場所・時間)、先の見通しがたつこと(予告・図表・リハーサル・スケジュール)、具体的手だてがあること(課題・道具・モデル・マニュアル)です。
 
HSPは、自分にとって居心地のよい場所に異動することで、のびのびと働けるようになります。HSPの繊細さや敏感さを活かせる環境や仕事を積極的に選んでいきましょう」
 
Q:新しい部下がHSP気質の様子。気をつけた方がよいポイントはありますか?
 
A「HSPは芸術性や創造性にすぐれている一方で、精神的に病み易く、『嫌と言えない』『自分のペースで作業を進めたい』『疲れやすい』などの特徴をもっています。ひとつのことを深く考えて集中するために、複数の仕事を要領よくこなすことが苦手です。負荷が大きくなるにつれて、ミスが重なったり、体調を崩したりなど、慢性疲労が目立つようになっていきます。
 
そうした様子が見えてきたら、まずは無理をさせないで休ませること。嫌だと感じていることや言えずに我慢していることをそれとなく探り、ひとりになれる場所や時間を確保してあげてください。HSPの繊細さや敏感さというのは、検査をしてわかるものではなく、非HSPには理解しがたいものです。こうした認識をもったうえで、『ふつうは』『これくらいは』『わかるけど……』などと伝えてしまうと、敏感なHSPは潰れてしまいます

HSPは環境の影響を受けやすく生きづらい気質であるように思います。しかし、HSP気質の看護師・介護士さんは、患者さんへ安心感や癒しを与えられる貴重な存在でもあります。あなたに「看護・介護してもらえて、本当によかった!」という患者さんはきっと多いはず。HSPである自分を受け入れ、他との境界線を築き、自分軸を立てること。そして、慢性疲労を防ぐこと。自信と誇りをもって、看護師・介護士という職で自分を輝かせてください。

おすすめ書籍

『敏感すぎる人の いつものしんどい疲れが すーっとラクになる本』

著者:長沼 睦雄
出版:永岡書店

記事内でもご紹介した「HSPと慢性疲労の関係」についてをわかりやすく解説。休んでもなぜか疲れが取れない……と悩む方に手に取っていただきたい一冊です。慢性疲労がすーっと楽になる“スイッチ”を手に入れましょう!

長沼 睦雄氏
 
十勝むつみのクリニック院長。日本では数少ないHSPの臨床医。2000年よりHSPに注目し研究。北海道大学医学部卒業。脳外科研修を経て神経内科を専攻し日本神経学会認定医の資格を取得。北大大学院にて生化学の基礎研究を終了後、障害児医療分野に転向。道立札幌療育センターにて13年間小児精神科医として勤務。2008年より道立緑ヶ丘病院に勤務し大人の精神科診療も。2016年にクリニックを開業し、HSPや慢性疲労を中心に、脳と心(魂)と体の統合的医療を目指している。著書に、『敏感すぎる自分を好きになれる方法』(青春出版社)『10代のための疲れた心がラクになる本』(誠文堂新光社)、『敏感すぎる人のいつものしんどい疲れがすーっとラクになる本』(永岡書店)など多数。

UP DATE 2021/04/02

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