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がちょっぴり気になるアレコレにお答えします!休憩時間や通勤などのスキマ時間にサクッと読めるお役立ちコラムです。
~古武術介護の発想に学ぶ~「腰痛のない介助技術」
第3回 床に転倒した人の立ち上がらせ方
第2回では、技術を楽に行うための下準備となる3つの原理をご紹介しました。実践編の第3回、第4回では、現場でよくある「こんなとき、どうするの?」にお答えします! 第3回のテーマは、床上での動作。患者さん自らが動きにくい状況の中、どのように動けば少ない負担で解除できるのでしょうか。力任せでなく、自然に動きを引き出す「技術」を見ていきましょう。
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「~古武術介護の発想に学ぶ~「腰痛のない介助技術」」は全4回の連載です
>第1回 技術をレベルアップさせる合理的な動き方
>第2回 技術を楽に行う3つの原理
>第4回 ベッドと車いす間の移乗編
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訪問看護でお宅に伺う時、布団に寝ている患者さんが、足元の方にずり下がっていることがあります。脇に手を入れて身体を引っ張ってもうまく移動できず、困っています。元の位置まで戻すには、どのようにすればいいのでしょうか?
A1オムツ交換や体位変換などを行うと、いつの間にか患者さんが下がっていることは多いですよね。元の位置に戻すには、力ではなく、合理的な技術で対応しましょう。
<手順>
①被介助者を横に向ける
②被介助者の身体の下に手の平返し(原理1)で腕を差し込む。
さらに介助者の膝をしっかりと被介助者の膝裏に差し入れ、腰を抱えて背中に回していない方の腕を床につく。この時、被介助者の骨盤の下に介助者の骨盤がしっかり位置する状態(原理2)となっている。
③しっかりと隙間なく近づき、相手と一体化する(原理3)。その状態で、手をついてバランスをとり、上半身を前傾させていく。
④前傾の倒れる力によって、被介助者が上に移動。倒れる力が被介助者に伝わり、楽に移動できる。ベッドの際は、立てていた片足を床に接地させる。
転倒・転落し、床に倒れた状態の方を無理なく起こすにはどうすればいいのでしょうか?
A2腹筋運動をするように勢いよく上体を起こすのではなく、頭が半円を描くような自然な起き方を引き出していきます。ただ、床上での介助だと工夫が必要です。
<手順>
①体幹に「斜めのたすき」をかけるように、手の甲を首筋から斜めに腕を差し込む。斜めに入れることで、体幹全体に力や動きが伝わりやすくなる。
②手の平返し(原理1)を活用して抱える。この時、介助者は被介助者を上に吊り上げようとせず、自分が少し後ろに倒れるようにして相手を起こしていく。
③介助者自身の重さにより、被介助者の背中が起き上がる。同時に立てた片膝を倒していく。
④介助者の身体が自然と90度回転し、起き上がった相手の後ろに回りこむ。介護者が座椅子のようになり、相手を無理なく支えることができる。
床に寝転がった状態から座らせるだけでなく、立ちあがらせる方法も教えてください!
A3Q2のケースの応用です。力任せに身体を吊り上げようとすると、介助者・被介助者ともに大きな負担がかかってしまいます。筋力を使わない動きを探ってみましょう。
■悪い例
力任せに筋力で吊り上げている
■良い例
①手の平返し(原理1)の要領で、被介助者の骨盤をしっかりと抱える。
②上に立ち上がらせる力と後ろに倒れる力を足して2で割れば、ちょうど斜め45度方向の動きが生まれる。
③その動きを活用するために、被介助者と一体化(原理3)し、バランスを保ちながら後方に重心をかけていく。
④倒れる力がスムースに被介助者に伝わって、立ち上がる。上手くいったときには、「ふわり」と力感もなく立ち上がらせることが可能に。
※無理をすると体を痛めやすいので、少しでも負担を感じたらすぐに中止してください
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講師:岡田 慎一郎 氏
古武術介護の提唱者 岡田慎一郎公式サイト
理学療法士、介護福祉士、介護支援専門員
身体障害者、高齢者施設に勤務し、独自の身体介助法を模索する中、武術研究家の甲野善紀氏と出会い、古武術の身体運用を参考にした『古武術介護』を提案したところ大きな反響を呼んだ。近年は介護、医療、リハビリ、育児支援、 教育など、幅広い分野で身体を通した発想と実践を展開させ、講演、執筆、企業アドバイザーなど多岐にわたる活動を行う。
著書『古武術介護入門』『古武術介護実践編』『腰痛のない身体介助術』(医学書院)、『家族のための介護入』(PHP研究所)、『介護福祉士実技試験合格ガイド』(晶文社)など多数。 ユーキャン通信講座「古武術介護講座」、NHK学園通信講座「古武術式カラダ使いこなし入門」の監修、株式会社JTBベネフィットのアドバイザーを務める。
UP DATE 2015/02/25
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