業務量調査で見えた救急外来看護のリアル データ×やりがいで戦略的なタスクシフトを
2025/3/31
私たちの働き方改革
2026/3

北海道のほぼ中央に位置する滝川市立病院は、地域の基幹病院であり、二次救急の役割を担う急性期病院です。同院では、離職の原因の一つだった「時間外勤務」を削減するため、2020年から2022年、2024年と3回にわたって看護師の業務量調査を行い、PDCAを回しながら次々と現場課題の改善に着手。計3回の調査を経て、約8割の看護師が「以前より働きやすくなった」と感じる職場に生まれ変わりました。調査データを活用した業務改善の経緯と効果について、看護部長の齊藤ひとみさんをはじめ4人の看護師にお話しを聞きました。
<お話ししてくれた方>
滝川市立病院
看護部長・認定著護管理者 齊藤 ひとみさん(左から2番目)
主幹・認定著護管理者 浅水 ひろ子さん(右から2番目)
看護師長 三田 香恵さん(左)
看護師長 加藤 恭子さん(右)
齊藤
業務改善に本腰を入れようと考えたのは、2018年に看護師の離職率が急増したことからでした。その原因を探ったところ、時間外勤務の多さが浮き彫りになりました。そこでまずは、看護師が安心して働き続けられる職場環境を整えることが急務だと考え、時間外勤務の削減に取り組むことにしたのです。
時間外勤務をする理由は、スタッフからの時間外勤務申請書に記載されている業務内容を見ると、「看護記録の入力業務」が大多数を占めていました。そのほか、申請した時間以上に残業しているケースも見受けられ、まずは看護師の業務実態を探る必要があると考えました。
浅水
当院は急性期病院なので臨時の入院患者さんを受け入れることが多く、その対応に追われていると、どうしても記録業務が後回しになってしまうのです。私自身も、終業間際にその日の業務を思い出しながらまとめて記録することはとても効率が悪いと感じながらも、打開策がないまま時間外勤務を続けていました。
齊藤
日々の業務の実態調査をなるべく現場の負担にならない方法で実施したいと考えていたところ、日本看護管理学会のセミナーで「タイムスタディ支援サービス(※)」を知りました。
このサービスは、個人の具体的な業務内容と作業時間をデータとして記録・分析できるというもの。サービスを活用して、まずは現状の看護記録の入力業務の実態を把握し、その結果を時間外勤務の削減のための活動に生かそうと考えました。
※タイムスタディ支援サービスについてはこちらをご覧ください
▲3回にわたる調査を経て、「業務の課題が可視化できたので、職場改善のPDCAを効果的に回すことができました」と振り返る4人
齊藤
調査は、2020年、2022年、2024年に実施し、3回とも5日間にわたって行いました。調査対象は各部署の日勤看護師の5人です。1回目と3回目は5部署で計25人、2回目のみ4部署で計20人。各部署、新人以外で時間外業務が平均的な看護師を選出し、リーダー業務のスタッフを2日問、メンバー業務のスタッフを3日間と分けて実施しました。
調査は対象のスタッフ+管理職という体制で行いました。出勤から退勤まで、調査対象スタッフのそばに管理職が交代で付き、スタッフの看護業務を場所・相手・人数・作業内容に分類して、管理職が5分おきにタブレットに入力するという方法です。
浅水
入力を本人ではなく管理職が行った理由は、「現場の様子をしっかり見て課題を把握したほうが、適正な改善策を導きだすことができる」という管理職の強い要望からでした。院内の会議でも調査についての詳しい説明があり、現場のスタッフも意図を理解したうえで取り組めたと思います。
▲「実施前には現場のスタッフと管理職が密に話し合う機会を設けて、できるだけ多くの人を巻き込む努力をしました」と説明する齊藤さん(右)と浅水さん(左)
浅水
2020年に行った1回目の調査は、かねてからの予想通り、時間外勤務時に看護記録の入力業務が多いという結果になりました。同時に、始業前残業や打ち合わせ時間も多いことが新たにわかり、これが大きな気づきとなりました。
齊藤
今まで気づけなかった課題も発見でき、看護業務の全貌を把握できたのは大きな収穫でした。ですが、すべてを一度には改善できないので、課題を整理し、優先順位を付けて一つずつ取り組むことにしました。最初に取りかかったのは、時間外勤務の一番の原因になっている記録業務の改善です。終業間際に集中させないために、適時入力を推進することにしました。
三田
具体的には、看護師がパソコンを持ち歩き、患者さんのそばでも看護記録を入力してもらう運動を始めました。また、適時入力を行う有効性を説明する資料を作成し、院内にポスターを掲示したり、師長を中心にスタッフ一人ひとりに声をかけて注意を促す等、地道な取り組みを続けました。
浅水
さらに、適時入力がしやすいようスタッフのノートパソコンのバッテリー交換と、パソコンカートの改良も実施しました。看護部管理者会議でも各所属長に適時入力推進について説明し、意見交換も繰り返し行いました。
加藤
併せて、看護記録のテンプレートも見直しています。数種類あったアセスメントシートを統合し、以前より短時間で記録できるように改善しました。
▲記録の即時入力の推進のために、「PCの持ち歩き」を喚起する施策を推進したと語る加藤さん(左)と三田さん(右)
次のページ:記録の適時入力の成果を実感! 2回目の調査で見えたこととは?
| 施設名: | 滝川市立病院 |
|---|---|
| 住所: | 〒073-0022 北海道滝川市大町2-2-34 |
| 開設: | 1934年11月 |
| 病床数: | 270床 |
| ホームページ: | https://med.takikawa.hokkaido.jp/ |
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