インタビューアーカイブ

2021/3

創設150周年の歴史ある大学病院のイノベーティブな数々の挑戦(前編)

長い歴史の中で、着実に積み上げてきた信頼と実績を誇る岡山大学病院。“伝統”という確かな土台を礎に、臨床研究中核病院、橋渡し研究支援拠点、がんゲノム医療中核拠点などの役割をも担い、先進医療の発展に尽力しています。従来の大学病院の在り方に固執することなく、時代に即した“革新”を起こし続ける同院の151年目の挑戦とは? 病院長の金澤 右氏に、「働き方改革」「多角経営」「データ活用」をキーワードに掲げた“3つのチャレンジ”についてお話しいただきました。

金澤 右

岡山大学病院 病院長

創設150周年を迎えた2020年を振り返って

岡山大学病院は、2020年に創設150周年を迎えました。周年記念にあたりさまざまな企画を予定していましたが、新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)感染拡大の影響で、皆様に集まっていただくような企画は軒並み中止となり、大変残念に思っています。しかし、かねてより建設を進めていた立体駐車場などのアメニティモール「鹿田パーキングモール」のオープンや、入院棟11階の患者さんと職員用のスペースの新設、古い建物の改修など、150周年企画は集会を除けばほぼ順調に進みました。企業や市民、同窓生の皆様からの寄付も順調に集まり、7億円という目標額を達成できました。当院を支えてくださった皆様に心から感謝しております。

病院のほうは、新型コロナの感染対策に終始する年となりました。当院は第一種感染症指定医療機関のため、新型コロナに関しても岡山県の重点医療機関に指定されています。特に重症患者の最後の砦として、多くの患者さんの対応をしてまいりました。現在も気を引き締めながら継続しているところです。

150周年ということで、当院の歴史は非常に古く、伝統ある病院というのが一つの大きな特徴です。しかし、伝統にあぐらをかくわけではなく、現在も臨床研究中核病院、橋渡し研究支援拠点、がんゲノム医療中核拠点など、中国・四国地方の拠点病院として先進医療を担う役割を果たしているというのも当院の特徴であり、ある意味、実力といえます。職員の皆さんは、日本だけでなく世界も見据えて活躍されています。また、外科系が非常に先端的で、なおかつハイボリュームなのも特徴です。外科の手術件数は年間1万件を超えており、これは全国の国立大学病院のトップ5に入る件数です。さらに、教育にも力を入れており、近年の卒後臨床研修のマッチング率は100%に近い状況にあります。

 

「Face」というわかりやすい言葉で職員、患者さんとメッセージを共有する

当院には、中国・四国地方はもとより、全国から優秀な医学生や医療従事者が集まっています。全職員数は約2,800人。そのうち最も多いのが看護師で、1,000人以上が働いています。これだけ多くの人が手を取り合い、大学病院としての役割を果たすためには、「私たちが何を目指すのか」ということをわかりやすく示すことが大切だと思っています。

「向きあう、つながる、広がる」。これは岡山大学病院のスローガンで、私たち職員一同の思いを表しています。英語では「Facing your face, facing our community, facing the world」となり、キーワードは「Face」、つまり「顔」です。「互いに顔を向き合わせて見つめ合いながら診療しましょう」ということを、Faceに代表されるような非常に簡便な言葉を用いて表現しています。職員とはもちろん患者さんやご家族とも、こうしたわかりやすいキーワードでメッセージを共有することが大事だと思います。

-Faceチーム-
多職種メンバーがさまざまなプロジェクトを展開中!

▲新型コロナの院内感染対策でもチームが大活躍しました。

 

後編では、岡山大学病院が2021年度に注力していく「3つのチャレンジ」についてたっぷりとお話しいただきました。

金澤 右

岡山大学病院 病院長

1981年岡山大学医学部卒業後、倉敷成人病センター、米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンター、岡山大学医学部放射線医学教室教授などを経て、2011年岡山大学病院副病院長に就任。2017年より現職。

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