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2023/8/01
私たちの働き方改革
2024/12
<お話してくれた方>
総看護師長 土田久美子さん
病棟看護師長 今田ルミ子さん
1956年の設立以来、人と人とのつながりを大切にし、山形県最上地域で住民の健康を支えてきた町立真室川病院。2016年には院内に「ワークライフバランス推進委員会」を創設し、看護師の働き方改革を推進しています。中でも課題とされていたのが、準夜勤で働く看護師の多重業務です。そこで、夜勤時にナースコール対応から解放される休憩時間を設けたところ、看護師の肉体的・精神的負担が軽減し、業務の効率化も進んだそうです。山形県看護協会が実施する2023年度の「看護の業務改善 in 山形」では、「Goodチームワーク賞」を受賞しました。プロジェクトを先導した総看護師長の土田さん、病棟看護師長の今田さんに、取り組みによる効果、新制度をスムーズに導入するためのポイントをお聞きしました。
土田
当院では、2023年度まで日勤(8:30~17:15)、準夜勤(16:30~1:15)、深夜勤(0:30~9:15)の三交代制を採用していました。夜勤は3名体制で、各看護師がそれぞれ病室を受け持つことに。しかし、夕方に急遽入院される患者さんが多く、準夜勤の多重業務が大きな課題となっていました。
当院の入院患者さんは、9割以上が高齢者で平均年齢は90歳以上です。近隣の介護施設では14時頃に検温するため、そこで異常が確認されると来院するのは15時すぎ。また、共働き家庭では、仕事から帰ったご家族が高齢者の体調不良に気づくのは夕方です。午後から夕方に検査を受け、即日入院する方が9割以上を占めていました。
入院が決まれば、患者さんのご家族への説明、薬など持ち物の確認と整理、患者さんの状態観察や点滴などの処置などに2時間ほどかかります。夕食の介助とも重なりますし、認知症の患者さんは夕方になると帰宅願望も生じるため、そのケアも欠かせません。業務が三重になるうえ、通常のナースコール対応、おむつ交換などもあり、気が休まることがありませんでした。
今田
こちらからも「交代で休憩してください」と促しますが、他の看護師が忙しそうに働く中、ひとりだけ休むのは気が引けます。そのため、21時の消灯後、患者さんが落ち着いた頃に全員そろって食事を摂ることにしていました。ですが、その間も担当する病室のナースコールが鳴れば、すぐに駆けつけなければなりません。特に、重症の方や認知症の方が多い病室を受け持つベテラン看護師には、過大な負担がかかっていました。
土田
私が看護師として病棟勤務をしていた頃から、担当する病室によって業務量が偏り、自分だけが休めていないと感じることはありました。現場からは不満の声は挙がっていませんでしたが、こうした不公平感を是正するのも師長や看護管理者の役割です。そこで、2023年5月から休憩時間の改善に取り組みました。ひとりが休憩している間は他のふたりがナースコールに対応し、すべての夜勤看護師が1時間の休憩を取れるようにしたのです。コロナ禍で感染を避けるためにひとりずつ食事するようになっていたことも、この取り組みを後押ししました。
今田
この取り組みを始めるにあたり、まず準夜勤、深夜勤のどの時間帯なら休憩できそうか、調査を行いました。当院では、患者さんの点滴を20時に行うため、作業が一段落する20時30分~21時30分は比較的手が空きます。また、21時の消灯後は患者さんが就寝するため、21時~22時、22時~23時も休憩時間にあてられそうだとわかりました。21時~21時30分はふたりの休憩時間が重なりますが、消灯前に患者さんの排泄ケアをすませているのでひとりでも対応できます。こうして3人の休憩時間を決めておき、どの時間帯に誰が休憩するかは、その日の夜勤看護師3人で相談することにしました。
土田
休憩中に他のふたりが困らないよう、これまでは個別に行っていた申し送りも3人そろって聞くことに。これにより、担当以外の病室からナースコールが来ても、対応できるようになりました。休憩に入る時にも「この患者さんの容態が気になるのでラウンドをお願いします」と、細やかにコミュニケーションを取っています。
今田
取り組みを始めた当初は、受け持ちの患者さんを看なければという責任感から、決められた時間になってもなかなか休憩に入らない看護師もいました。ですが、チームリーダーが「1時間の休憩を取るのはルールだから、きちんと休んでね」と何度も声かけをした結果、今では皆さん休憩を取るようになっています。
土田
あまり声かけをしないチームリーダーに対しては、私たちから「リーダーとしての自覚をもって、他のスタッフにどんな仕事が残っているのか、何に困っているのか聞いて、休憩を促してください」「患者さんの情報を集約して、みんなで共有しましょう」とその都度伝えていました。こうして意識づけを繰り返すことで、徐々にこの仕組みが浸透したのだと思います。コミュニケーションが深まり、看護師同士もお互いの体調を気遣えるようになりました。
<夜勤替帯の休憩時間の設定(3人体制)>
次のページ:休憩ルールの応用で、二交代制の導入へ
施設名 | 町立真室川病院 |
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住所 | 〒999-5312 山形県最上郡真室川町新町469-1 |
開設 | 1956年 |
病床数 | 55床 |
ホームページ | https://www.web-clover.net/mamurogawa-byouin/ |
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