業務量調査で見えた救急外来看護のリアル データ×やりがいで戦略的なタスクシフトを
2025/3/31
私たちの働き方改革
2026/3

INDEX
齊藤
2022年に実施した2回目は、それまでの取り組みの成果を可視化することを目的に実施しました。計測データを分析した結果、看護記録が終業間際だけでなく全時間帯で実施できており、時間外勤務が大幅に減少していることがわかりました。
三田
その反面、前回見つかった「始業前残業が多い」という課題については未着手だったので、依然多いままでした。そこで、「次は、始業前残業の多さを改善しよう」という新たな目標が生まれました。
加藤
始業前残業が増えていた一番の理由は、患者さんに寄り添うことを第一に考え、ケア前の情報収集のために自律的に朝7時台に出勤している看護師が多かったことにあります。
浅水
そこでまず、勤務開始は朝8時30分を厳守というルールを設けることにしました。早く着いてしまった人は、始業まで休憩室で待機。スタッフステーションに入ろうとしても、師長が止めるという徹底ぶりでした。
反対意見も出ましたが、各スタッフには調査データを示しながら業務改善の必要性を丁寧に説明するようにしました。そのうえで、各部署で改善策を協議。試行錯誤の結果、今ではスタッフステーションでの情報収集は短時間で切り上げ、その後に患者さんの顔を見ながら情報を取っていくというスタイルが定着しています。
三田
並行して各部署では、打ち合わせ時間の削減にも取り組みました。例えば、「ウォーキングカンファレンスを推進しよう」というアイデアが現場スタッフから発案され、この活動が他部署にも広がりました。着実にスタッフの意識が変わりつつあるのを感じました。
▲適時入力を推進するために導入した、専用のPCカート。PCだけではなく、グローブや手指消毒剤、ごみ箱など、ケアに必要な荷物も持ち運べるように、ワゴン型のタイプに再改良している
齊藤
これまでの課題と業務改善の成果を可視化するために、2024年に3回目の調査を実施しました。
加藤
一番の効果は、日勤の始業前残業がゼロになったことです。トップの強い意志で始めた施策ですが、業務量自体の削減に大きな成果が出ました。ポイントは、ベテランスタッフが率先して意識を変えたこと。その姿を若手スタッフが見て、改善の意義をより深く理解したのだと思います。ほかにも打ち合わせ時間が減少し、患者さんへのケアにより多くの時間をかけられるようになりました。
浅水
患者さんのケアをしながら記録の適時入力をするために、自分なりに工夫しているというスタッフの声も聞くようになりました。例えば、「詳細まで記録する時間がなかった場合は、要点だけでも入力しておく」などの工夫で、「業務終了間際に、1日の働きを思い出しながら記録する」という効率の悪さを解消できます。
加藤
効果が出ている一方では、適時入力をしているスタッフの割合が2回目の調査時よりも減少していることがわかりました。やはり、周知し続けることが大事ですね。今後、適時入力のメリットや工夫例を共有しながら推進活動をしていこうと思います。
浅水
調査後のアンケートでは約79%のスタッフが「以前より働きやすくなった」と答えています。「プライベートの時間の質が向上した」「心身の負担が軽減した」という声も多く、着実に効果が表れていると感じています。
▲2020年には、記録・報告・連絡が16時以降に集中。終業が20時のスタッフもいたが、2022年には記録・報告・連絡が全時間帯で実行され、大半のスタッフが17時台に終業。2024年には、7時台から勤務するスタッフがゼロになり、午前中からケアの時間を充分に確保できるように改善した
齊藤
これまでに3回の調査を行ってきましたが、当初から「やるからには、課題と成果を継続して可視化していきたい」と考えていました。業務改善の進捗を俯瞰して見たいので、調査の方法は基本的には3回とも同じにしています。
加藤
調査項目も大きく変えていませんが、対象となる作業内容の項目を追加したりはしています。例えば、2回目調査後に始まった「ウォーキングカンファレンス」を、3回目実施時に加えています。
齊藤
このように継続的に調査を続けてきた結果、離職率の高さも解消しています。2018年は16.9%でしたが、2024年には9.9%まで大幅に減少しました。
解決したい課題に対して、具体的な数値を把握しているほうが改善計画を立てやすいですし、現場スタッフの理解度も圧倒的に高まることを実感しました。特に、適時入カの推進が、時間外勤務削減という大きな成果につながることを可視化できたので、現場のモチベーションも格段に上がりました。
三田
現在は、3回目の調査結果を全スタッフと共有するために、データをまとめているところです。適時入力をしっかり実践できているケースのデータをクローズアップして、「このような働き方を目指しましょう」と伝えるつもりです。
齊藤
さらに今後、4回目の実施を考えています。次回は日勤スタッフのみならず、夜勤スタッフについても調査を行うことを計画中です。
データを活用して業務改善のPDCAを回したいと考えている施設は多いと思います。私たちも実際に活用してみて、「なんとなく、そうかもしれない」と漠然と感じていた課題を、明確に可視化することができました。よりよい職場づくりのために、今後も定期的に実施していこうと考えています。
▲「いつでもどこでも、その人がその人らしく生きていくための質の高い看護サービスを提供します。」という看護理念を貫く、滝川市立病院の看護師の皆さん
| 施設名: | 滝川市立病院 |
|---|---|
| 住所: | 〒073-0022 北海道滝川市大町2-2-34 |
| 開設: | 1934年11月 |
| 病床数: | 270床 |
| ホームページ: | https://med.takikawa.hokkaido.jp/ |
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