資格のチカラ

2025/6

介護予防指導士

介護予防指導士とは、多くの方が豊かな老後を過ごせるように、要介護者だけでなく、元気な方も対象として介護予防を指導する資格です。日本介護予防協会が実施する講習を受講し、修了の認定を受けた方に与えられるもので、資格取得後は「筋力訓練指導」「ストレッチング」「転倒予防」「栄養ケア」「口腔ケア」などの指導を行なうことができます。2025年6月現在、6,200名以上の方が介護予防指導士に登録しています。

楽しいエクササイズで元気を発信! 介護予防指導士として実現する “自分らしい”ケア

資格取得年月:2021年11月
介護福祉士・介護予防指導士

うちむら まゆみ内村 眞由美

人生100年時代、高齢者が住み慣れた地域でいきいきと健康な生活を送れるよう、心身の機能維持やQOLの向上を図る「介護予防」が大切になっています。介護予防指導士は、さまざまなアプローチで、高齢者やこれから老後を迎える方の健康をサポートする活動を行っています。この資格を生かし、楽しく元気になれるエクササイズを広める介護福祉士の内村眞由美さんに、資格を取得した経緯と活動に込める思いを聞きました。

デイサービスだけではもったいない! の思いで介護予防指導士の資格取得を決意

内村さんの介護福祉士としてのご経歴を教えてください。

下の子どもが生まれてすぐ、1993年から介護の仕事を始めました。家の近所に特別養護老人ホームができたことを知り、未経験だけどやってみようと思って入職したのがきっかけです。その後、介護福祉士として老人保健施設や障害者施設などで働いたのち、ケアマネージャーの資格を取得し、居宅支援や有料老人ホームを経て、現在のデイサービスに。デイサービスに勤め始めて13年になります。

もともと介護の仕事に興味をもっていたのですか。

いいえ、もともとは全然違う業種で、鹿児島県でバスガイドをしていました。その後、結婚・出産を経て、介護の世界に飛び込んだのです。でもバスガイド時代から人前で話したり、歌ったり、ゲームをしたりすることが大好きだったので、その経験は今の仕事にも活きているなと思うことがよくあります。デイサービスも、やる前は一日中テンション高くないといけないイメージがあって「絶対に無理」と思っていたのですが、いざ始めてみたらもう楽しくてしょうがない感じです。

介護予防の活動に興味をもったきっかけは?

現在の勤務先で独自の介護予防インストラクターの資格があり、これを取得してご利用者向けに体操のレクリエーションを行っていました。この体操が結構ハードで、ストレッチから音楽に合わせた有酸素運動、ボールやセラバンドを使った筋トレまで、約1時間かけて行うのですが、ご高齢の皆さんが本当に楽しそうに参加してくれていました。

そんな中異動を機に一度退職し、半年間、別の法人の介護施設に勤めることになりました。しかしこの短期間に入所者の方の多くが車いす生活になり、機械浴になり、おむつが必要になっていく姿を目の当たりにし、衝撃を受けたんです。本来は付き添えば歩く能力があるのに、転倒の恐れがあるからと車いすで補助するのが基本で。それで私なりにできることがないか考えて、入所者の方が体を動かして元気になれるような企画を提案したのですが、人手が足りないという理由で結局実現できませんでした。毎日業務に追われて、やってあげたいことができないことに胸を痛めるばかりでした。

デイサービスと同じようなレクリエーションを行うのが難しい状況だったのですね。

はい、このような現実を目にしていたので、半年後にもとのデイサービスに戻った時にはご利用者の健康が心配だったのですが、皆さん以前よりもすごく元気に過ごしていて。みんなでワイワイ運動することがこんなにも元気につながるんだと、あらためて実感したんです。

そこから介護予防指導士の資格はどのように知ったのですか?

運動の効果をデイサービスだけにとどめておくのはもったいないと思い、外部で体操を教えられる場所がないか探しました。そしていろいろな資格を調べる中で、日本介護予防協会が主催する介護予防指導士のことを知りました。今はまだ要介護でなくても運動不足の方に体操を広めることで、介護予防にきっと役立てられるはずだと思い、資格の取得を決めたのです。

介護予防指導士・内村 眞由美さん介護職30年以上の内村さん。「介護の仕事を通して、自分の心を成長させてもらえた」と語る

介護予防指導士になる目的はさまざま 学び合い、経験をシェアし合えるのが楽しい

介護予防指導士の講習では、どんなことを学ぶのですか?

講習は、オンラインでの動画(10科目)を視聴後、実技実習を含むスクーリング(1日)に参加して修了となります。筋力訓練指導やストレッチングなどの運動指導だけでなく、栄養ケアや口腔ケア、体力測定と評価など、学ぶ範囲が多岐にわたるので、想像していた以上に幅広い知識を得ることができました。

スクーリングは、会場参加とZoomによるオンライン参加を選べます。今後はオンラインでの運動指導のニーズも高まっていくことが予想されるので、どんな形で提供できるのかを実感できる場にもなっていると思います。

当時、他にはどのような方々が受講されていましたか?

介護施設で働いている人だけでなく、ケアマネージャーや病院勤務の方など、さまざまな職種の方がそれぞれの目的で受講されていました。指導士に認定された後も、協会主催でフォローアップ講習が年に2回ほど行われていて、全国各地から多くの方が参加しています。講習では、他の指導士たちの現場での実践にも触れることができるので、すごく参考になりますね。交通費をかけてでも参加したくなる、日々の仕事に生かせる学びがあるのかなと思います。

内村さんが、他の方の講義や活動報告で刺激を受けたものはありましたか?

そうですね、先日お会いした介護職の方は自身のYouTubeで介護予防の情報を発信されていました。いろいろな活動の方法があることを知り、すごいなと思いました。

他方、私も自身が行っている「座ってできるエクササイズ」をぜひ広めたいと思って、活動報告会で短いセッションをやらせてもらいました。というのも、単に話を聞くだけでなく、自ら動いて体験したものの方が印象に残り、現場にも持ち帰りやすいと思ったからです。実際にやってみて「私もやりたい」と言ってくださる方もいてうれしかったですね。たくさんの方に持って帰っていただければ、その周りの方々に元気が広がるので。

介護予防指導士・内村 眞由美さん「デイサービスでのエクササイズは、午前午後と運動が盛りだくさん。99歳のご利用者も平気で最後までこなすほど元気です!」と内村さん

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今日より明日、元気になる!

介護予防指導に使うアイテムの数々

エクササイズに使用しているアイテムの数々。エクササイズを通して、「入浴時、足を持ち上げづらかったのが、またげるようになったという声や、歩行時に座布団の上を歩いているような感覚だった方が、地にしっかり足がついている感覚を取り戻せたという話をよく聞きます」と内村さん。
「継続しないと成果はなかなか出ませんが、いつも『筋肉は裏切らないよ! 今日より明日の方が若いよ!』と皆さんを励ましています」

取得方法・お問い合わせ

資格主催団体名特定非営利活動法人日本介護予防協会
資格種類介護予防指導士
講習受講対象者・介護系(介護福祉士、初任者・基礎・実務者研修修了、ヘルパーなど)
・看護系(看護師、准看護師、保健師など)。リハビリ系(理学療法士、作業療法士、言語聴覚 士など)
・運動指導系(健康運動指導士、健康運動実践指導者など)
など、高齢者のケアに関わる資格をお持ちの方。また、上記資格の養成校などを卒業見込みで、資格取得見込みの方。
ホームページhttps://www.kaigoyobou.org/course/

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