アンケート

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2024年8月 医療・介護業界のDXに関するアンケート

医療・福祉業界では人手不足が叫ばれる中、安定した医療・介護サービスを提供するため、DX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性が叫ばれています。デジタル技術による業務効率化やサービスの質の向上など、さまざまな期待が寄せられていますが、実際にはDXはどのくらい進んでいるのでしょうか。 

アンケート期間 :
2024年8月1日(木)~9月1日(日)
有効回答者 :
35人
男女比 :
年齢分布 :
職業 :

今回の未来ワードは

社内外の人材を上手に活用

医療・介護現場のDXというと、予算をかけて新しいシステムやツールを導入することに目が行きがちです。しかし実務において効果的に運用していくためには、ICTの知識やスキルを持った人材だけでなく、現場の課題や業務特性を理解し、他部門や施設などとコミュニケーションが円滑に取れる人材を確保することが不可欠です。

そのためには、システム整備や運用に対応できる人材を自施設内で育成していく方法もあります。しかし、それが難しい場合には、外部の専門会社や専門人材に相談したり、ほかの医療・福祉機関での対策を参考にしたりするなど、さまざまな選択肢を柔軟に検討することも必要でしょう。「なぜ、DXが進まないのか」という問いに対する答えを通して、改めてその重要性を感じました。

医療・介護の現場でDXは進んでいる?

現在勤務している職場で、DXは進んでいると思うか(n=35)

グラフ「現在勤務している職場で、DXは進んでいると思うか」

看護職(n=24)・介護職(n=11)別

グラフ「現在勤務している職場で、DXは進んでいると思うか」看護・介護職別

DXが進んでいると感じている(「そう思う」「とてもそう思う」と回答)人は、わずか25%にとどまりました。看護職の方のうち、「どちらとも言えない」と回答した人の割合も目立ちましたが、看護と介護どちらの現場でもDXがあまり進んでいないようですね。

政府による医療のDX推進計画では、DXが特に遅れている小規模の病院や診療所向けに標準型電子カルテの開発なども検討されています。しかし本アンケートでは意外にも、医療施設の規模の大小でDXの普及度合いの差は見られませんでした。

参考:厚生労働省「医療DXについて」

DX導入によってどんな変化があった?

職場で導入されているデジタル技術(n=9)

グラフ「職場で導入されているデジタル技術」

「職場でのDXが進んでいる」と回答した方全員が、実際に導入されているものとして電子カルテを挙げました。情報連携により医療や介護サービスを途切れなく提供するのに必要なツールとされているだけあって、多くの機関で定着してきているようです。次に多く挙がったチャットアプリなども導入しやすいツールなのかもしれませんね。

同じ情報共有や管理でも、クラウドストレージの利用はまだ少数と言えそうですね。導入コストやセキュリティ対策などがハードルになっているのかもしれません。また、近年職員の教育に活用され始めているオンライン学習システムですが、こちらも意外にも導入されていないという方がほとんどでした。

デジタル活用によって起きた変化(n=9)

グラフ「デジタル活用によって起きた変化」

DXが進んでいると回答した人にその変化を聞いたところ、7割弱の人が業務負担や超過勤務の削減において効果を実感していることがわかりました。電子カルテによる記録業務の負担軽減が大きく影響していると思われます。

DXが進まない理由は?

職場でDXが進まないと思う理由(n=26)

グラフ「職場でDXが進まないと思う理由」

慢性的な人手不足が課題となっている医療・福祉施設が多い中で、DXを推進する人材の確保はことさら難しいことがうかがえます。IT人材の不足は医療・福祉業界にかぎった話ではありませんが、DXが進まない決定的な要因になっていることがわかりました。

企業や自治体においても、外部のIT人材の登用が必要とされていますよね。医療・福祉施設でも同様、人材確保をするうえで外部の人材を導入する選択肢がマストになってきそうです。

今後、DXで改善・解消したい困りごとは?

DX導入で改善・解消したいと思う課題(n=26)

グラフ「DX導入で改善・解消したいと思う課題」

「デジタル活用によって起きた変化」の結果で示されたDX導入の効果と呼応するように、DXが進んでいないと感じている人の過半数が業務負担や超過勤務の削減においてDXに期待を寄せていました。またこれに続いて多かったのが、DXにより看護・介護の質を高めたいという声です。具体的には、「オンライン診療などにより、患者さんの待ち時間を減らしたい」「患者さんが気軽に治療内容にアクセスできるようになり、意思決定支援が進むことに期待したい」といった意見が見られました。

今後の医療・介護現場のDXに期待することは?

最後に、今後の医療・介護現場におけるDXに期待することを皆さんに聞きました。その中から一部抜粋してご紹介します。

記録作業や書類作業が増えているため、DXにより作業負担を削減できると思います。それで患者に向かう時間が増えることに期待しています。(40代看護師・病院(200床未満)勤務)

残業がなくなり、人手不足の悩みがなくなることを期待したいです。(30代介護福祉士・ケアハウス勤務)

急性期や慢性期医療、介護との横の連携による地域包括ケアシステムは、まだまだ名前だけが先走りしていて、予算がない自治体や小規模の病院は進んでいません。加算を付けるだけでなく、予算をきちんと自治体に配分し、監督してほしいです。(50代看護管理者・病院(200床未満)勤務)

まとめ

今回の調査では、医療・福祉の現場において、DXを推進する人材や組織的な体制が決定的に不足していることがわかりました。業務の専門分化が進む中で、職種や部署の垣根を越えた連携が重要となっていますが、DXを推進するうえでもまずその目的や意義を組織全体の共通理解として促進することが必要でしょう。

一方、全日本病院協会では、DX推進の要である院内の「コンダクター」の育成を目指した「医療DX人材育成プログラム」を実施するなど、DXの加速に向けた新たな動きもあります。こうした育成事業でまいた種が、今後どのように花を咲かせるのか注目したいところです。

参考:全日本病院協会「2024年度 医療DX人材育成プログラム開催のご案内」

未来への手紙

医療DXと一言で言っても、施設の規模感や人的・金銭的リソース、現場の課題などに応じて、それぞれの施設に合った取り組み方は異なるものです。「私たちの働き方改革」では、異なる課題をICT活用により解決しているさまざまな事例をご紹介しています。DXを検討する際に、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

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