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2025/5

【レポート】「ナースフェス2025」で広がる看護師キャリアの多様性

【レポート】「ナースフェス2025」で広がる看護師キャリアの多様性

2025年5月17日(土)・18日(日)の2日間、看護師向けのイベント「ナースフェス2025」が渋谷ヒカリエで開催されました。ヘルスケア、美容、エンタメなど多彩なコンテンツが展開された中、Nursing-plaza.comでは「キャリア」をテーマに本イベントを取材。イベントの様子やキャリア関連のセミナーについてレポートします。

看護師が主役のイベント 「ナースフェス」とは?

「ナースフェス2025」は「看護師で、ほんとうによかった。」をコンセプトに、看護師向けの情報メディア「ナース専科」が主催したイベントです。

イベントは、150以上の病院の看護部長や1,000人超の現役看護師の声を反映したコンテンツが盛りだくさん。キャリア、エンタメ、美容、恋愛、マネーなど幅広いジャンルの体験型ブースやセミナーが用意されたほか、看護師の本心を探る「ナースの本音100」など、参加型の企画も充実。さらに、ヒコロヒーさんや安田美沙子さん、柳原可奈子さんなどの著名人によるトークイベントも行われ、来場者を楽しませました。

「ナースフェス2025」写真大盛況だった出展企業ブースの様子。若手からベテラン、男女関わらずさまざまな層の方が参加していました。開場前から入場待ちをする方も多く、イベントへの関心の高さがうかがえた

看護×〇〇で成功をおさめた看護師起業家がキャリア形成のヒントを語る

プログラム最初のステージ講演を飾ったのは「看護師起業家が語る! 日本の未来を見据えたキャリアストーリー」。講演には、ケアプロ株式会社 代表取締役社長の川添高志さん、株式会社Rings Care 代表取締役の大平智祉緒さん、そして株式会社ホスピタリティ・ワン 代表取締役の高丸亮さんが登壇しました。前半は看護師起業家として活躍する3名のキャリアストーリーを聞きました。予防医療や美容、オーダーメイドなど、多様なキーワードと掛け合わせて看護サービスを展開する3名のストーリーから、“看護×起業の親和性の高さ”を感じました。

「ナースフェス2025」写真川添さん(登壇者席・左)は訪問看護事業を中心に予防医療事業や交通医療事業を展開。大平さん(登壇者席・中央)はアピアランスケアを通して、生きる力を引き出すケアを提供し、高丸さん(登壇者席・右)は富裕層向けのオーダーメイド看護・介護サービスを立ち上げ、ワンランク上の自宅療養を叶えている

後半はトークセッションとして、3つのテーマについて登壇者がトーク。これからの看護師に必要な能力や、自分らしいキャリアの見つけ方、看護師不足の現実に対する考えを聞くことができました。「テクノロジーの進化に伴う、看護師に必要な能力は?」という質問に対し、高丸さんは「AIを使いこなせる看護師はこれからの時代、最強なのでは」と考察。「AIによると、看護師は残る仕事だと言っています。むしろ医者の方が今後の仕事への向き合い方に悩み始めている。将来的には医者よりもAIの方が的確で精度の高い診断ができるようになるとすでに気づいている人は、患者さんにより寄り添える医者にならなければと考えている。それはつまり看護ですよね。すでに患者さんに寄り添うことを生業としている看護師がAIも使えるようになれば、最強だと思います」と述べ、看護×DXの高い将来性を示唆しました。

「ナースフェス2025」写真「今日はこの図だけ覚えて帰ってください!」と伝えた高丸さん。看護師から起業に関して相談を受ける際には、自分の提供したいサービスが4つのどれにあてまはるか、から話を始めるそう

講演では、自分らしいキャリアを見つけるためのおすすめの行動もシェアしてくれました。川添さんからは「自分の好きなことや得意なことからキャリアを見出すこと」、大平さんからは「モヤモヤを書き出すこと」というアドバイスが。キャリア形成のヒントは、外ではなく自分の内側を見つめることが近道なのかもしれませんね。日々を忙しく過ごしていると、どうしても仕事のことで視野も思考もいっぱいになります。例えば週に1回だけ、月に1回だけでも仕事を忘れ、自分と向き合う時間を意識的につくってみるといいのかもしれません。

「ナースフェス2025」写真参加型企画の「ナースの本音100」。「プライベートでつい職業病が出ちゃう瞬間は?」、「患者さんに告白されたことある?」、「看護師になってよかった?」など、会場の至るところに投票型のアンケートを設置。楽しそうに回答する来場者の姿が散見された

先輩に聞く、キャリアアップを叶えたキャリアの分岐点

続いて紹介するのは「悩める看護師集合! 一歩踏み出した先輩たちによるキャリアの分岐点を大公開」をテーマにしたセミナー。急性期の病院で看護師として働いた後キャリアチェンジを果たした3名と、認定看護師の資格を取得し、看護管理者へのキャリアアップを叶えた1名が登壇しました。

「ナースフェス2025」写真急性期病院からホスピスへ転職した西川さん(左)、訪問看護へ転職した丸山さん(中央左)、美容クリニックへ転職した佐野さん(右)。新卒で就職した横浜市立大学附属病院で皮膚・排泄ケア認定看護師の資格を取得し、褥瘡管理者へのキャリアアップを果たした道山さん(中央右)

セミナーでは、キャリアチェンジのきっかけや、今の仕事のやりがいや悩みについて各々がシェア。外科病棟で5年働いた後、美容クリニックへ転職した佐野さんは、「年次を重ねた先輩方からは美容クリニックへの転職に疑問を呈す人もいた。けれど人生は一度きりだからやりたいことをやろうと思った」と別の業界に飛び込んだ心情を伝えてくれました。

セミナーでは、ホスピス、訪問看護、美容クリニックと多様な現場での看護師としての働き方を知ることができました。一方で、認定看護師としてどのような仕事を任されているのかも知ることができ、キャリアアップとキャリアチェンジ、双方の視野が広がるセミナーでした。
印象的だったのは、丸山さんが現場から管理者へのキャリアアップを決断したときの考え方です。「管理者の立場になれば売上に対する責任も生じる。管理者になるべきか本当に悩んだけれど、悩んでいるということはやりたい気持ちがあるということ。こんなに悩むならやってみよう! と思い挑戦しました」とのこと。とても楽しそうに現在の仕事について語る姿に、当時の決断は間違いではなかったのだなと感じました。

「ナースフェス2025」写真イベント会場にはベビーカー置き場や託児所なども設置されており、子連れで参加する方も多く見られた

看護はまだまだ進化する! を実感したイベントでした

イベントを取材中、「1万人の大投票! ナースの本音100」の「夜勤明けの人…?」という質問に、「夜勤明けでーす!」と元気に回答している看護師さんをたまたま見かけました。夜勤明けにも関わらず快活にイベントを楽しむ姿に、看護師さんのバイタリティの高さを実感。私も取材をがんばらないと! と喝を入れていただいた気持ちでした(笑)
キャリアをテーマにイベントを取材し、看護師のキャリアの可能性を改めて知ることができ、期待がさらに高まりました。「看護師起業家が語る! 日本の未来を見据えたキャリアストーリー」に登壇した高丸さんは、「医療の歴史が2000年あるのに対し、看護の歴史は200年。僕は今の看護を疑えと大学のときに教えられた。歴史が浅いからこそ、まだまだ看護はクリエイトできる」とお話されました。目まぐるしいスピードで社会が進化する昨今ですが、看護はどう進化していくのか。不安ではなく、“ワクワク”が増したイベントでした!

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「ナースフェス2025」写真

小林光恵さんも登壇! 「エンゼルケア」を語る

Nursing-plaza.comで「小林光恵さんのおやすみコラム」を連載いただいている小林光恵さんも本イベントに講師として登壇。やわらかな黄色のワンピースに身をつつみ、「ナースだからこそできる、患者と家族に寄り添うエンゼルケア」についてお話されました。講演では、「エンゼルケアとは、遺族の記憶をプラスにすること」と定義し、看護師がエンゼルケアを実施するのに適している理由や、死後の体の変化などにも言及。会場はほぼ満員の大盛況っぷりで、メモをとりながら熱心に耳を傾ける若い参加者の姿も見られました。

イベント名「ナースフェス2025」
開催日2025年5月17日(土)・18日(日)
場所渋谷ヒカリエ 8階 8/COURT・9階 ヒカリエホール
公式HPhttps://nurse-senka.jp/nurse-fes/2025

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