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この先、私はどんなキャリアを歩んでいくのだろう。将来のことを考えると、仕事だけじゃなく、お金の計画もきちんと立てなくては。でもこれ、誰に相談すればいいのかわからない……。
そんな看護師の皆さんのお悩みに、看護師の先輩であり、現在それぞれキャリアコンサルタント、ファイナンシャルプランナーとして活躍されている濱田安岐子さんと中林友美さんがズバリお答えします。題して「おしえて、先輩! 看護師のためのマネー&キャリア相談室」。
前回に続き、職場の人間関係に悩む病院勤務3年目・アンさんから寄せられた、休業に関する相談を紹介します。
アンさんが休業を選択した際に受けられるサポートについて、中林さんが解説します。
看護師・アンさん(25歳/大学病院勤務3年目)のお悩み
今年で病院勤務3年目。いつも厳しいことを言う職場の先輩との関係に悩んでいます。誰かに相談したい気持ちはありますが、同僚にも相談することができず、不安は増すばかりです。一度職場を離れて、休職することも考えていますが、誰に相談すればいいのか、どのようなサポートが受けられるのか、わかりません。
中林さんのアドバイス
今回は、休職を考えているアンさんに向けて、「傷病手当金」についてお話します。傷病手当金とは、病気やケガを理由に働くことができない方とそのご家族の生活をサポートするための手当です。被用者保険と呼ばれる、会社員や公務員が加入している健康保険の加入者が対象となる制度※1で、職場の人事課などを通じて申請を行うのが一般的です。
アンさんの場合、協会けんぽ(全国健康保険協会)に加入しているため、同保険の傷病手当金の受給対象となります。同じ看護師でも、職場が例えば「医師国保」と呼ばれる医師国民健康保険組合※2に加入している場合、傷病手当金という制度がなかったり、あっても一律の金額のみが支給されたりするなど、被用者保険とは内容が異なります。ご自身の健康保険証を見て、どんな保障を受けられるのか確認するようにしましょう。
※1 加入者の扶養家族は対象外
※2 国民健康保険法に基づき、各都道府県の医師会が主体となって運営する保険制度。基本的に、従業員数が5人未満の個人事業主とその従業員が対象となる
傷病手当金の支給申請には、以下の要件を満たす必要があります。
1. 業務外の病気やケガであること
2. 仕事に就けない状態であること
3. 連続して4日以上働けない状態であること
4. 申請時、給与の支払いがない期間であること
病気やケガを証明するためには、医師による診断書が必要です。アンさんのように職場に行くのがつらいと思うほどの悩みを抱えていても、軽いストレスと捉えて受診しない方も実際には多いです。少しハードルが高いかもしれませんがまずは心療内科や精神科などを受診し、医師に自分の状況をしっかり伝えることが重要です。たとえ最初に受診した病院が自分に合わなかったとしても、そこで諦めず、他の病院に行って親身に診てくれるところを探しましょう。
また、傷病手当金の支給でもう一つポイントなのが、業務外の病気やケガであることです。例えば、職場の人間関係が原因でうつ病と診断された場合、労災保険の対象となる可能性もあるため、その場合傷病手当金は対象外となります。
傷病手当金の1日あたりの支給金額は、過去1年間の標準報酬日額の約2/3※3が目安となります。支給期間は、同じ疾病名で、最長で1年6カ月です。これは主にがん治療をしながら働き続ける人が増えてきたことから2022年に改定されたもので、支給開始日からの連続日数ではなく、通算で1年6カ月までが対象となりました。そのため支給期間中に調子が良くなったから職場復帰して、その後また調子が悪くなって休んだとしても、働いた分の日数は支給期間にカウントされません。
参考:https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000857062.pdf
※3 支給開始日以前の12カ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×(2/3)
傷病手当金は、仕事を休んだ日から連続して3日間の待機後、4日目以降の仕事に就けなかった日に対して支給されます。支給申請をしてから支給決定するまでの期間は、健康保険組合によって異なりますが、初めて申請する場合には1~2カ月、2回目以降は2週間~1カ月かかるのが一般的のようです。受給日などは申請手続き完了後に送られてくる「支給決定通知書」で確認できます。
参考:協会けんぽ(全国健康保険協会)「健康保険 傷病手当金 支給申請書 記入の手引き」
傷病手当金などの公的保険制度の利用について不安だという方も、受診した病院の医師や看護師、カウンセラーに相談すれば具体的にアドバイスをしてくれるので、まずは相談して今後どうするかを決めていくのがいいかと思います。直属の上司である師長には適宜報告し、産業医がいる職場であれば面談が計画されます。申請手続きについては師長を経由して職場の人事担当に相談するとよいでしょう。
それからもう一つ、心がつらくなった時に絶対に試してほしいのが、インターネットから距離を置くことです。不安になると周りの人はどうしているだろうとSNSをのぞいてみたり、自分と同じような悩みを抱えている人を探したりすることがあると思います。でもそうした検索で得た情報の中には誹謗中傷など、見ただけで傷つくような情報もあふれていて、かえって不安が煽られて状況が悪化することがあります。情報を遮断するのには辛抱が要りますが、それを乗り越えれば、安全で落ち着いた環境が得られるはずです。デジタルデトックスは、自分の心の悩みと向き合うためにおすすめです。
次回は、転職を考えている看護師さんからのお悩みへのアドバイスをご紹介します。
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おしえて、先輩! 看護師のためのマネー&キャリア相談室#01「人間関係の悩み&傷病手当金」
濱田 安岐子さん NPO法人看護職キャリアサポート/株式会社はたらく幸せ研究所 代表 看護師/国家資格キャリアコンサルタント/ハラスメント相談員 看護師臨床11年、看護教員3年を経験した後、2006年からフリーランスとして独立。2010年、NPO法人看護職キャリアサポートを設立し、看護師が元気に自分らしくキャリアを継続できるように活動中。2018年には、株式会社はたらく幸せ研究所を設立。健康と幸福学で幸せに働ける社会を目指している。 | 中林 友美さん フローレンス FP オフィス 代表 看護師/ファイナンシャルプランナー/国家資格キャリアコンサルタント 長らくがん看護に従事し副看護師長を経験後、FPなどの資格を取得。多忙で自分のことをつい後回しにしてしまう看護師が自分らしく輝く人生を歩むために、2019年よりフローレンスFPオフィスを立ち上げ、日々活動中。 |
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