資格のチカラ

2025/2

クリニカルアロマ認定資格(臨床アロマ認定資格)

医療施設においてアロマセラピーを適正かつ効果的で安全に実施するための知識・技術が一定基準を満たしていることを認定する資格。日本臨床アロマセラピー学会では、学術・技術・講師の3段階に分けて認定資格を提供しています。

ケアする人自身も癒すために アロマセラピーを医療・介護現場に取り入れる

資格取得年月(講師認定):2019年4月
和アロマha・na・na
サロン経営兼セラピスト
看護師・保健師

ひらやま みな平山 未菜

アロマセラピーとは、植物の芳香成分を用いて体や心の健康を促す自然療法のこと。医療・介護現場において、限られた時間の中でも満足のいくケアを提供するための一助となる手段です。クリニカルアロマ認定資格を取得したのち、医療・介護両方の現場で看護師・保健師として活躍し、さらにアロマサロンを開業した平山未菜さんに、資格取得の経緯や現在の活動内容をお聞きしました。

講習会に参加したことが、クリニカルアロマの資格取得の決め手に

まずは、平山さんのご経歴を教えてください。

看護師免許を取得後、約9年間総合病院のICUで働いていました。入職5年目の時にアロマセラピストの勉強を始めて、英国IFA認定アロマセラピスト資格を取得しました。7年目からはパート勤務に切り替えて、クリニカルアロマの学術および実技認定を取得し、副業としてアロマサロンを開業。その後病院を退職し、サロンの営業と並行して、訪問診療を主体としたクリニックの看護職や、小規模で介護や生活リハビリを行う宅老所の看護・介護を経験しました。出産を機に少しお休みしてからは、サロンをメインにしつつ、乳幼児健診や企業の保健指導といった保健師の仕事などもしています。

クリニカルアロマはどのような経緯で知ったのですか?

初めに別のアロマセラピストの資格を取得したのですが、その時の同期が日本臨床アロマセラピー学会に入っていたことから、クリニカルアロマの話を聞いて知りました。同学会では講師が各地を訪れて「地方会」という誰でも参加できるミニ講習を開催していると聞き、近くで開かれた際に参加してみたんです。その時に学んだ、短時間でもしっかりと変化が実感できる施術内容に感動したのと、講師や受講生のアットホームな雰囲気に惹かれて、クリニカルアロマの資格を取ろうと決めました。

もともとアロマセラピーに興味を持っていたのですか?

病院勤務だった頃、自分の体のメンテナンスのために月1回マッサージなどに通っていたんです。その時に、私も自分自身や家族を癒すことができたらなと思い、いろいろ調べる中で出会ったのがアロマでした。

クリニカルアロマと他のアロマセラピーの資格との違いは何ですか?

まず医療現場で生かせる知識や技術が学べる点です。アロマの基本知識は他のアロマセラピーの資格でも学べますが、補完代替医療として、症状の緩和やQOL向上を目指すためのアロマの知識や技術を学ぶことができます。例えば、精油の薬理作用に配慮した安全性の高い精油選択や、短時間でも効果的なケアの手法、座ったままや横向きの姿勢など体位を応用した施術を学べるのは、クリニカルアロマならではだと思います。

資格取得後はキャリアに対してどんな効果を期待していましたか?

一番は、目の前の患者さまのケアに生かしたいと思ったことです。アロマスプレーによる芳香、精油を入れた足湯、ハンドトリートメントなどで、患者さまとご家族の苦痛や不安の軽減を図れたらと思っていました。あとは、私を含めて医療従事者は疲弊している人が多かったので、病院で働く医療従事者もアロマを使って癒すことができたらとも考えていました。

ただ、当時は私自身が通常業務に追われ、クリニカルアロマを取り入れる余裕がありませんでした。また、周りの同僚も同じく疲弊しているのを目の当たりにしていたこともあり、患者さまのケアの前に、まずは医療従事者自身が心身ともに元気でいる必要があると感じたのです。そうした経緯から、ケアする人たちをケアするためのアロマサロンの開業を決断しました。

クリニカルアロマ認定資格をもつ平山未菜さん

講義や試験は大変だけど、好きなことができる癒しの時間!

クリニカルアロマの資格認定のプロセスを教えてください。

私が所属する日本臨床アロマセラピー学会では、「クリニカルアロマ アドバイザー(臨床学術認定)」、「クリニカルアロマ エキスパート(臨床実技認定)」、「クリニカルアロマ スペシャリスト(臨床講師認定)」の3ステップで資格認定を行っています。私は臨床講師認定まで取得しましたが、その方の必要な学びに応じて、学術のみや学術と実技までなど、取得内容を選ぶことができます。基本的に看護師や医師、薬剤師、助産師など医療従事者向けですが、医療施設全体でチームとしてアロマケアが提供できるよう、事務スタッフやセラピストなど、医療機関に従事していれば誰でも資格認定を受けることができます。

講義ではどのようなことを学ぶのでしょうか?

学術では、基本的な精油の使い方だけでなく、現場で実践するための現状分析からプラン立案まで学びます。芳香浴、足湯、湿布、吸入など、実践と結びつけた精油の活用法も身につけられます。

実技では、解剖学やリンパの流れなど基本的な体の仕組みについて学ぶ他、体を傷めない手技など施術する側にも寄り添った技術が学べます。そうした技術は自分の体を大事に扱い、長期的に続けられることにもつながるので、学んでおいてよかったですね。

講師認定は、実技認定を取得したあとにいくつかある条件を満たすことで取得できます。例えば、社会貢献として地域でハンドトリートメントのイベントを開催したり、年に1度行われる学会発表で自分の取り組みを発表したりするなど。そうした活動を通して経験したことをレポートとして提出し、学会の講師や理事に推薦・承認されることで講師認定を取得することができます。

日本臨床アロマセラピー学会(JCAS)の認定制度日本臨床アロマセラピー学会の資格認定のステップ図。セミナーは学会会員以外でも受講することができます(受講費用は会員・非会員で異なります)


平山さんがクリニカルアロマ スペシャリスト(臨床講師認定)まで目指した理由は?

一番は看護師として働いている方たちにクリニカルアロマを広めていきたいという想いからですね。ケアする側が元気でなければ質のよい看護もできないということを、私自身働きながら実感してきました。クリニカルアロマは、ケアする私たちも癒されながら、患者さまの自然治癒力や笑顔を引き出し、心と体に寄り添うことができます。なので、クリニカルアロマを通して、日々がんばる看護師の皆さんに「自分をケアする大切さ」を伝えたいという想いがありました。

また、アロマを学ぶことで、看護の原点である「触れるケア」や「ホリスティックケア」の大切さを改めて実感し、患者さまへの接し方も大きく変わりました。よりよいケアを提供するための手助けになると確信し、それを広げたいという想いから講師認定を目指しました。

クリニカルアロマ認定資格をもつ平山未菜さん平山さんのサロンでは、施術前に平山さんが丁寧にカウンセリング。たくさんある精油の中からお客さまの体調や好みにあったものを調合します


資格取得のための勉強や認定試験で大変だったことはありますか?

実技認定を取得するために、決められた数の症例をレポートにまとめて提出する必要があり……これがなかなか大変でした。当時は病院務めでしたので、クライアントとして施術を受けてくれる方との日程調整に苦労したのを覚えています。夜勤明けに施術をしたこともありましたね。あとは、今はオンラインで講義を受けることができますが、当時はオンラインの講義がなく、通う必要があったため、ここでもやはりスケジュール調整が大変でした。働きながら時間を捻出するのは大変でしたが、好きなことができる楽しい時間でもあったので、仕事の合間のリフレッシュになりました。

大変ながらも、学ぶ時間を楽しまれていたのですね。

そうですね。実技の講座では他の参加者の方と組んで施術をし合うのですが、お互いに体の不調を伝え合いながらケアすることで、自分自身の心と体のメンテナンスにもなりました。相談しやすい人間関係ができましたし、講義で仲間と会うことでモチベーションも上がったので、限られた回数ではありましたが仲間と交流できたことは心の支えになりました。

次のページ: クリニカルアロマの資格を強みに、やりたい仕事に挑戦する

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がんばった試験での思い出が、今では宝物に!

「実技認定試験の際に集めた症例のレポートは、今も大切にファイリングしています。施術を受けてくださった方々からはたくさんのうれしい感想をいただきました。今も読み返しながら勇気づけられています!」(平山さん)

取得方法・お問い合わせ

資格主催団体名:一般社団法人 日本臨床アロマセラピー学会(JCAS)
資格種類クリニカルアロマ認定資格(臨床アロマ認定資格)
受験資格医療機関に従事していれば、医療従事者以外も資格認定を受けることが可能。
クリニカルアロマ アドバイザー(臨床アロマ学術認定)は、定められた学術基礎セミナーをすべて修了しており、日本臨床アロマセラピー学会の正会員または準会員であることで出願資格が得られる。筆記試験に合格することで、クリニカルアロマ アドバイザーに認定される。
その他、資格取得方法の詳細はこちらをご覧ください。
ホームページ:https://aroma-jcas.jp/index.html

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