手から手へ伝わる温もりが、身体だけでなく心にも癒しをもたらすハンドケア。介護福祉士として働きながらハンドケアセラピストの認定資格を取得した相坂清美さんも、資格を生かして活躍する一人。ハンドケアの講師としての活動状況や、イベントや地域の施設など幅広い場所でケアをされている様子について詳しくお聞きしました。
資格のチカラ
2025/3
肘下から指先までハンドケアオイルなどを使いながらマッサージするハンドケア。ハンドケアセラピストは、その技術を習得したことを認定する資格です。
資格取得年月(講師認定):
2016年11月
(ハンドケアセラピストインストラクター)
2019年6月
(ハンドケアマイスターインストラクター)
介護福祉士
ソフィア フィトセラピーカレッジ 講師
手から手へ伝わる温もりが、身体だけでなく心にも癒しをもたらすハンドケア。介護福祉士として働きながらハンドケアセラピストの認定資格を取得した相坂清美さんも、資格を生かして活躍する一人。ハンドケアの講師としての活動状況や、イベントや地域の施設など幅広い場所でケアをされている様子について詳しくお聞きしました。
INDEX
介護病棟でのハンドケア技術の活用
通常業務とハンドケアの両立方法
地域コミュニティでのハンドケア活用
ハンドケアの活動による変化
ハンドケアを学びたい人へのメッセージ
介護病棟ではハンドケアの技術をどのように生かしていましたか。
眠れない・眠らない患者さまがいらっしゃった時、業務の手が空いていれば看護師さんに許可を取ってベッドサイドでハンドケアをしていました。ある男性患者さまが、ぼそっと「気持ちええわ~」とおっしゃり、そのまま気持ちよさそうに眠ったことがありました。もの静かでほとんど喋ることのない方だったのですが、心地よさが伝わっているとわかりうれしかったですね。他にも、興奮されている方がいたら「ちょっと手を貸して~」と声をかけ、マッサージをすることも。すると、みなさんスッと落ち着かれるんです。ハンドケアは単なるマッサージではなく、相手の心に安心感や気遣いが伝わるケアなんだと実感しました。
ハンドケアは心までも癒してくれるんですね。
心がほぐれてお喋りになる方もいるんですよ。だから、気持ちや感じていることをお聞きするための、ある種のツールとして活用することもできると思います。
通常の業務もある中で、ハンドケアをするのは大変ではなかったですか。
ハンドケアの手技は13ステップあり、両手で15分ほどの施術です。私も初めは「そんな時間の余裕はない…」と思っていたのですが、ふと13ステップをすべてやる必要はないと教わったことを思い出したんです。実際、眠れない・眠らない患者さまや興奮されている患者さまには、13ステップのうちの1つであるエフルラージュ(手のひら全体でやさしく皮膚を擦るマッサージ技法)だけ行うこともありました。
また、ハンドケアのために用意するのはタオルとティッシュとオイルだけ。私は常備されていた保湿用のオイルを使っていましたし、ケアのためにあらためて準備する必要がないのもハンドケアのいいところです。マッサージの時間を取れなくても、ケアとして保湿剤を塗る場面があれば、ハンドケアのスキルを生かすこともできるかもしれませんね。
「先生方からはいつも、単なるマッサージではないハンドケアのやさしさを直に感じています」(相坂さん)
現在はハンドケアの資格をどのように生かしていますか。
2021年6月から月に1回、京都市内の商店街でハンドケアのボランティアをしています。うとうとと眠くなる方がいたり、お話が止まらなくなる方がいたりと反応は人それぞれ。気持ちよさそうにお話されている時は、傾聴に徹するよう心がけています。
私、小さい頃におじいちゃんおばあちゃんに頭を撫でてもらって、温かな手にすごく安心した記憶があって。その影響か、今でも手が大好きなんです。だからいろいろな方の施術をする中で、「がんばってはるな」とか「きれいやな」などと感じられ、手を見ているだけで私まで少し幸せな気持ちになっています(笑)。他にも、インストラクター仲間と一緒にイベントでハンドケアをしたり、友人や孫と会った時にハンドケアをしてあげたりしています。
インストラクターの資格を生かした活動もされていますか。
初めはソフィアから依頼された時だけ講師をしていたのですが、商店街でハンドケアをしていたら「私もやってみたい」との声をいただくようになったんです。そこで2023年12月からは月1ボランティアとは別で、ハンドケアセラピスト認定講座もスタート。毎回2~3名の少人数ですが、5期生まで誕生しています。「毎月商店街にいるから、わからないことがあればいらしてください」とお伝えし、卒業生の施術を確認することも。こんなにも幅広い活動をするとは、認定資格を取る前は想像もしていませんでした。
どのように活動の幅を広げていったのでしょうか。
ハンドケアをしていると「手だけのマッサージってあるんですね」と言われることもあります。そのためハンドケアの資格をもっていることや、ハンドケアの魅力を積極的に周りに伝えていきました。地元商店街で施術をしたのをきっかけに、別のイベントに呼んでいただくことも多くなり、活動の幅がどんどん広がっていきました。
ハンドケアを行うようになってから、どんな変化がありましたか。
実は講座を受けるたびに手が震えていたくらい、もともとは人見知りかつ緊張しいなタイプなんです。でもハンドケアのとりこになり、伝えたいことがどんどん溢れてくるようになって臆せず喋れるようになりました。インストラクターとして講座やイベントに参加する機会も多いため行動力もぐんとアップ。一人で外食をすることも新幹線に乗ることにもまったく抵抗がなくなり、ハンドケアの活動のおかげで活発に行動できるようになりました!
「施術をされる方はもちろん、セラピスト側も気持ちいいのがハンドケアの魅力。地域のイベントにセラピストとして参加し、10人以上に施術した日でも、『あ~楽しかった!』と終われるんです」(相坂さん)
地元商店街でのボランティア活動。ここが地域の方々の交流の場になってほしいという想いがあるのだそう
最後に、ハンドケアを学びたいと思っている方へメッセージをお願いします。
ソフィアでは、ハンドケアは「心と心の架け橋」とお伝えしています。施術して差し上げた方に安心感を与えることができますし、それは言葉や笑顔で返ってきます。セラピストだからこそ味わえる、心が通う感覚をぜひ体感していただきたいと思います。
中には「資格を取ったけれど、どう生かしたらいいのかわからない…」という方もいるかもしれません。そういう方のためにも、私はボランティアをする場所を増やしたり、ハンドケアセラピストを探している方とのマッチングをお手伝いしたりする活動をしていきたいと思います。
取材中は終始穏やかな笑顔を見せてくださった相坂さん。 安心感を覚えるような、やわらかな語り口調がとても魅力的でした
\ハンドケアの様子がわかる動画もぜひご覧ください/
写真:遠藤 麻美
「ハンドケアをきっかけにフィトセラピーを知り、ハーブにも興味をもつように。ハーブティーソムリエや薬膳ハーブ酒ソムリエJr.の認定資格も取得しました! 自分で育てたハーブを使ったハーブティー(真ん中)やマスクスプレー(右)で癒されています」(相坂さん)
認定協会: | 一般社団法人 日本フィトセラピー協会、一般社団法人 日本ハンドケア協会 |
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認定種類: | ハンドケアセラピスト認定、ハンドケアマイスター認定、ハンドケアインストラクター認定、ハンドケアマイスターインストラクター認定、認知症予防ハンドケアアドバイザー認定、認知症予防ハンドケアセラピスト認定 |
認定条件: | 誰でも講座受講が可能1日で修了できる講座と、一定期間の講座受講が必要なコースが用意されています。くわしくはこちらをご確認ください。 |
ホームページ: | https://sophia-college.jp/ |
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