人生100年時代、高齢者が住み慣れた地域でいきいきと健康な生活を送れるよう、心身の機能維持やQOLの向上を図る「介護予防」が大切になっています。介護予防指導士は、さまざまなアプローチで、高齢者やこれから老後を迎える方の健康をサポートする活動を行っています。この資格を生かし、楽しく元気になれるエクササイズを広める介護福祉士の内村眞由美さんに、資格を取得した経緯と活動に込める思いを聞きました。
資格のチカラ
2025/6
介護予防指導士とは、多くの方が豊かな老後を過ごせるように、要介護者だけでなく、元気な方も対象として介護予防を指導する資格です。日本介護予防協会が実施する講習を受講し、修了の認定を受けた方に与えられるもので、資格取得後は「筋力訓練指導」「ストレッチング」「転倒予防」「栄養ケア」「口腔ケア」などの指導を行なうことができます。2025年6月現在、6,200名以上の方が介護予防指導士に登録しています。
資格取得年月:2021年11月
介護福祉士・介護予防指導士
人生100年時代、高齢者が住み慣れた地域でいきいきと健康な生活を送れるよう、心身の機能維持やQOLの向上を図る「介護予防」が大切になっています。介護予防指導士は、さまざまなアプローチで、高齢者やこれから老後を迎える方の健康をサポートする活動を行っています。この資格を生かし、楽しく元気になれるエクササイズを広める介護福祉士の内村眞由美さんに、資格を取得した経緯と活動に込める思いを聞きました。
現在の介護予防指導士の活動について教えてください。
本業のデイサービスとは別に、指導士の資格を生かして、地元の介護施設と区民文化センターで「座ってできるエクササイズ」の講習を行っています。区民文化センターでは地域の方向けに通年で15回ほどのペースでやっており、今年で2年目になります。運動不足を解消するためにリピートで来てくれる方が多く、杖をついてくる方から若い方だと50代まで、いろいろな方が参加してくれています。
エクササイズに参加された方の反応で印象に残ったことはありますか?
先日びっくりしたのが、あるご高齢の男性が自分で歩行器を押して、電車で来られたことです。聞いたら「体を動かさなきゃと思って。イスに座ってできる体操だと聞いたから来た」とおっしゃってくれて、すごく感激しました。また逆に、「座ってできる体操なので楽だと思っていたら結構ハードで、すごくいい運動になった」と言って、2年連続で通われている方も。正直、私も自分の体のためにやっている部分もあります。
エクササイズの講習以外に、資格を活用していることはありますか。
今年で3年目になるのですが、MCI(軽度認知障害)の予防と改善を目的とした「アタマとカラダの健康チャレンジ」という川崎市の取り組みに講師として参加しています。60歳以上の市民向けであるこの活動では、MCIについて一緒に学び、アプリを用いた脳体力のテストと予防体操を通して、認知症の予防に向けた生活のアドバイスをしています。これも協会からの紹介で始めたものの一つで、活動の幅が広がっているのを感じます。
デイサービスで行っている「立ちましょビクス」は、立ったままイスにつかまってバランス力を鍛える体操。座っている人もリズムに乗って元気よく足を動かしているのがわかる(写真ご提供)
介護予防指導士としての活動を通して、介護の仕事に対する向き合い方に変化を感じますか?
私は30年にわたりさまざまな介護の仕事をしてきましたが、中でも現在勤めているデイサービスは、職員一人ひとりの目配り・気配りのレベルが高く、いつも「私ももっとがんばらなきゃ」と刺激を受けています。レクリエーションのアイデアも皆さん本当に豊富で、紙コップやペットボトルやそのフタなど、「こんなものが使えるの?」と思うものを巧みに活用されています。それらのレクにご利用者の方が少年少女のように夢中になっている姿を見ていると、このアイデアを外部にももっと広められたらと思うんです。
私はとにかく体操を広めてより多くの人を元気にしたいという気持ちが起爆剤となっていますが、資格を取得したおかげで、それが実現できつつあります。一緒に働く仲間たちにもそれが可能だということを伝えたくて、資格について情報共有したりしています。
今後、介護予防指導士として挑戦したいことはありますか?
一般の方向けにエクササイズを指導するようになって、さまざまな質問が寄せられるようになりましたが、予期せぬ質問にうまく応えられないこともあります。今、本業と指導士の活動で一週間のスケジュールがいっぱいで、自分のスキルアップに充てる時間が取れていないので、勉強会などに参加し、さまざまな質問や要望に広く応えられるようになること目指しています。
最後に、これから介護予防指導士を目指す方に向けてアドバイスをお願いします。
今介護の仕事をしていて、介護予防指導士の資格を取りたいという方は、きっと何か新しいことを始めたいという思いをもたれているのだと想像します。私自身もそうでしたし、資格を取るまでは本当にできるか不安もありましたが、行動に移したことで実現することができました。やりたいという思いがあれば、まずは行動に移すこと。そうすれば、今はぼんやりしている夢もきっと叶えることができますよ。
写真:井上 亮
エクササイズに使用しているアイテムの数々。エクササイズを通して、「入浴時、足を持ち上げづらかったのが、またげるようになったという声や、歩行時に座布団の上を歩いているような感覚だった方が、地にしっかり足がついている感覚を取り戻せたという話をよく聞きます」と内村さん。
「継続しないと成果はなかなか出ませんが、いつも『筋肉は裏切らないよ! 今日より明日の方が若いよ!』と皆さんを励ましています」
資格主催団体名 | 特定非営利活動法人日本介護予防協会 |
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資格種類 | 介護予防指導士 |
講習受講対象者 | ・介護系(介護福祉士、初任者・基礎・実務者研修修了、ヘルパーなど) ・看護系(看護師、准看護師、保健師など)。リハビリ系(理学療法士、作業療法士、言語聴覚 士など) ・運動指導系(健康運動指導士、健康運動実践指導者など) など、高齢者のケアに関わる資格をお持ちの方。また、上記資格の養成校などを卒業見込みで、資格取得見込みの方。 |
ホームページ | https://www.kaigoyobou.org/course/ |
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