診療材料の配置・表示を標準化 物品を探す時間を短縮し看護と向き合う時間を創出
2025/5/09
私たちの働き方改革
2025/5
小松市民病院看護部では「共に歩む看護」という理念のもと、「互いに学び、支え合い、育つことのできる職場環境づくり」を目指し、さまざまな現場改革を進めています。中でも外来で取り組んでいるポリバレントナースの育成は、各診療科の横のつながりを強化し、「お互い様」の気持ちを育んでいるといいます。ポリバレントナースの活躍により、休みが取りづらかった状況から、遠慮なく有給休暇が取得できる組織文化が醸成され、外来看護師のワーク・ライフ・バランスにもよい効果を生んでいます。取り組みの進め方やポイントについて、看護部長の湯野さん、副看護師長の山口さん、吉田さんにお聞きしました。
<お話してくれた方>
国民健康保険 小松市民病院
看護部長・認定看護管理者 湯野 智香子さん(中央)
副看護師長・認知症看護認定看護師 山口 香さん(右)
副看護師長 吉田 真弓さん(左)
山口
ポリバレントナースの育成に取り組むきっかけとなったのは、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の感染拡大に伴う病棟再編でした。病棟への異動や離職が増加し、外来看護師数が少なくなっていくことに危機感を覚えていました。また、コロナ禍以前に取り組んでいた「外来病棟一元化(※)」により生じていた、外来間の“横のつながり”の希薄化も何とかしなければと感じていました。
湯野
外来は本来、診療科をまたいだ情報共有や支え合いが不可欠な部署です。例えば薬の処方や保険の申請方法など、情報共有が必要な場面がとても多くあります。しかし、横のつながりが薄くなってしまったことで、共有すべき情報が外来の診療科間で伝わっていないという事案も発生しており、解決すべき課題だと思いました。
また、有休の取りづらさも大きな課題でした。人手不足もありますし、みんなが休みづらい状況の中で代わりにシフトに入れる看護師を探すのもひと苦労の状況だったのです。 外来には育児中の看護師が多いのですが、子育てをしている看護師が多いからこそ、休みの取りやすさは重要です。休みたい時に休むことができる職場環境やサポート体制づくりにもつながることを期待し、ポリバレントナースの育成に取り組むことにしました。
※病棟と、病棟との関連性が深い外来の診療科とで看護業務の一元化を実施。外来看護師が病棟のカンファレンスに参加したり、病棟看護師が外来の看護業務を担うなど、双方向でサポートしあう仕組みを構築した。
外来看護師長も務めていたという看護部長の湯野さん
山口
2021年から始めたポリバレントナースの育成は、基本的に外来に所属しているすべての看護師を対象とし、段階を踏みながら進めました。まずは、スタッフ数が多く専門性の高い処置が比較的少ない内科・外科・耳鼻科の3科のみでスタート。「他科で働く」ことのイメージをつかんでもらいました。次に、外来を4つのブロックに分け、それぞれのブロック内でのポリバレント化を実施。「自分の科だけでなく、他科にも目を向け、サポートしあう」という組織文化を少しずつつくっていきました。
吉田
他科での業務は平均して1~2ヵ月でマスターしてもらうことを目標としました。とはいえ技量には個人差がありますし、科によって業務の難易度も異なります。ですから、本人が「この科で問題なく業務ができる」と確信がもてたらマスターしたとみなし、次の科に進んでもらうようにしました。
中には行きたくない科がある看護師もいましたが、師長が「他科を担当できる看護師が増えれば、外来看護師の働き方も変わるはず。みんなで頑張ろう!」 と伝えたところ、納得して協力してくれました。現在はほとんどの外来看護師がポリバレントナースとして活躍しており、2つの診療科、多い方では3つの科で業務ができるようになっています。
ポリバレントナースの育成を先導する看護副師長の山口さん
次のページ:ポリバレントナースの活躍で有休の取りやすさに変化が
施設名: | 国民健康保険 小松市民病院 |
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住所: | 〒923-8560 ⽯川県⼩松市向本折町ホ60番地 |
開設: | 1950年11月 |
定員数: | 340床 ※2025年4月時点 |
ホームページ: | https://hosp.komatsu.ishikawa.jp/index.html |
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