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2024/5

高齢社会の問題に切り込む! 小説『ナイチンゲール7世』作者・小林光恵さんを取材

高齢社会の問題に切り込む! 小説『ナイチンゲール7世』作者・小林光恵さんを取材

「おやすみコラム」でおなじみの小林光恵さんの新著『ナイチンゲール7世』が5月21日(火)に発売されました! 高齢社会ならではの医療・介護問題をテーマにしたオリジナル小説です。光恵さんに、作品に込めた思いや制作の裏話をお聞きしました。

『ナイチンゲール7世』はどんな物語?

「ナイチンゲール7世」概要

主人公はナイチンゲールの末裔である橘高朱里(きったかしゅり)。通称“ナイチン”です。ナイチンを筆頭に、看護師や医師など個性豊かなメンバーが集結してできたのが“チーム・ナイチン”。彼らのもとには、チームのうわさを聞きつけた看護師たちから困りごとの相談依頼が舞い込みます。それらの依頼のもと、ナイチンたちがさまざまな問題に介入し、解決していく物語です。


ナイチンゲールの末裔を主人公にした理由とは

高齢社会の問題を、まるで探偵事件のように解決していくストーリー展開がとっても斬新で、わくわくしながら読ませていただきました。医療・介護に関する知識もぎゅっと詰まっていて、読み応えもたっぷりでした!
作品の構想はどのくらい前から考えられていましたか?

光恵さん

今から10年ほど前に、ナイチンゲールの末裔が日本で看護師をしている話を書こうと決めました。途中、寝かした時期が何回かあり、何度か書き直しもしました。なので、執筆期間が10年かかったというわけではなく……。その10年のうちのどのくらいの年月をかけて書いたのかは、我ながらちょっとわからないんです。

 

10年前から構想されていたのですね。「主人公がナイチンゲールの末裔」という設定が非常に興味深いですが、どこから着想を得たのでしょうか?

光恵さん

ずいぶん前、20年前くらいからでしょうか。ナイチンゲールにまつわる物語を書いてみたいとなんとなく考えるようになりました。私なりの視点で、書けることがあるのではないかな、と。

最初は、ナイチンゲールの霊が日本にやってきて、臨床現場を見ている、などいろんな案を考えてみたのですが、どれも「これだ!」とは思えなくて。それで、いつだったか、日本の歴史的人物の子孫の方がテレビでコメントしているのを見て、子孫の方のお顔を凝視しながら、「どのくらい歴史的人物の祖先と似ているのだろう」「その子孫であることの悲喜こもごもがあるんだろうなぁ」などと思いました。その際、ナイチンゲールの子孫が日本で、それも看護師をやっていて……という設定を思いついたんです。

主人公ナイチンのキャラクターが決まったあと、仲間たちをひとりずつ考えていきました。

構想、執筆の様子

仲間たちを含め、個性豊かな登場人物が非常に魅力的です。キャラクターが描かれたカバーイラストも素敵ですね。

光恵さん

カバーイラストは、原稿を書きながらイメージしていた人物とぴったりでした。イラストをはじめて見せていただいたときに、とても驚いて、そして感動しました。

 

「ナイチンゲール7世」登場人物 魅力的な登場人物たち。イメージ通りのキャラクターイラストが、物語を想像しやすくしてくれます。

光恵さんの実体験が物語のテーマに

物語はフィクションだと思いますが、認知症患者の介護問題や、高齢者宅を狙った訪問詐欺の問題はまさに高齢社会ならではの課題だと思い、取り上げているテーマが非常にリアルでした。これらのテーマを選んだ理由は?

光恵さん

この物語は、困りごとの解決依頼を受ける形で主人公のナイチンらが動きます。ナイチンらの存在を知った人は、どんな困りごとを抱えて連絡してくるのだろう、そして連絡してくるまでの大きな困りごととは一体何だろう、という想像から始まり思いついたテーマです。
私自身の加齢や、介護施設での看護師のパート勤務体験、そして両親の介護などを通して、高齢社会の現実を肌身に感じるようになったことも、テーマ選びに影響があったように思います。

本書を通し、みなさまが高齢社会について考える時や語らう時の小さなきっかけになったら幸いです。

高齢化社会

物語にリアリティを出すため、専門家に直接取材

作品を執筆するにあたり、光恵さんが新たに学ばれたことや取材されたことはありますか?

光恵さん

主人公のナイチンを、先祖同様に統計学に秀でた人物としました。そこで物語をつくるために、専門の先生に医療統計についてご教示いただきました。先生は例え話をしながら、かみくだいて説明してくださり、ひとつのことを理解できた時に「統計には血が通っているんだな」と思ったりしました。
他にも取材として、訪問診療に同行させていただいたり、ケアマネージャーさんにお話を聞いたりと、多数の方にお世話になりました。直接現場をたずねたり、直接お話をうかがったりしなければわからないことがたくさんあり、書く時の力になりました。

最後に、Nursing-plaza.comの読者に向けて、メッセージをお願いします!

光恵さん

読んでくださるすべての方に、まずストーリー展開を楽しんでほしいと思いながら書きました。看護・介護職のみなさんだからこそ「あるある」「だよね」と思う箇所も楽しんでいただきたいと思っています。
そして、みなさんの職場や地域でナイチンらに課題解決を依頼したいことがあるか、なども考えてみてほしいと思います。また、物語の中で起きていることについて、自分ならナイチンらとは違う方法で課題解決をする、などと思うところがありましたら、私宛にお寄せいただけたらうれしいです。

もうひとつ、ナイチンをはじめとした登場人物らに似た人が周辺にいらっしゃったら、そのことも私宛にお送りくださいね。

 

光恵さん、ありがとうございました!

看護師さん・介護士さんが直面する課題についてのヒントがぎゅっと詰まった小説です。医療・介護に関わる社会問題を取り上げられていますが、決して重たい雰囲気はなく、魅力的な登場人物たちが軽やかに物語の世界へと誘ってくれます。 みなさんもぜひ、お手に取ってご覧ください!

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『ナイチンゲール7世』は好評発売中!

『ナイチンゲール7世』小林光恵 著(イースト・プレス)
痛快! 天才看護師、ダメな日本の医療をぶった斬る
人気コミック『おたんこナース』の原案者が送る、常識破りなメディカル・ノベル


看護師の橘高朱理(ナイチン)は、〝クリミアの天使″ことフローレンス・ナイチンゲールの子孫だった。「看護統計学の始祖」だった先祖の血を受け継ぎ、ハーバード大学医学大学院で最先端の医学と統計を学び首席卒業。比類なき能力で医者たちを大幅に凌駕し、日本の医療の闇に斬り込んでいく。ユニークな仲間たちとともに天才ナースが繰り広げるドラマの連続に目がはなせない痛快メディカル・ノベル。

著者/小林光恵さん
茨城県生まれ、東京警察病院看護専門学校卒業。看護師をつとめたのち、出版社の編集者を経て1990年から作家活動を開始。
現在はエンゼルメイク研究会代表として、病院や在宅でのエンゼルケア(死後ケア)の検討・執筆など、活動の幅を広げている。

著書に、『おたんこナース』(小学館)の原案、『ナースマン 新米看護士物語』(KADOKAWA)、『ナースがまま』(幻冬舎)など他多数。

Nursing-plaza.comにて、「小林光恵さんの おやすみコラム」も好評連載中。

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