おしえて、先輩! 看護師のためのマネー&キャリア相談室#02「人間関係の悩み&傷病手当金」
2024/11/19
みんなの広場
2024/8
半年ほど前。
定年退職を間近に控えた看護師のAさんと2人で食事をした折に、私は彼女にたずねました。
「これまでの看護師人生で、仕事中にいちばん多く発した言葉は何だと思います?」
「それ、リフレクションにも役立ちそうな視点ね。1年目あたりは『すみません』かもだけど。全体としては何だろう、うーんと」
生真面目なAさんは首を傾げたまま考えこんでしまいました。
「反射的に、いま、ぽんと思いつく言葉で。そのほうが、もし、言った本人は意外でも、個性とか仕事の臨場感とかがにじみでたりして」
気楽に考えてもらえるよう、同じ質問をした他のナースたち(キャリアいろいろ)の回答例を彼女に紹介しました。
●ごめんなさーい:(患者さんにとって負担なことをする時や他の場面でもよく言っている)
●失礼します:(患者さんの身体に触れて何かをする時や、ベッドサイドから離れる時など、いろんな場面で)
●ありがとうございます:(僕は断然これ。同僚だけでなく利用者さんにもよく言っている)
●水分、多量、先生、お薬、夜間、お願いします:(それぞれ別のナースより。みな、何となくという理由)
「案外、数値がいちばん多かったかも、なんてコメントをしてくれた人もいるんです」
「そう」
浮かない表情になったAさんは、帰る際の「じゃ、またね」の声にも元気がありませんでした。
そんなAさんから、半年ぶりに連絡がありました。
「夢ののんびり生活に突入だと思ってたけど、あなたのあの質問にぽんと答えられなかった件が無性にくやしくて、もう少し看護の現場にいてみたくなって、実はね、再雇用でまだ働いているのよ。あなたのせいだからね」
弾んだ声でした。
予想ではなく、実際に録音してカウントしたなら、どんな結果になるのか。どなたかに調査してみてほしいです。
著者/小林 光恵さん | 元看護師。著述業。つくば市在住。 エンゼルメイク研究会代表、ケアリング美容研究会共同代表。 看護師、編集者を経て、1991年より本格的に執筆業を中心に活動。『おたんこナース』『ナースマン』など。 <新刊情報> ナイチンゲールの子孫が主人公の小説 『ナイチンゲール7世』(イースト・プレス)が発売中! <多数のメディアで連載中!> ●小説 『令和のナースマン』 (月刊ナーシングキャンバス 株式会社Gakken) ●エッセイとイラスト 「アンチヘブリンガン」 (月刊ナーシング 株式会社Gakken) ●コラム 小林光恵の「ほのぼのティータイム」 (Aナーシング 日経メディカル) ●コラム 「ついついやってしまいがちなエンゼルケア」 (Will Friends 日本看護学校協議会共済会) ●ドクターズコラム (健達ねっと メディカル・ケア・サービス) など |
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