みんなの広場

2025/3

坂本すがさんがアドバイス 看護師長の「チームづくり」へのお悩み

坂本すがさんがアドバイス 看護師長の「チームづくり」へのお悩み

『わたしがもういちど看護師長をするなら』という書籍を出版されている坂本すがさん。師長さんならではの「チームづくり」の悩みを相談してみました! 新たな部署で看護師長としてスタートを切る方や、チームのモチベーション向上に悩む方におすすめの「坂本流マネジメント」、ぜひ実践してみくださいね。

(Q1)新しい環境でのスタートが不安です!

新しい病棟で看護師長として働いていますが、まだスタッフとのコミュニケーションにぎこちなさを感じます。坂本さんなら、新たな病棟で看護師長を任された時、まず何から始めますか?

坂本さんの回答

話すネタは何でもいい。まずは話してみる!

誰だって、初めての病棟では多少緊張しますよね。コミュニケーションがぎこちないのも当たり前。気にすることなんてありません。そのうえで、私ならまずスタッフと話すことから始めます。話の糸口は、仕事のことでもプライベートのことでも何でもいい。そのうち話せるようになってきたら、「この病棟でどんなことをしたい?」と聞いてみてはいかがでしょうか。そこから、それぞれの個性、病棟の方向性が見えてくると思います。

(Q2)チームを盛り上げるには?

チームのモチベーションを上げるためのポイントを教えてください。

坂本さんの回答

90%は仕事ぶりを認める。10%でポジティブに導く

看護師は、何も言われずとも患者さんのために行動するもの。そういった仕事ぶりを、まずは認めるべきでしょう。90%は認めて、残り10%で「昨日より今日、今日より明日に向けて頑張ろう」と促す。私はこれを「90対10※」と名付け、チームマネジメントの指針にしています。

※『わたしがもういちど看護師長をするなら』(医療書院)より引用

(Q3)悪口・陰口が多いスタッフに困っています…

悪口やパワハラめいた言動で、チームの和を乱すスタッフに頭を抱えています……。チームのためにどのように対応すべきでしょうか。

坂本さんの回答

「一方聞いて沙汰するな」です。

深く気にせず、聞き流せばいいんじゃないですか? ただ、あまりにもひどい場合は、まず本人に「こういう話が聞こえてきますが、どうですか」と事実を確認するべきでしょう。何か理由があるのかもしれないし、ほかに不満があってよくない言動になってしまったのかもしれません。「一方聞いて沙汰するな」です。話を聞いて解決できることがあれば支援する。それで数ヵ月間は様子を見て、まだ和を乱すようなら「あなたの言動に、スタッフや患者さんが困っている」としっかりと伝える。問題のあるスタッフをただ排除するのではなく、言動の背後にあるものを探ること、放っておかず後日改善できたかを評価するなど、システマティックに対応することが重要です。

星アイコン

看護師長さんへのおすすめ書籍

『わたしがもういちど看護師長をするなら』(著:坂本 すが 出版:医学書院)

助産師、看護管理者として30数年間、患者に接しながら現場のマネジメントに携わってきた坂本すがさんのマネジメント実践書。「看護管理者の役割とは?」「新人の育て方は?」「壁にぶつかったスタッフとの向き合い方は?」など、組織や人材マネジメント方法を、坂本さん自身の経験と共に解説。単なるスキル本ではなく、何のためにその課題に取り組み、どのように乗り越えるべきかという「発想の仕方」を学ぶことができます。組織やスタッフのマネジメントに悩む看護師長をはじめとした看護管理者の皆さんにおすすめの一冊です。

書籍情報はこちらから

坂本 すがさん
東京医療保健大学 副学長
医療保健学部 看護学科 学科長
助産学専攻科 専攻科長

1972年、和歌山県立高等看護学校保健助産学部卒業。2007年、埼玉大学大学院経済科学研究科(現・埼玉大学経済経営系大学院)博士課程修了。1976年4月、関東逓信病院(現・NTT東日本関東病院)に入職し、1997年より看護部長を務める。2006年、東京医療保健大学看護学科学科長・教授就任。中央社会保険医療協議会専門委員などを歴任。2011年6月~2017年、公益社団法人日本看護協会会長。2017年6月より現職。

Key wordsキーワード

SNSでシェアする