みんなの広場

2024/3

小林光恵さんの おやすみコラム #017「嗚呼、ガーゼ」

小林光恵さんの おやすみコラム #017「嗚呼、ガーゼ」

ガーゼ、と言えば一番に思い出す場面は? ガーゼ交換、ガーゼで行うマウスケア、無菌操作、ガーゼカウント?
私は、看護学生時代の母性看護実習で、実際に赤ちゃんの沐浴を行った際のお湯に浸したガーゼです。やわらかさやなめらかさが、そのシーンの感動とともに忘れられません。
では、ガーゼというワードで最初に頭に思い浮かぶ物は何ですか? やはり仕事で使うガーゼそのものでしょうか。むかし医療現場で多用されていたガーゼカスト? あるいは肌着などの自身の身の回りの物? 
私はガーゼマスクです。小さいころからガーゼ製品全般が好きなのですが、その中でもマスクは特別。唇や頬でじっくりとガーゼの感触を味わうことができるから。

「ふうはりと顔にガーゼの触るるごと眠気はきたり昼の束の間」  梅内 美華子『夏羽』より

これは、ガーゼの繊細な触感がよみがえる短歌の名作です。 
コロナ禍となり不織布マスクを使うようになって、マスク愛好家になった理由がガーゼであったことを再確認しました。最近は不織布フィルターをあいだに挟み抗菌加工が施されたガーゼマスクを見つけ、愛用しています。

そんな、愛すべきガーゼについて。
語源は中東のガザにある、という説(他説もあり)をこのほど知りました。
目下、ガーゼといえば、血のにじむガーゼばかり目にしたり連想したりしてしまうかもしれないガザで生きている方たちに、ガーゼのハンカチや寝具や衣類などの優しい風合いを味わえる穏やかな日常が早く戻ってきますように。

著者/小林 光恵さん
元看護師。著述業。つくば市在住。
エンゼルメイク研究会代表、ケアリング美容研究会共同代表。

看護師、編集者を経て、1991年より本格的に執筆業を中心に活動。『おたんこナース』『ナースマン』など。2024年出版を目標に、ナイチンゲールの子孫が主人公の小説を鋭意執筆中。

<多数のメディアで連載中!>
●小説 『令和のナースマン』
(月刊ナーシングキャンバス 株式会社Gakken)
●エッセイとイラスト 「アンチヘブリンガン」
(月刊ナーシング 株式会社Gakken)
●コラム 小林光恵の「ほのぼのティータイム」
(Aナーシング 日経メディカル)
●コラム 「ついついやってしまいがちなエンゼルケア」
(Will Friends 日本看護学校協議会共済会)
●ドクターズコラム
(健達ねっと メディカル・ケア・サービス)
など

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