看護師のためのマネー&キャリア相談室#05「老後の働き方」
2025/2/18
みんなの広場
2025/8
この先、私はどんなキャリアを歩んでいくのだろう。将来のことを考えると、仕事だけじゃなく、お金の計画もきちんと立てなくては。でもこれ、誰に相談すればいいのかわからない……。
そんな看護師の皆さんのお悩みに、看護師の先輩であり、現在それぞれキャリアコンサルタント、ファイナンシャルプランナーとして活躍されている濱田安岐子さんと中林友美さんがズバリお答えします。第11回は、病院勤務のサヤカさんから認定看護師の資格取得に関するご相談です。
看護師・サヤカさん(28歳/中規模病院勤務6年目)のお悩み
認定看護師の資格取得を目指していますが、仕事と勉強の両立ができるか不安で悩んでいます。仕事をしながら勉強を進める方法がわからず、資格取得後のキャリアパスもイメージが湧いていません。
濱田さんのアドバイス
キャリア支援のための相談対応をしていると、資格取得に関する悩みをうかがうことがあります。
サヤカさんが目指している認定看護師は、5年以上の実践経験をもつ看護師が、日本看護協会が定める600時間以上の認定看護師教育を修め、認定審査に合格することで取得できる資格です。審査合格後は認定看護師としての活動と自己研鑽の実績を積み、 5年ごとに資格を更新しています※1。
認定資格には特定行為が付随してくるため、社会を支える看護職としての役割を今まで以上に意識していく必要があるかもしれません。
看護職は、学ぶ意欲が高い人が多いように思います。専門職として学び続けなければ、看護実践を継続することはできないからです。最新の情報を収集し、実践に落とし込む学びを日常的に行うのが看護師です。ですから、学ぶことに関してのハードルは少ないはずです。一方で、いち看護師としての日常的な学びではなく、“覚悟を決めて学ばなければならない学習”に対するハードルを感じる看護師は多いかもしれません。
そうしたハードルを越えて学ぶ場合、重要なのは「モチベーションのセルフマネジメント」です。ハードルが高いと思ったとしても、実際に学び始めてみて楽しいと思えれば、多少の困難は乗り越えることができるでしょう。ですがそれ以前に、「なぜ認定看護師を目指したいと思ったのか」、「その分野を選んだ理由はなにか」ということをまずは意識することから、モチベーションのセルフマネジメントは始まります。これらを意識することこそが、どんな困難にも負けないモチベーションの源泉になるからです。
サヤカさんには、認定看護師を目指すうえでいくつものハードルがあるようですね。まずはご自身のモチベーションの源泉を探してみることから始めてみてはいかがでしょうか。
では、「モチベーションのセルフマネジメント」とは、具体的にどうすればよいのかご説明していきます。
私が看護師の皆さんに伝えているキャリアデザインは、経験の中に埋もれている“自分自身の大事にしたいこと”を探索(自己分析)することから始まります。過去の経験を振り返り、経験の棚卸をすることで、その経験が自分にどのような意味があったのか、経験した時に感じられたことは何だったのか。そういったことを内省していきます。
内省することによって、自分の生き方や働く方向性、何を大事に活動していくのかをキャリアデザインにつなげていくことができます。経験してきたことを振り返ることで、その時に自然と沸き起こる感情がどこからきているのか、自分自身がどのようなものの見方や考え方、価値観、仕事観、看護観に影響を受けているかに、初めて気づくことがたくさんあるはず。なぜなら、日頃自然と沸き起こっている感情は自分にとって当然のことだと認識しているからです。自分では気づいていると思っていても、実は浅い部分の認識でしかなく、深堀することによってさらにモチベーションの源泉に近づくことができるのです。
改めて経験の棚卸をしてみると自分の価値観が見えてくるので、キャリアの方向性を見出すためにも内省することは欠かせません。
サヤカさんもぜひ、認定看護師を目指したいと思ったきっかけやその時の感情、そこにたどり着くまでの経験を思い出してみてください。
そこにはどのような自分が映し出されているでしょうか。何を大事にしたいと思っていたのでしょうか。
認定看護師になりたいと思った時の気持ちが、これから資格取得を目指すうえで起こりうる困難を乗り越えるだけの理由になりそうか考えてみてください。そうすることで、その気持ちがこれから先もサヤカさんを支えるモチベーションとなってくれることでしょう。その気持ちを意識しながら、資格取得後の活躍する姿をイメージすることで、大きな困難も乗り越えることができるはずです。
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濱田 安岐子さん NPO法人看護職キャリアサポート/株式会社はたらく幸せ研究所 代表 看護師/国家資格キャリアコンサルタント/ハラスメント相談員 看護師臨床11年、看護教員3年を経験した後、2006年からフリーランスとして独立。2010年、NPO法人看護職キャリアサポートを設立し、看護師が元気に自分らしくキャリアを継続できるように活動中。2018年には、株式会社はたらく幸せ研究所を設立。健康と幸福学で幸せに働ける社会を目指している。 | 中林 友美さん フローレンス FP オフィス 代表 看護師/ファイナンシャルプランナー/国家資格キャリアコンサルタント 長らくがん看護に従事し副看護師長を経験後、FPなどの資格を取得。多忙で自分のことをつい後回しにしてしまう看護師が自分らしく輝く人生を歩むために、2019年よりフローレンスFPオフィスを立ち上げ、日々活動中。 |
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