小林光恵さんの おやすみコラム #032「動作緩慢とタイパ」
2025/6/11
みんなの広場
2026/7

NHKの連続テレビ小説『風、薫る』の中で、病室から手術室への患者さんの移送に布担架を使用しているシーン(明治21(1888)年頃)が出てきて、ストレッチャーがまだ使われていないことを思うと同時に、遠い昔のある女性患者からの問いを思い出しました。
検査室までお送りするべく、ストレッチャー上に横たわる彼女とエレベーターに乗りこむと、彼女が言いました。
「そういえば私、家に誰もいなくても、帰宅した時、<ただいま>って言う人なの」
「私もです!」
「おう、そうなのね。それってさ、どんな心理なんだと思う?」
そこで目的階に着いてしまい、結局、その問いに答えずじまいになってしまいました。
私のストレッチャー移送の経験は、病院内での送迎が主でした。その際の短い雑談の中で、何気ないけれど印象的な問いを受けることが多かった気がします。それで私はストレッチャーからは問いを連想するのです。答えずじまいになることが多かった上に、もしかしてその問いは看護師として注目すべき貴重なサインだったのかも、という一抹の不安も連想に関係しているかもしれません。
どんな看護領域・現場で、どんな時代に仕事をしてきたか、仕事をしているかによって、ストレッチャーにまつわる印象は違ってくるかもしれませんね。大関和さんはどんな印象をもっていたかしら。
ちなみに、この文の冒頭に記した『風、薫る』のシーンの35年後に起きた関東大震災(大正12(1923)年)の際に、大関和さんは職場が被災しながらも救護活動を行ったそうですね。以下、参考動画です。当時のストレッチャーもちらり映っています。
参考動画:日本赤十字社における救護活動

| 著者/小林 光恵さん | 元看護師。著述業。つくば市在住。 エンゼルメイク研究会代表、ケアリング美容研究会共同代表。 看護師、編集者を経て、1991年より本格的に執筆業を中心に活動。『おたんこナース』『ナースマン』など。 <新刊情報 !> 老化にブレーキをかける! 日常でできる運動方法がギュッと詰まったエクササイズ本 『日常動作が安心&快適に!老化防止エクササイズ おうちで簡単カラダづくり』(メイツユニバーサルコンテンツ)が発売中! <多数のメディアで連載中!> ●小説『ナイチンゲール7世』 (イースト・プレス) ●小説 『令和のナースマン』 (月刊ナーシングキャンバス 株式会社Gakken) ●エッセイとイラスト 「アンチヘブリンガン」 (月刊ナーシング 株式会社Gakken) ●コラム 小林光恵の「ほのぼのティータイム」 (Aナーシング 日経メディカル) ●コラム 「ついついやってしまいがちなエンゼルケア」 (Will Friends 日本看護学校協議会共済会) ●ドクターズコラム (健達ねっと メディカル・ケア・サービス) など |
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