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2024/7

小林光恵さんの おやすみコラム #021「誰かの大切な人」

小林光恵さんの おやすみコラム #021「誰かの大切な人」

<この人も誰かの大切な人なのだ>
腹の立つ相手、許せないと思う相手に接する時、そう思うこと。とくに職場の人間関係では。
看護師として病院に勤めていた遠い昔に、ある人からいただいたアドバイスで、私の座右の銘の一つになりました。しかしその後、いくつかの事業所に勤めたのちフリーランスになり、組織に属して仕事をしなくなったからか、このフレーズをすっかり忘れていました。

そんな私が、2020年までの3年ほど、介護施設で看護師としてパート勤務をしていたのですが、そこで実に理不尽だと感じる職員に出会い、その人に対して辟易(へきえき)した気持ちを持ったまま、予定の時期がきて退職。辞める前に冒頭のフレーズを思い出していたなら、少しでも思いやりを持てて、その人の見え方も違っていたのかもしれないと後悔しました。

最近、若手から中堅までさまざまなキャリアのナースの方から、職場の人間関係で悩んでいる、というメールを立て続けに受信しました。みな私にアドバイスを求めているのではなく「ただ、聞いてほしい」とのこと。状況に違いはあるけれど、職場の誰かからいじめなどの攻撃を受けているようでした。冒頭のフレーズを一部変えて、<あなたは誰かの大切な人>というメッセージを送りたいと感じるほど、みなが自信喪失し、自身を否定気味でした。

今後、看護や介護の現場は、例えばDXが進むなど、時代とともにいろいろの変化があるでしょうが、職場の人間関係の悩みは変わらずに存在することでしょう。そのことでみなさんが疲弊してしまわないような方策を新たに検討することが必要かもしれません。

著者/小林 光恵さん
元看護師。著述業。つくば市在住。
エンゼルメイク研究会代表、ケアリング美容研究会共同代表。

看護師、編集者を経て、1991年より本格的に執筆業を中心に活動。『おたんこナース』『ナースマン』など。

<新刊情報>
ナイチンゲールの子孫が主人公の小説
『ナイチンゲール7世』(イースト・プレス)が発売中!

<多数のメディアで連載中!>
●小説 『令和のナースマン』
(月刊ナーシングキャンバス 株式会社Gakken)
●エッセイとイラスト 「アンチヘブリンガン」
(月刊ナーシング 株式会社Gakken)
●コラム 小林光恵の「ほのぼのティータイム」
(Aナーシング 日経メディカル)
●コラム 「ついついやってしまいがちなエンゼルケア」
(Will Friends 日本看護学校協議会共済会)
●ドクターズコラム
(健達ねっと メディカル・ケア・サービス)
など

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