資格のチカラ

2022/9

感染管理認定看護師(B課程)

認定看護師は、高度化し専門分化が進む医療の現場において、水準の高い看護を実践できると認められた看護師です。「感染管理認定看護師」は感染予防・管理システムの構築、医療関連感染サーベイランスの実践、施設の状況の評価などを行います。2019年の認定看護師制度改正にともない、現在は特定行為研修を組み込んだ新たな認定看護師教育(B課程)がスタート。21の認定看護分野も再編され、19分野に統合されました。

コロナ対応の最前線! 感染管理認定看護師への道

(地独)東京都立病院機構 東京都立荏原病院
資格取得年月:2021年12月

看護師

伊藤 未恵

感染管理認定看護師は感染対策のスペシャリストとして、各病院でその知識と実践力を活かして対応に当たっています。2021年度には診療の補助を行うことのできる、新たな認定看護師も誕生。その一期生にあたる伊藤未恵さんに、資格取得の道のり、取得後の働き方、未来の展望についてお話をうかがいました。

自分の存在が、「感染管理」の意識向上につながる

認定審査に合格して感染管理認定看護師になられてから、病院の業務において、感染管理認定看護師の資格はどのように活かされていますか?

資格取得後、すぐにコロナ病棟で働くことになったため、感染対策について適切な助言ができるようになりました。それまでは、疑問が生じたら専従の感染管理看護師にその都度確認していましたが、その場で私がフィードバックし、現場の不安を解消できるようになったのは大きかったですね。また、私が感染対策の実践モデルとなり、「こうしなきゃダメなんです」と実際に手本を示す機会も増えました。

病院全体の意識向上にもつながりそうですね。

資格を取ったことで、「私が感染対策をしっかりしていかなきゃ」という意識も芽生えました。「マスクを正しくつけてください」と言い続けていたら、私と廊下ですれ違うだけで、鼻出しマスクの医師がしっかりつけ直すようになりました(笑)。さらに「ありがとうございます。でも、マスクの表面を触ったので手指消毒してくださいね」と言うと、「あ、そうか」とハッとした表情に。感染対策のマスコットキャラのように、私がいるだけで意識向上につながっているのかなと思います。

多職種と関わるようになり、人間的にも大きく成長

スキルアップを感じたエピソードを教えてください。

私は、特定行為研修を含むB課程の認定審査を受けました。特定行為には、抗菌薬の適正使用や提案も含まれます。独学で勉強するには難しい分野なので、感染症医の指導のもとで学べたのは大きなアドバンテージになりました。看護師は患者さん主体で物事を考えるため、抗菌薬を点滴している患者さんがいれば「早くやめさせてあげたい」と思いがちです。でも、抗菌薬への理解が深まったことで「今はまだ抗菌薬の点滴が必要だな。でも、こういう効果が出れば、内服薬に切り替えられそうだな」と提案にもつなげられるようになりました。

感染管理認定看護師の仕事に、どんな魅力を感じていますか?

資格を取ったことで、人との関わりが大きく広がりました。これまでは病棟勤務だったので病棟内の患者さんや看護師、医師と向き合っていましたが、今では他の科の感染対策について相談を受けたり、他の病院の感染管理看護師から情報を仕入れたり、より多くの職種と関わるようになりました。チーム看護・チーム医療の重要性を強く感じていますし、人間的にも成長させていただき、とてもありがたいですね。成長する機会って、なかなか得られるものではありませんから。

地域や他院と連携し、感染対策の協力体制を築きたい

今後、資格を生かして挑戦したいことはありますか?

資格取得に向けて実習を行った滋賀県の病院は、地域や他院の感染管理看護師とネットワークを形成していました。私も当院にとどまらず、地域の方々や大田区内の他院と連携を取りながら、感染対策の情報を提供したり、協力体制を築けるようになったりすればいいなと思います。

キャリアアップのために資格取得を検討している読者に向けて、メッセージをお願いします。

チャンスはいつ転がってくるかわかりません。転がってきた時にしっかりつかむには、常に心の準備をしておくしかないと思っています。私はコロナ禍の中で受験しましたが、その分いろいろな体験をさせていただきました。今コロナ対応にあたっているのも、すべてはご縁だと思っています。大変なこともありますが、少しでも楽しみながら資格取得を目指してください!

写真:小川拓洋

1 2
星アイコン

先輩看護師から教わった参考書で、とにかく学習!

「試験勉強には、以下の参考書が役立ちました。先輩の感染管理看護師から教わった本、レビューの評価が高い本を読み込んだほか、もちろん過去問にも挑戦。片道1時間半の通勤時間を、勉強にあてていました」(伊藤さん)

・『感染対策のためのサーベイランスまるごとサポートブック』編:藤田烈 出版:メディカ出版
・『基礎から学ぶ医療関連感染対策(改訂第3版)』著:坂本史衣 出版:南江堂
・『隔離予防策のためのCDCガイドライン』訳・著:満田年宏 出版:ヴァンメディカル
・『感染症プラチナマニュアル Ver.7 2021-2022 Grande』著:岡秀昭 出版:メディカル・サイエンス・インターナショナル

取得方法・お問い合わせ

資格主催団体名:日本看護協会
受験資格:次の1~3の項目をすべて満たしていること。

1. 日本国の看護師免許を有すること。
2. 看護師免許を取得後、通算5年以上の実務研修を受けており、そのうち通算3年以上は特定の認定看護分野における実務研修であること。
3. A課程認定看護師教育機関もしくはB課程認定看護師教育機関又は外国においてそれらと同等と認められる教育を修了していること。
ホームページ:日本看護協会 審査に関するご案内(認定看護師)

Key wordsキーワード

SNSでシェアする