資格のチカラ

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認知症ケア専門士

認知症ケア専門士は、医療・介護・地域の現場において、質の高い認知症ケアや支援を行う専門職の育成を目的とした資格です。生涯にわたって学びを深めながら実践力を高めていく資格であり、チーム医療や地域支援の中でリーダーやアドバイザー的な役割も担います。

適切な認知症ケアを社会に広めたい 超高齢社会で活躍の場を増やす認知症ケア専門士

資格取得年月:2021年6月
看護師/認知症ケア専門士

すぎやま りょうこ杉山 良子

高齢化が進むにつれて認知症患者数が増加する昨今、「認知症ケア専門士」への注目が高まっています。看護師として多様な経験を積む中で認知症ケアへの関心が強まり、資格を取得するに至った杉山良子さんに、資格取得の背景や認知症ケアに対する想いについてうかがいました。

INDEX

  認知症ケアに興味をもった理由

  資格取得までの勉強時間と方法
  資格取得後に参加できる研修会

  認知症の知識を地域の中に広げるために

地域包括ケア病棟で認知症ケアの重要性を再認識し、資格取得へ

まずは、杉山さんのご経歴を教えてください。

1991年に看護師免許を取得後、大学病院で7年ほど勤務しました。その後、総合病院の循環器内科や消化器内科などのさまざまな病棟で経験を積んでいきました。地域包括ケア病棟に異動になったのをきっかけに認知症ケアに関心をもち、2021年6月に認知症ケア専門士の資格を取得。現在は、身体的な不調で看護の実業務が厳しくなり、ホスピス型住宅で事務職として勤務しています。

地域包括ケア病棟に異動したことで認知症ケアに関心をもったとのことですが、具体的にどんなところに興味を惹かれたのでしょうか?

勤務先の総合病院では、認知症患者さんの安全・安心を確保し、病状の悪化を防ぐ目的で病棟や病室内の見回りをする「認知症ラウンド」を行っていたので、認知症ケアの重要性は十分に理解していました。けれど、地域包括ケア病棟に異動して、患者さんの高齢化と認知症罹患数の増加を肌で感じ、これから先はより一層認知症ケアの必要性が高まっていくことを再認識したんです。
そこで、認知症ケアについてより深い知識を得るためにさまざまな資格を検討しました。当時の勤務先には認知症看護認定看護師の方がいたのですが、どちらかというと現場のケアではなく、マネジメントや教育など組織全体に関わる部分を担っていました。もちろんそうした役割も大切なのですが、私はより現場に近い立場で関わりたいと考えていました。

なぜ、そのように考えられたのですか?

地域包括ケア病棟の性質上、入院を機に日常生活のレベルが下がり自宅生活が難しいと判断されて施設へ移ることになったり、退院後のご本人の居場所についてご家族との理解の間に壁を感じる場面を多く経験しました。そうした中で、ただケアを実践するだけでなく、認知症への理解や知識を周囲に広めていく役割にも強く関心を抱くように。さらに、認知症ケア専門士には認知症ケア上級専門士という上位資格もあり、チームリーダーや地域のアドバイザーといったより専門性の高いケアや指導、支援につなげることができます。資格を取得し、新たに学んだ知識とこれまでの経験をあわせてケアに生かしたい、現場にフィードバックしたいと考えるようになりました。

資格のチカラ_認知症ケア専門士「認知症ケア専門士の活動をきっかけに、認知症看護認定看護師や老人看護専門看護師といったスペシャリストを目指すなど、今後進みたい方向を検討するのもよいかもしれません」と杉山さん

資格の勉強を通して学んだ、看護の域を超える「認知症ケア」

認知症ケア専門士の資格はどれくらいの期間で取得しましたか?

1年くらいですね。テキストと講義映像を見ながら学ぶ形式なので、時間の融通が利きやすかったです。当時私は休職中でしたが、このスタイルなら働きながらでも取得しやすい資格だと思います。
講義映像は長くても1本3時間程度で、テキストは計4冊ありました。薬物療法やリハビリなど学習分野は幅広く、情報量もとても多いんです。普段から関わりのある分野は理解しやすいのですが、あまり接点のない分野については一から学んでいく必要があり本当に大変でした。そのため、重要なところは映像を止めながら繰り返し学習しました。
デイサービスで行われているケアについては、認知療法や音楽療法の紹介がありました。私自身、地域の介護施設などの社会資源領域についてはあまり詳しくなかったので、新たな学びを得る機会になりました。

自分の精通していない分野について学ぶ機会にもなるんですね。

はい。受験資格の条件は認知症ケアに関する実務経験が3年以上あることなので、看護師だけでなく、薬剤師や管理栄養士、介護福祉士、理学療法士などさまざまな職種も対象です。職種が違えば、経験してきた現場も異なるので、学びを通して自分に足りない領域を補うことができます。また、自分が普段関わっていてすでに知識がある分野であっても、改めて体系的に学ぶことで実体験と知識を結びつけられるようになります。私自身、「あの時の医師の処方にはこういう意図があったんだ」といったように、パズルのピースがはまっていくような感覚を味わいました!

知識と体験を結びつけることの難しさに悩まれる方もいるのでしょうか?

そうですね。認知症の方は自覚症状があっても上手く伝えることが難しく、症状に気づけないこともあります。また、高齢者の特性として複数の慢性疾患を抱えていて症状も複雑なことが多く、学んだ知識と目の前の患者さんの病態が結びつかずに悩むことがよくあります。そういう方にとっても、学びを整理しながら知見を深められるよい機会になるかもしれませんね。

資格取得後に参加できる研修会ではどういったことを学べるんですか?

資格取得後は、日本認知症ケア学会大会や地区ごとに行われるブロック大会、都道府県別で講演会や事例検討会を行う地域部会などの研修会に参加できるようになります。「ベットサイドでのケア」や「認知症支援におけるチームマネジメント」、「倫理的課題」など多様なテーマが取り上げられるので、さらに知見を深めることができます。
また研修会だけでなく、資格取得者同士で相談できるグループワークや事例検討会も行われています。地域のケアマネジャーや介護施設の管理者、大学教員など、多岐にわたる職種や立場の方が参加しているため、意見交換をする中で異なる視点に触れることができます。同じ事例に対しても視点の違いによってアプローチが異なるので、自分自身の視野が広がり、とても勉強になります。

資格のチカラ_認知症ケア専門士普段お仕事をされている事務所。訪問された入居者さんのご家族の不安やお悩みに寄り添ってお話しすることも

知識が深まることで見えた、本当に「丁寧なケア」のカタチ

資格取得後、ケアの面で変わったことはありますか?

認知症ケアを学んだことで、もともと大切にしていた「丁寧なケアをしよう」という意識はより強くなりました。認知症の方の中には、不安や混乱から急に怒ったような反応をされたり、声をかけても大きな声で聞き返されたりする方もいます。認知症についての理解が十分でないと戸惑ったり、誤解してしまったりすることもありますが、知識を深めることでその行動の背景やその方なりの理由を考えられるようになります。

丁寧なケアをするために具体的にどんなことを意識されているんですか?

認知症の方は感情が残りやすいという特徴があるので、気持ちを荒立てたり不安にさせたりしないよう気をつけています。例えば、こちらの忙しさや焦りが伝わらないように落ち着いた丁寧な関わりを意識したり、相手にとって聞き取りやすい声のトーンやスピードで話したり。
ケアの背景にある専門的な知識を体系的に学んだことで、単に認知症という疾患への理解だけでなく、患者さんのパーソナリティをも理解し、尊重する視点をもったケアができるようになりました。

資格のチカラ_認知症ケア専門士資格のチカラ_認知症ケア専門士入居者の方が、スタッフの干支にあわせて手づくりされたぬいぐるみ。「いつもデスクに飾っていて、疲れた時もぬいぐるみを見ると温かい気持ちになり癒されます」と杉山さん

次のページ:医療・介護から地域まで、広がる認知症ケア専門士の活躍の場

 

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認知症ケア専門士は生涯学習が必要な資格!

資格のチカラ_認知症ケア専門士

「認知症ケア専門士は、5年ごとに更新があるので常に研鑽を積んでいかなければなりません。資格を取得すると同時に日本認知症ケア学会の会員になることもできるため、学会から定期的に送られてくる認知症ケア専門士向けの『認知症ケア事例ジャーナル』や会員向けの『日本認知症ケア学会誌』で勉強しています。事例の紹介だけでなく、認知症ケア専門士の皆さまの活動の様子も掲載されているので参考になりますね。ハードルが高いと感じる方もいるようですが、まずは認知症ケアや専門士への興味があれば十分なのでぜひ資格取得にチャレンジしてみてください」(杉山さん)

取得方法・お問い合わせ

資格主催団体名:一般社団法人日本認知症ケア学会
資格種類認知症ケア専門士
研修受講資格職種は問わず、3年以上の認知症ケアの実務経験(教育・研究・診療を含む)がある方。
また、認知症ケア専門士としての経験を3年以上有し、必要単位を取得することで認知症ケア上級専門士の受験資格を得ることが可能。
*2027年度より試験制度を一部変更となります。その他、受験資格や資格取得方法の詳細はこちらをご覧ください。
ホームページ:https://ninchisyoucare.com/senmonsi/Ssenmonsi.htm

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