【イベントレポート】日本看護サミットでの事例紹介から、看護職の生涯学習支援を考える
2024/3/08
私たちの働き方改革
2023/1
社会福祉法人 清承会
特別養護老人ホーム 白扇閣
中央:施設長 久保田 和宏さん
左:興津川地域包括支援センター社会福祉士 大石 奈穂さん
右:介護職員 伊東 良織さん
人材不足が慢性的な課題となっている介護業界において、静岡県にある特別養護老人ホーム 白扇閣では、令和2年度から毎年4~8名の新卒を採用しています。さらに、令和3年度の離職率はわずか2.8%にとどまり(介護労働安定センターによる全国の介護労働実態調査では14.3% ※1)、高い定着率を実現。そこには、「ご利用者の喜びが、結果的に働きやすい職場づくりにつながる」という思いがありました。継続的な人材確保や職員の定着を叶えた取り組みについて、施設長の久保田さんと若手職員のお二人にお聞きました。
※1 令和3年度「介護労働実態調査」(介護労働安定センター)
http://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/2022r01_chousa_kekka_gaiyou_0822.pdf
久保田
白扇閣では、開設時から「困った人を助ける」、「地元密着」、「地域貢献」という理念を貫いてきました。これまで介護度が重度の方だけでなく、金銭面でお困りの方、身寄りがない方などさまざまな事情を抱えた方々を受け入れる地域のセーフティネットとしての役割を担ってきました。
私が施設長に就任したのは2015年です。ここ数年、人材不足が業界内で大きな課題となっていることを受け、さらなる人材確保・育成の強化を目指し着任しました。とはいえ、実をいうと、これまでに施設として人材不足が大きな課題になったことはありません。ですので、「人材不足を解決するために」何か特別な取り組みをしてきたという経緯はないのです。しかし、今思えば「地域貢献」や「ご利用者目線に立ったサービスの向上」を目指した取り組みが、職員のやりがいに通じ、自然と人材の確保や定着につながっていったのだと考えています。
久保田
白扇閣の開設当初から、私たちが積極的に取り組んでいるのが、地元の子どもたちとの交流です。これまで、地元小中学校、高校、大学、看護学校の実習生や生徒さんなどを多く受け入れてきました。これは、地域貢献の一環でもありますが、施設全体で後進を育成していこうという狙いもあります。
大石
私はもともと福祉系の高校・大学に在学しており、白扇閣には何度か実習で訪れていました。その際、施設全体の雰囲気がとてもよく、丁寧に指導してくれたのが印象的だったんです。職員の方は皆、忙しい中でも実習生にとても手厚く、きめ細やかなサポートをしてくださり、「施設全体でしっかりと後進を育てよう」という思いを感じました。
実習生が直接介護に関わることができない施設も多い中、白扇閣では着替えのお手伝いや、髪の毛を乾かすといった、直接ご利用者に触れる体験ができたことも大きかったですね。こうした実習での経験を踏まえ、大学卒業後は迷うことなく白扇閣への入職を志望しました。
伊東
私は、静岡大学の理学部を卒業後、2022年に白扇閣に入職しました。きっかけとなったのは、就職活動時に白扇閣を見学し、アルバイトをしたことで介護の仕事のすばらしさを知ったことです。昔から「人の役に立ちたい」という思いがあり、母親が看護師をしていた影響で医療や福祉の分野に関心があったことも後押しになったと思います。
久保田
実習生やボランティアの受け入れは、ご利用者にとってもよい影響があると思います。学生さんと接する機会が多いことで、ご利用者に「自分が若手や学生の育成に携わっている」という意識が自然と生まれ、高齢者自身の生きがいや尊厳にもつながるのです。普段は職員に対して消極的な方でさえ、そういった役割意識からか、地域の子どもたち、中学生、高校生、大学生、それぞれの年齢にあった話し方、声色を変えて接してくださいますよ。ハキハキと話をされ、こちらが驚くほどです。こうした姿を目にすると、多くの若手を受け入れることは、ご利用者の喜びにも通ずる取り組みなのだと感じています。
▲白扇閣で行われた新人医療ケア研修の様子
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日本介護福祉士会 倫理綱領
施設名 | 社会福祉法人 清承会 特別養護老人ホーム 白扇閣 |
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住所 | 〒424-0201 静岡県静岡市清水区承元寺町1341番地 |
事業開始 | 1979年6月7日 |
事業内容 | 特別養護老人ホーム(定員190名)、ショートステイ(定員20名)、デイサービス(定員30名)、ホームヘルプサービス、居宅介護支援事業、興津川地域包括支援センター、介護福祉士実務者養成施設(定員20名) ※2022年12月現在 特別養護老人ホーム 白扇閣 ホームページより抜粋 |
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