私たちの働き方改革

2024/10

動画活用で看護部全体に取り組みが浸透 ICTに頼らない超過勤務削減方法とは

動画活用で看護部全体に取り組みが浸透 ICTに頼らない超過勤務削減方法とは

各部署で行動指針を掲げ、働きやすい職場風土を目指す

星山

2023年度の働き方改革プロジェクトの成果が認められ、2024年度には同プロジェクトは委員会に昇格しました。また、2023年度は超過勤務時間の削減を目標にしていましたが、超過勤務を減らすことがかえってプレッシャーになっていたという意見もあったので、2024年度からは「やりがいをもって働き続けられる職場づくり」を目標とすることに。そのため名称も「働き方改革プロジェクト」から「ワーク・ライフ・バランス推進委員会」に変更しました。

委員会としてまず行ったのが、昨年度同様、アンケート調査です。必要に応じて有給休暇が取れているか、仕事が終わったら気兼ねなく帰れているか、病棟会やチーム会は勤務時間内に行われているかなど10項目について調査を行いました。アンケートの結果、10項目のうち9項目は昨年度から大きく改善されていましたが、部署内の関係性については昨年からあまり変化が見られなかったのです。

山崎

この結果を受けて、2024年度は各部署それぞれが目指す姿を考えて、行動指針をつくることにしました。あいうえお作文のように、それぞれの部署に関連する言葉の頭文字を使って、目標やビジョンを作成。それを各部署で掲示し、何かあった時に立ち戻ってもらうようにしています。

聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 各部署の行動指針▲看護部の入口には全部署の行動指針が掲示されている

星山

仕事のことだけでなく、自分たちの生活や心身の健康について目標にしている部署もあります。ワークとライフ、どちらも大切にすることで、最終的には患者さんによりよいケアができるようになるというところにつなげたかったので、それが反映された目標になっているのはよかったですね。業務に追われて疲弊するスタッフも多かったので、やりがいをもつためにも行動指針を掲げることは効果的でした。

山崎

行動指針が出そろったのが7月頃でしたので、9月の現時点では実践してもらっている段階で、結果が出るのはまだこれから。ですが、行動指針を考える過程で、それぞれの部署のコミュニケーションが図れたと聞いています。部署によってはディスカッションして決めたり、若いスタッフからさまざまな意見が出てきたりするなど、日頃話すことが少なかったお互いの価値観を知る場になったようです。また、行動指針を立ててもらう過程で、自分たちがやりたかった看護について改めて考え直す機会になったという報告もありました。部署の職場風土の改善という観点で見ても、行動指針をつくったこと自体が改善のよいきっかけになったと、委員会としては評価しています。

聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 インタビュー▲「行動指針は、言葉だけでなくデザインにもそれぞれの部署の特徴が表れているんですよ」と山崎師長

星山

行動指針の作成に加えて、お互いが承認し合える職場風土づくりのために、テーマを設けて表彰する取り組みも定期的に行っています。例えば今募集している項目は、「ワークとライフのバランスが取れているで賞」です。各部署から該当するスタッフを推薦してもらい、推薦された人には賞状やステッカーをお渡しするという取り組みです。表彰だけでなく、看護部全体で発信している「看護部ニュース」という広報誌に表彰された方の名前を載せています。自分がやっていることやがんばっていることが認められていると思ってもらい、各々のやりがいにつながるとうれしいですね。

他には、アサーティブ・コミュニケーション(相手を尊重しながら自分の意見や感情を伝えるスキル)をテーマにした研修を実施する予定です。感情を表に出すスタッフが少ないことも課題の一つだと考えているので、各部署の主任が参加する学習会で行いたいと思っています。

一人ひとりがワーク・ライフ・バランスを重視して働けるように

星山

当院の看護師は仕事にやりがいや誇りをもっている人が多くいます。アンケートの調査結果にも出ていました。そうしたスタッフが業務量や職場環境に疲弊して辞めてしまわないように、ワーク・ライフ・バランスを保てるスキルを磨いてほしいですし、私たちはそのためのサポートをしていきたいと思っています。また、委員会のアドバイザーである副部長からは、相手を思いやる「礼節」をもったスタッフに育ってほしいという言葉をもらっています。看護師としてはもちろん、人としても、患者さんにも同僚にも礼節をもって接していってほしいですね。

山崎

当院には、働き方を柔軟にサポートする制度が整っています。男性も積極的に育児休暇を取っていますし、子どもが小学3年生になるまで特例時短を設けていることもあり、時短で働くスタッフも多くいます。さまざまな状況で働いているスタッフがいることを受け止めて、各々が礼節をもって働いていける職場にしていきたいと思っています。

星山

私たちの活動は2年目でまだまだこれからです。初めて取り組むことを浸透させるにはなかなか時間がかかるもの。すぐに結果が出るわけではないことを理解したうえで取り組む必要があると学びました。あとは、どんな取り組みもなぜやるのかという理由をスタッフに伝え続けることが大切。一人ひとりに活動の目的をまず伝え、理解してもらうことに今後も重点を置いていきたいです。

聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 インタビュー

 

写真:遠藤 麻美

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施設名聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院
住所〒241-0811 神奈川県横浜市旭区矢指町1197-1
開設1985年
病床数518床 ※2024年10月時点
ホームページhttps://seibu.marianna-u.ac.jp/

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