アンケート

2024/1

20241

ワーク・ライフ・バランスに関するアンケート

「ワーク・ライフ・バランス(以下、WLB)」とは、日本看護協会によると、仕事と生活の両立を無理なく実現できる状態のことを言います。人材不足などの問題を背景として、企業や組織ではWLBを推進するため、長時間労働の削減やフレックスタイム制度の導入などの取り組みが行われています。では実際のところ、日々働いている皆さんは無理なく両立できているのでしょうか? 医療・介護従事者の読者のリアルな声を通して、その実態と課題を見ていきたいと思います。

アンケート期間 :
2023年11月1日(水)~11月30日(木)
有効回答者 :
69人
男女比 :
年齢分布 :
職業 :

今回の未来ワードは

5:5

これは、今回医療・介護従事者の方に「理想とするWLBの比率」を聞いたところ、多くの方が答えた数字です。こう聞くと、仕事とプライベートの時間が均等であるのがベストなのかと思ってしまいそうですが、そう単純な話ではなく、どんなWLBに充実感を感じるかは人によってさまざまだということが今回の調査でわかりました。また理想のWLBを実現させるためには、単に労働時間を短縮すればよいというわけにはいかず、他の外的要素の充実や底上げを含め、総合的に働く・生活する環境というものに向き合う必要があります。

理想とするWLBを考えることは、自分にとっての「心地よい働き方・生き方」を見つめ直す良い機会となりそうです。

ワーク・ライフ・バランス、理想と現実は?

現在のワーク・ライフ・バランスの比率(n=69)

現在のワーク・ライフ・バランスの比率

理想とするワーク・ライフ・バランスの比率(n=69)

理想とするワーク・ライフ・バランスの比率

現在の仕事と生活のバランスをお聞きしたところ、4人に1人が「仕事5:プライベート5」と回答。「理想とするWLBは?」という質問では、同程度の方が「5:5」としていることからも、理想と現実が釣り合っている方が一定数いるように見えます。しかし、よくよく見ると、仕事よりプライベートに重きを置きたい人が46.7%であるのに対し、現実にそれができている人は16.5%にとどまっており、理想と現実には乖離があることがわかりますね。

年代×WLBの比率(n=69)

年代別:WLBの比率

世代間でも仕事とプライベートの比率のギャップが見られました。特に顕著だったのが、40代のプライベートの割合の高さです。家庭では子育て、仕事では部下の指導といったタスクと責任が増えるものだと想像しますが、次のステップに向けて自分の時間を増やしている方が多いのかもしれません。
一方、50代の6割以上の人が、仕事への比重が高いことも気になるところ。それにはマネジメント職との関連がありそうです。職種別に見ると、看護と介護両方の管理職層の仕事への比重が高く、より責任が課せられる仕事の負担の多さがうかがえます。

プライベートの比率が高い=良いWLBとはかぎらない?

WLBの比率×WLBに対する自己評価(n=69)

WLBの比率とWLBに対する自己評価の関連

では、自分のWLBについて皆さんはどのように受け止めているのでしょうか。WLBの比率とそれに対する自己評価の関連を見たところ、意外にも「良い」と評価している人の半数以上が、実際には仕事の比重が高いという結果に。必ずしも、プライベートの比重が高ければWLBに対する満足度が高いわけではないのですね。

年代×WLBに対する自己評価(n=69)

年齢別:WLBに対する自己評価

世代別では、ほかの世代と比べてプライベートの比率が高い20代(n=5)は全員、自分のWLBを「良い」「とても良い」と評価。その理由としては、「仕事量がちょうどよい」「超過勤務が少ない」「休みがしっかり取れる」という回答が多く、十分なプライベート時間の確保に対する意識がひときわ高いようです。これに対して、30代は3人に1人が自分のWLBを「悪い」と評価していました。この評価の分かれ目の理由は何なのでしょうか……?

WLBを「良い」「悪い」と思う理由は?

良いWLBが保てている理由(n=73)

良いWLBが保てている理由

自分のWLBを「良い」「とても良い」と評価した人に対して、その理由をたずねたころ、家庭や私生活でのサポートの充実よりも、仕事環境の条件が大きく影響していることがわかりました。その上位を占めたのが、「勤務時間・形態の柔軟性」「勤務地の利便性」「仕事量」「休日の確保」「安定した職員体制」といった要素です。
中でも多かった「勤務時間・形態の柔軟性」は看護師が半数を占めており、勤務先の規模に関わらず、時短勤務や日勤・夜勤専従など柔軟な勤務体制へのニーズが高いことを示しています。2023年10月に改定された「看護師等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針」でも、「看護師等の夜勤等の業務負担の軽減」ということが明記されていますが、看護師さんが無理なく仕事を継続するためのカギであることは間違いなさそうです。

十分なWLBが保てていない理由(n=63)

十分なWLBが保てていない理由

自分のWLBを「悪い」と評価した人も、その理由は仕事に関するもののみでした。中でも職種関係なく大多数の人が悩んでいるのが、「慢性的な心身疲労」「ストレス」です。またその多くが「休みが取りづらい」「仕事の効率が悪い・量が多い」「勤務時間・形態が不規則」と回答しています。昼夜通して対応が求められる医療・介護現場の勤務事情が心身の疲労に大きく影響していることが伝わりますね。

「クリニックでの基本の勤務終了時間の設定が遅く、休みが十分に取りづらいです。週休2日を希望しています」(30代女性・看護師/診療所・クリニック・医院)

どうすれば良いWLBを実現できる?

WLBを実現するために、職場に必要なものは?
<介護従事者(n=24)>

WLBを実現するために、職場に必要なものは?(介護従事者)

<医療従事者(n=45)>

WLBを実現するために、職場に必要なものは?(医療従事者)

介護従事者の回答では、「給料アップ」を求める声が最も多く、特に現場リーダー層を担う40代・50代が多数でした。また、医療従事者と比べて「管理職・管理職以外の意識改革」を答える人も多く、全員が自分ごととして働く環境の改善を意識することが求められているのだと感じました。
医療従事者の内訳では、「人材の確保」「有給休暇の取得」を求める人が多数で、世代別では後輩・部下の指導にまわる30代・40代の中間層の「人材の確保」に対する懸念が高い結果に。一方、20代の「福利厚生」への関心の高さも特徴的でした。次世代の人材確保を考えるうえで、重要なキーワードとなりそうです。

まとめ

23年10月に行った給料に関するアンケートでも給料に対する不満の声が散見されましたが、今回のアンケートでも理想のWLBを実現するためには、給料や不規則な勤務時間・勤務形態の改善が切望されていることがわかりました。2024年度には、政府が医療従事者を対象に4%程度の賃上げ、介護従事者は2.5%程度の賃上げを目標に診療報酬や介護サービス料金の見直しを行うことを発表しています。WLBの向上、働き方の改善にどの程度影響するのか、注目していきたいところです。

未来への手紙

WLBという言葉が広まってから久しいですが、WLBと一口に言ってもライフステージやそれぞれの仕事・家庭の環境によって「ベストのWLB」は変化していくものです。やりがいを感じながら長く仕事と生活を両立していくためにはまず、その変化を自分で受け入れること、それから自分では補えないところは他の人と協力して補っていく、そんな「無理しない」心がけが大切ではないかと思います。

Nursing-plaza.comの資格のチカラでは、さまざまなライフステージを経て自分らしい働き方を追求する方々のお話を紹介しています。WLB実現のヒントとなるようなお話も盛りだくさんです。ぜひご参考にしてくださいね。

SNSでシェアする