【1周年特別企画アンケート】看護師さん・介護士さんがNursing-plaza.comで知りたいこととは?
2023/11/27
私たちの働き方改革
2025/7
超高齢社会に突入し、介護業界では年々深刻化する人材不足が大きな問題となっています。新潟県長岡市にある「介護付きホームメッツ長岡」では、人手不足の現状を打破するために、1日2時間から好きな時に、介護職の資格がなくても働ける「サポーター制度」を考案。ライフスタイルに合わせた働き方ができることから、初回募集時には近隣住民を中心に100名の応募が集まりました。その後、サポーター制度は高く評価され、2024年には介護職員の働きやすい環境づくりに取り組む施設として「厚生労働大臣表彰 優良賞」を受賞。サポーター制度が生まれた経緯やその効果についてうかがいました。
<お話してくれた方>
介護付きホームメッツ長岡
(左から)
課長・介護福祉士 松井 香葉さん
コミュニティサポーター 高橋 順子さん
バスサポーター 渡辺 尚子さん
専務取締役 小林 和徳さん
管理者・介護支援専門員 中島 愛香莉さん
介護福祉士 西 宏子さん
小林
株式会社太陽メディケアサービスは長岡市内で4つの介護施設を運営しています。ホームメッツ長岡は4施設目で、2023年に設立しました。設立に伴い介護職・看護職の求人を募集したところ、残念ながら1件も集まらない状況が続きました。オープンが迫る中で非常に焦りまして……。兼ねてから職員たちと職場環境の改善について定期的に話していたこともあり、求人が集まらない現状を職員たちに相談することにしたのです。話し合いを重ねる中で出てきた答えは、短時間でも求人を募集することでした。
7、8年前から1日4時間の時短勤務で、レクリエーションを担当してもらうコミサポ(コミュニティサポート)と、お部屋掃除を担当してもらうリビサポ(リビングサポート)という職種を設けていたことから、同じように固定の仕事を短時間で募集することにしました。加えて業務の棚卸しを進めていたので、コミサポやリビサポ以外の仕事もつくれないかと思い、介護資格がなくてもできるほかの仕事を職員に考えてもらいました。
西
コミサポ、リビサポのほかに資格がなくてもできる仕事を洗い出したところ、食事介助時の配膳下膳をサポートしてもらう案が出ました。ほかにも、多少の介助経験がある方にお風呂介助を手伝ってもらいたいというアイデアも。この2つをそれぞれイートサポ(イートサポーター)、バスサポ(バスサポーター)と呼ぶことにしました。サポーターという名前は、利用者さんのサポートをする仕事という意味もありますが、職員のサポートをするという意味も込められています。
高橋
サポーターという名前のおかげで、私たちも意識的にサポートに徹しようという気持ちになれていますね。職員さんの手が回らないところもお手伝いするようにしています。
小林
勤務時間は 1日2時間からの時給制にし、年齢も不問にしました。就職ガイダンスを自社で開いてサポーターの募集を行ったところ、4回開催して延べ100名の応募が集まりました。これまでにも自社で職員採用のための就職ガイダンスを開いたことがありましたが、希望者がほとんど集まらないことが多かったので驚きましたよ。結果として、100名の中からスタートメンバーを15名採用しました。それからも、求人を出すとほぼ毎日1通はサポーター志望の履歴書が届いています。今では4施設あわせて延べ70名のサポーターが働いています。
サポーター制度を生み出した専務取締役の小林さん(右)と、施設長として運営を任されている介護支援専門員の中島さん(左)
小林
ここまで求人が集まるようになった要因は、1日2時間から働けることと、自分の好きな時に働けるという働き手に対する2つのルールを設けたことです。子育て中のママ世代や、フルタイムで働くには体力的に懸念のあるシニア世代、あとは大学生や定時制高校に通う学生というように、今まで介護施設とは縁遠かったような幅広い世代の方々が「働きやすそう」と感じてくださり、サポーターとして参画してくれました。
渡辺
バスサポとして1年半前から働いていますが、自分のライフスタイルに合わせて働ける点は魅力的でしたね。子育てをしているので、平日のみ働いて週末は家族との時間に充てるという希望も叶っています。実は結婚前に介護職として働いていたのですが、しばらくブランクがあったので介護の仕事に戻ることに不安がありました。ですが、当施設であれば入浴介助のみの短時間勤務が可能なので、それなら私にもできるかもしれないと思えたんです。実際に仕事を始めてみると昔の経験や感覚を思い出すことができ、介助の際も焦らず余裕をもって業務に取り組めています。
高橋
私は少し前に定年退職しましたが、自分の時間をつくりながら余裕をもって働ける仕事はないかと探していました。そんな時にサポーターの求人募集を折り込みチラシで見つけたんです。もともとコミュニティセンターで高齢者福祉の仕事をしており、高齢の方々とお話しすることが好きだったのでコミサポに応募しました。利用者さんと話す時間はとても楽しいですし、介護士の皆さんの手助けになれることにもやりがいを感じています。
介護職の経験を生かして働くバスサポの渡辺さん。入浴後の利用者さんの髪を声かけしながら乾かしていました
小林
おふたりのように、ご自身の経験や適性、興味のある職にエントリーできることも介護職に対するハードルを下げることにつながっています。介護は資格云々ではなく、家事力や人間力のある方がうまくできる仕事です。実際に、さまざまな事情で働くことができないけれど、家事は一流という主婦のサポーターが多く在籍しています。そういう方々がそれぞれの価値を認識し、活躍してもらえる場になっていますね。
高橋
そうですね、私も若い世代のサポーターの皆さんと働くことが活力になっています。60~70代になると、定年退職後に社会とのつながりがなくなったと感じる方も多いはずです。ですがまだまだ働けるんですよね。さまざまな世代の方々と関わり、利用者の皆さんに喜んでもらえるサポーターの仕事は、働いていてプラスになることばかりです。
コミサポとして働く高橋さん。この日のサロンは、利用者さんの好きなことをする時間に。おしゃべりが好きな利用者さんと楽しそうにお話されていました
次のページ:利用者さんとの時間が増えたことで 手厚い介護を提供できる
施設名: | 介護付きホームメッツ長岡 |
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住所: | 〒940-0092 新潟県長岡市昭和2-2-34 |
開設: | 2023年 |
定員数: | 入所60名 |
ホームページ: | https://taiyo-medicareservice.co.jp/facility/nagaoka/ |
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