介護職の専門性をアピールし、処遇改善や人材不足解消につなげたい
2022/9/30
私たちの働き方改革
2025/5
「共に歩む看護」という理念のもと、約350名の看護職員が所属している小松市民病院看護部。コロナ禍による応援看護師の増加を機に始めた診療材料の配置・表示の標準化は、業務時間の削減や多職種との連携強化など多くの成果を現場にもたらしました。日本看護協会が主催する「看護業務の効率化先進事例アワード2022」で奨励賞も受賞した当取り組みの進め方と現場の変化について、看護部長の湯野さん、副看護師長の山口さん、吉田さんにお聞きしました。
<お話してくれた方>
国民健康保険 小松市民病院
看護部長・認定看護管理者 湯野 智香子さん(中央)
副看護師長・認知症看護認定看護師 山口 香さん(右)
副看護師長 吉田 真弓さん(左)
湯野
当院では、診療材料棚の表示を色別カテゴリとイラストで標準化し、配置なども全病棟でほぼ統一しています。この取り組みを始めたのは、コロナ禍に病棟間での応援対応を頻繁に行っていたことが大きく関係しています。
きっかけとなったのは、同時期に導入していた看護師の業務量や作業時間をデータ化する「タイムスタディ支援サービス※」です。調査により他部署からの応援看護師が物品を探すのに苦労している現状が明らかになりました。実際、応援先の科で検尿コップを見つけられず、水飲み用のコップを患者さんに渡した例もあり、物を探すことが看護師のストレスにつながっていることがわかったのです。
また、物品を探すために何ヵ所も引き出しを開けるのは接触感染の危険性を高める行為です。これはなんとかしなければと感じ、本格的に診療材料の管理状況を調査することにしました。物品管理センターにもご協力いただき、材料のバラつきをデータで可視化してみると、収納場所が病棟によって全くそろっていないことがわかったのです。
▲改善前の診療材料棚の様子。商品名で物品を管理しており、何がどこにあるのかがひと目でわかりづらい状況だった
山口
診療材料は主にミキシング材料室、処置材料室で管理していますが、収納場所も、収納方法も見事にバラバラでした。ある病棟ではミキシング材料室にあるものが、別の病棟では処置材料室で管理しているということもありました。
また、診療材料を収納している引き出しには、材料の商品名をシールにして貼っていたのですが、商品名から診療材料をイメージしづらいものがあることもわかりづらさの一因でした。看護師だけでなく、医師などの他職種も物品を探すのに苦労していました。
湯野
可視化した調査結果を各病棟の師長、副師長、主任に見せて現状を伝えたところ、「こんなに違うの!?」と驚いていました。診療材料の管理方法を全病棟でそろえることへの意思統一も行い、各部署の副師長会(物品管理班)と主任会(6S班)、そして物品管理センターで変革推進チームを立ち上げ、本格的に診療材料管理の見直しをスタートしました。
※タイムスタディ支援サービスについてはこちらをご覧ください
▲「診療材料のバラつきがなくなれば探す時間が短縮され、看護師のストレス軽減と看護に向き合う時間を生み出せるのではないかと考えました」と語る看護部長の湯野さん(右)
湯野
まずは、物品管理センターが調査したデータをもとに、各病棟の材料配置基準を看護部で考えました。例えば、点滴・採血に関する診療材料はミキシング材料室に、それ以外の診療材料は処置室に配置する、という感じです。引き出し内の配列場所なども考え、数や種類が多い小物類は上段に、大物で取り出しやすいものは下段に入れることにしました。
次に、物品管理センターにも協力していただきながら診療材料を分析し、すべての材料に大分類(カテゴリー)、中分類(関連)、小分類(商品)を定めました。例えば、大分類は「注射・輸液」、中分類が「注射器」、小分類が「ディスポ注射器、インスリン専用注射器」というような形です。さらに大分類ごとで色分けをし、イラストもつけた表示ラベルを作成しました。
約1年かけて全病棟の診療材料の物品配置を整えていきました。「変化」を避けたがる看護師も多いので、最初は取り組みに対して賛同できない職員もいましたが、使い始めると便利さに気づいたようでした。特に後半は「うちの病棟でも早く対応してほしい!」という声があがるようになり、うれしかったですね。
▲これらの色別カテゴリ表記による新たな診療材料管理は、「出すポン(DUS Pon!)Ⓡ」と名付けられた。尿関連の材料は黄色など、材料と色のイメージも合わせたことで視認性が上がり、より材料を探しやすくなっている
次のページ:他部署で物品を探す時間が40秒短縮!
施設名: | 国民健康保険 小松市民病院 |
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住所: | 住所:〒923-8560 ⽯川県⼩松市向本折町ホ60番地 |
開設: | 1950年11月 |
定員数: | 340床 ※2025年4月時点 |
ホームページ: | https://hosp.komatsu.ishikawa.jp/index.html |
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