適切な認知症ケアを社会に広めたい 超高齢社会で活躍の場を増やす認知症ケア専門士
2026/6/30
私たちの働き方改革
2026/9

高齢化や人口減少が加速する現在、2040年とその先を見据えて、「すべての地域ですべての患者が適切に医療・介護を受けられる体制づくり」が求められています。しかし、少子化が進む中で医療・介護従事者を増員し続けることには限界があります。そこでカギを握るのがDX推進であり、「生成AIアシスタント(以下、生成AI)」の活用です。今回は、2023年からいち早く生成AIを導入している長野市民病院を取材。生成AI運用の実態や、現場で定着するまでのプロセスについてお話をうかがいました。
<お話してくれた方>
長野市民病院
副看護部長 関 あかりさん(中央)
情報システム室 システムマネージャー 高野 与志哉さん(左)
看護師 病棟主任 山口 博己さん(中央右)
看護師(薬物療法センター担当) 黒部 綾さん(中央左)
看護師(健診センター担当) 望月 なつ美さん(左)
関
長野市民病院では、チームDIGITALが中心となりこれまで50種類以上の生成AIを開発してきました。看護部では、必要な患者情報を素早く確認できる「看護一括情報収集」が活用されています。ほかにも、業務開始時に担当患者の情報を直近4日分収集できる「看護業務スタート支援アシスタント」や、カンファレンスや委員会などの会議で文字起こしから議事録作成までを行う生成AIもあります。
高野
第一弾として作成したのが、「看護業務スタート支援アシスタント」の試作版ですね。そもそも生成AIを導入するきっかけとなったのは、2023年春、院内のデジタル推進を目的に「チームDIGITAL」を発足したことです。取り組みの一環として、チームリーダーである草野副院長から生成AIの導入の提案があり、プロジェクトがスタートしました。
関
高野からプロジェクトの話を聞いた際、ちょうど看護部では、担当患者の情報収集に伴う始業前残業が課題になっていました。そこに生成AIを活用できないかと相談し、「看護業務スタート支援アシスタント」の導入を試みました。ただ、最初はなかなかうまくいかなかったんですよね。
▲高野さんから「生成AIを使えばうまくいくかもしれない」と聞き、院内で生成AI実用に挑んだ副看護部長の関さん
関
当時は、世間的にも生成AIがここまで普及されていませんでしたし、情報収集はやり方に個人差があるので、それを変えることへの抵抗感もありました。それに、看護師は責任感が強いため、生成AIが出した回答の“答え合わせ”をしてしまい、かえって始業時の手間が増加。生成AIの利点を生かせないまま次第に使われなくなってしまいました。
高野
2023年のチーム発足後、同年8月に電子カルテと生成AIをつなげることには成功したのですが、関が言うように現場で定着せず、1年半近く使われない期間がありました。ただ、2025年に入る頃には世間的にも生成AIの活用が当たり前になりましたよね。その波に乗る形で、同年4月に生成AI特化型のプロジェクト「チームDIGITAL2.0」へとバージョンアップしたんです。改善点としては、2023年の時はサークル活動のようにチーム内だけで動いていましたが、バージョンアップを機に院内全体をもっと巻き込んだ形にしようと、進め方自体を大きく見直しました。
▲「2023年のチーム発足時は、生成AIの導入は難しいと思っていた」と振り返る高野さん
高野
まず、生成AIの知識に長けている当院の住昌彦医師に、IT技術をわかりやすく伝える「エバンジェリスト」として参画してもらいました。また、院内から「デジタルアンバサダー」を公募し、医師や看護師、薬剤師など10名ほどでスタートし、今では50名を超えています。彼らには、住医師による生成AIのワークショップを通じて現場主導の活用アイデアを募りました。それをもとに住医師がプロンプト(指示文)を作成し、私が必要なデータを揃えて生成AIに読み込ませることでツールを構築。できたものを実際に現場で試してもらいました。院内PCの生成AI画面にはさまざまな機能のボタンが並んでおり、ワンクリックで簡単に操作ができます。プロンプトがあらかじめ組み込まれているので、職員自らが細かな設定をする必要はありません。そのため、職員は生成AIを使っているというよりもツールを使っているような感覚だと思います。こうした方法で、院内全体で生成AIを活用する文化・土壌を醸成していきました。
▲議事録として重宝している「AI文字起こしアシスタント」。電話相談の内容を文字起こしする機能などをボタン一つで使うことができる
▲「看護業務スタート支援アシスタント」の画面例。2025年10月から再び使用し、現在も現場の声を聞きながら、改良を重ねている(記載された情報はダミー)
高野
転機となったのは2025年10月、排尿ケアチームからの要望を受け、情報収集を支援する生成AIを導入したことです。すると、情報収集の時間が減って作業がすごく楽になったと好評で。そこから口コミで一気に評判が広まり、今では院内全体で使われるまでになりました。
次のページ:院内全体に生成AIが浸透 看護の標準化も実現
| 施設名: | 長野市民病院 |
|---|---|
| 住所: | 〒381-8551 長野県長野市大字富竹1333ー1 |
| 開設: | 1995年6月 |
| 病床数: | 400床 ※2026年9月現在 |
| ホームページ: | https://www.hospital.nagano.nagano.jp/ |
SNSでシェアする