アンケート

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2024年6月 働き方改革の進捗状況に関するアンケート

2019年度に働き方改革関連法が施行されてから5年。看護・介護の現場にはどのような変化があったのでしょうか。働き方改革の進捗状況や、働き方の変化など、看護と介護の現場を比較しながら見ていきましょう!

アンケート期間 :
2024年6月3日(月)~2024年6月30日(日)
有効回答者 :
48人(医療・福祉従事者)
男女比 :
年齢分布 :
職業 :

今回の未来ワードは

組織文化のアップデート

編集部が注目したのは、働き方改革が「進んでいない」理由です。最も多かったのは「人手不足」という理由でした。看護・介護の両業界では人手不足が慢性的な課題となっているため、「働き方改革は人材確保から」と考える方が多いかもしれません。アンケートでも、働き方改革を進める際、優先的に取り組みたいこととして、全回答者が「人材確保」を選択しています。

一方、私たちが重視したのが、働き方改革が進んでいない理由として、「職場文化・風土」を約半数の方が選択したこと。働き方改革には「人材確保」だけでなく、「職場環境・組織文化の変革」も重要であることが見えてきました。

働き方改革の進捗状況は?

働き方改革の進捗状況(n=48)
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職種別の働き方改革の進捗状況:医療・看護職(n=29)

職種別の働き方改革の進捗状況:福祉・介護職(n=19)

全体の結果を見ると、働き方改革は「あまり進んでいない」という回答が最も多く集まりました。しかし、職種別で確認してみると、医療・看護職では「かなり進んでいる」「少しずつ進んでいる」が51.7%(n=15)だったことに対し、福祉・介護職では、31.6%(n=6)という結果に。業界によって働き方改革の進捗状況に差があることがわかりました。

福祉・介護業界の方が、働き方改革がゆっくり進んでいる印象を受けますね。働き方改革関連法が施行されてからすでに5年が経ちますが、半数以上が「進んでいない」と回答している実態は問題視すべきかもしれません。

働き方改革の取り組み内容は?

働き方が「かなり進んでいる」「少し進んでいる」と回答した方
あなたの職場で取り組んでいる働き方改革は?(n=21)

医療・看護職(n=15):あなたの職場で取り組んでいる働き方改革は?

福祉・介護職(n=6):あなたの職場で取り組んでいる働き方改革は?

働き方改革が「かなり進んでいる」「少しずつ進んでいる」と回答された方に、実際の取り組み内容をお聞きしました。職種別に確認してみると、医療・看護職は「勤務体制・勤務時間の管理」が53.3%(n=8)と最も多く、次いで33.3%(n=5)の方が「夜勤負担の軽減」と回答しました。
一方、福祉・介護職で最も多かったのは「暴力・ハラスメント対策」で50.0%(n=3)、次いで「勤務体制・勤務時間の管理」「研修・教育制度の充実化」が33.3%(n=2)という結果に。医療の現場と介護の現場のあいだで取り組み内容に違いがあることがわかりました。

これは少し意外な結果でした! 福祉・介護業界では、暴力やハラスメントへの対策を重要課題として考えている施設が多いのかもしれませんね。

働き方改革が進んでいない理由は?

働き方が「あまり進んでいない」「まったく進んでいない」と回答した方
働き方改革が進んでいない理由(n=23)
働き方改革が進まない理由

働き方改革が「あまり進んでいない」「まったく進んでいない」と回答された方にその理由を聞いたところ、最も多かったのは「人手不足」で69.6%(n=16)にのぼりました。次いで「職場文化・風土(長時間労働が常態化し、休暇取得を控える風土がある)」が52.2%(n=12)という結果に。この順番は職種別でも同様でした。

「人手不足」は予想通りでしたが、「職場文化・風土」を理由とする方が多いのには驚きました! 働き方改革を進めるためには人材の充足がもちろん必要ですが、職場環境や文化の改善といった、組織の内側に目を向けることも大切なのかもしれませんね。

私もそれが働き方改革推進のポイントになると思いました。今回のアンケートで感じたのは、特に働き方改革が進んでいないと感じている方が所属する施設では、「人材確保」ばかりに目が向けられているのかもしれない、ということです。

働き方が「まったく進んでいない」と回答した方
今後優先的に取り組みたい働き方改革は?(n=6)

働き方が「かなり進んでいる」「少し進んでいる」と回答した方
あなたの職場で取り組んでいる働き方改革は?(n=21)

働き方改革が「まったく進んでいない」と回答された方(n=6)に「今後、働き方改革で優先的に取り組みたいこと」をお聞きしたところ、全員が「人材確保」を選択しました。一方、働き方改革が「進んでいる」と回答されている方の取り組み内容を見ると、「勤務体制・勤務時間の管理」や「夜勤負担の軽減」、「暴力・ハラスメント対策」といった、職場の「内側」の改善が多いんです。「働き方改革が進んでいない」と感じている施設の方々は、人材確保だけではなく職場の内部に改革できるところがないか考えてみてもよいかもしれません。

そういえば、20247月に開催された「ナースまつり2024」の「日本一働きやすい病院アワード」に参加されていた飯塚病院さんは、定時退社する文化を育てているとお話されていました。定時退社している職員の方々を定点カメラで撮影した映像を紹介しているのがとても印象的でした。

★「日本一働きやすい病院アワード」のレポートはこちら

すごく面白いですね! 今は「ノー残業デー」を掲げている病院や介護施設も多いですよね。もちろん人手不足解消は重要ですから人材確保も進めつつ、組織の「内側」に目を向けて取り組むことが、働き方改革の近道なのかもしれません。

まとめ

働き方改革が「進んでいる」と感じている方の割合は、医療・看護職が約5割、福祉・介護職は約3割にとどまりました。ふたつの数字を比較すると、医療・看護職の方のほうが働き方改革を実感しているようにも受け取れますが、残りの半数は働き方の変化を感じていないことになります。

日本看護協会では、働き方改革関連法の施行に伴い、「就業継続が可能な看護職の働き方」を提案しています。「働き続けられる職場づくり」が、働き方改革の目的なのだと思います。人手不足ゆえに人材確保第一になってしまうかもしれませんが、せっかく時間と手間をかけて確保した人材が離職してしまっては元も子もありません。働き方改革が思うように進まないと感じている方こそ、人材が根付き、成長できる、働きやすい職場づくりに目を向けてみて はいかがでしょうか。

日本看護協会「看護職の働き方改革」ページはこちらから

未来への手紙

私たちの働き方改革」では、タスクシフトやSNSを含むICTの活用などにより、よりよい職場づくりや人材確保を叶えた病院や介護施設の取り組みをご紹介しています。働き方改革を進めるうえでのヒントが欲しい! という方はぜひのぞいてみてくださいね。

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