小林光恵さんの おやすみコラム #034「口の役割、5番目の」
2025/8/15
みんなの広場
2026/6

週に17時間ほど勤務している介護施設で、私は積極的に名札をつけています。顔写真入りの名刺より少し大きいサイズのものを。
介護動作において利用者を傷つける要素になりかねないため、上衣の裾につけたりポケットに入れてもったりするスタッフが多い中、私が左胸のポケットのところにつけている理由は、
1.名札というポイントが胸につくとわずかながら低身長の私のスタイルアップにつながる
2.胸の盛り上がりを目立たなくしてくれる
3.40年ほど前のトラウマ(1日だけの助っ人バイトで病棟勤務に入った際、名札をつけていない私の左乳房を男性患者がいきなり強くつかんでひねった。「名札は?」と言いながら。とても痛かったしくやしかったが、結局、このことを誰にも言わなかった。以来、ケアをする際には左胸に名札をつけないと不安を覚えてしまうような気がした)が関係
の3つです。
先日、初めてこのことを人(80代の女性の友人Aさん)に明かしました。たまたま名札の話になったので、そういえば、と前置きして軽く笑いながら。なんとなく話したくなって。
するとAさんがおもむろに私に丁寧にそして深く頭を下げて「そのことについて、謝ります。ごめんなさい」と言い、「40年前のアホ男に代わりまして、謝罪します」と続けました。
はあ? なんでAさんが?
と思いましたが、そのあと気づけば、40年前のあの出来事が自分の中で、このコラムを書くためのネタへと変化した感覚になっており、代わりとはいえ謝罪を受けるということの効果を実感しました。メタボリズムの代謝(たいしゃ)ではなく、代わりに謝るという意の代謝(だいしゃ)という言葉もアリではないかしら。

| 著者/小林 光恵さん | 元看護師。著述業。つくば市在住。 エンゼルメイク研究会代表、ケアリング美容研究会共同代表。 看護師、編集者を経て、1991年より本格的に執筆業を中心に活動。『おたんこナース』『ナースマン』など。 <新刊情報 !> 老化にブレーキをかける! 日常でできる運動方法がギュッと詰まったエクササイズ本 『日常動作が安心&快適に!老化防止エクササイズ おうちで簡単カラダづくり』(メイツユニバーサルコンテンツ)が発売中! <多数のメディアで連載中!> ●小説『ナイチンゲール7世』 (イースト・プレス) ●小説 『令和のナースマン』 (月刊ナーシングキャンバス 株式会社Gakken) ●エッセイとイラスト 「アンチヘブリンガン」 (月刊ナーシング 株式会社Gakken) ●コラム 小林光恵の「ほのぼのティータイム」 (Aナーシング 日経メディカル) ●コラム 「ついついやってしまいがちなエンゼルケア」 (Will Friends 日本看護学校協議会共済会) ●ドクターズコラム (健達ねっと メディカル・ケア・サービス) など |
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