専従の褥瘡管理者になったことで、各科から相談を受け、看護師や患者さん、そのご家族にケアを指導することが主な業務になりました。病棟看護師も入れ替わりがあるので継続性に課題はありますが、専任のころよりも褥瘡の予防やケアを周知できるようになりました。

最近は、スキンテア（皮膚擦傷）が増えています。後期高齢者は皮膚が弱く、ベッドの柵に体をぶつけただけで傷ができてしまいます。また、当院は呼吸器系疾患で入院される患者さんが多く、ステロイドを常用されている方も多数います。ステロイドの副作用で皮膚が薄くなるため、軽くぶつけただけであざになったり、皮膚が剥けてしまったりすることも。そういった患者さんに対し、予防やケアをしっかり行えるようになりました。

他職種と連携し、チームで医療に介入する時です。各病棟の医師からは、患者さんに床ずれができた時に連絡が来ますし、理学療法士、作業療法士から褥瘡ができにくい姿勢やクッションの使い方について意見を求められることも。低栄養状態になると褥瘡ができやすいため、栄養士から相談を受けることもあります。最近は軟膏の流通量が不足しているため、薬剤師との連携も欠かせません。在庫を確認しつつ、床ずれによる体液の浸出が多い患者さんには吸収量の多い軟膏やガーゼを選んだり、交換頻度について看護師に指導したりと、幅広い職種と連携しています。

ストーマ外来では、装具から漏れが生じた患者さんが駆け込んできます。排泄物が漏れてしまうと外出もできず、皮膚のただれによって強い痛みが生じる方もいらっしゃいます。こうした患者さんに対し、適切に対応でき、QOLを向上できた時にやりがいを感じます。

ある時、私が対応した患者さんと街で買い物しているところに遭遇したことがあります。以前は排泄物の漏れに悩み、皮膚トラブルを抱えていた患者さんが、ご夫人と一緒に楽しそうに買い物をしている様子を目撃し、涙が出そうなほどうれしくて。思わず声をかけたところ、患者さんからも感謝と喜びの声をいただきました。生活の質を保ち、その方らしく生きるお手伝いができたのは、認定看護師として大変喜ばしいことです。胸が熱くなり、この資格を取って本当によかったと思いました。

在宅の患者さんへの皮膚・排泄ケアです。入院中は問題がなくても、ご自宅に戻ると褥瘡やストーマ造設による皮膚トラブルが生じるケースは多々あります。老々介護でなかなか体位を変えられない方、ご家族が忙しくておむつをなかなか交換できない方も多く、一度は退院したものの、すぐに再入院するケースも少なくありません。こうした現状を踏まえ、今後は在宅でも継続的に皮膚・排泄ケアができるようにしたいと考えています。今は訪問看護師に同行することはありませんが、今後はその機会を増やし、在宅での課題をモニタリングしつつ病棟と同等のケアができるようにしたいです。

資格取得において、重要なのはタイミングです。私は子どもを授かった時に「今だ！」と思いましたが、この機会を逃していたら「もう少し育児の手が離れてから」「子どもが小学校に入ってから」と先延ばしにしていたかもしれません。結婚・出産というライフイベントはありましたが、意図せず消化器外科を離れることになり、悔しい思いをしたからこそ思い切って飛び込めたのだと思います。もし仕事に行き詰まりを感じ、さらなるスキルアップを目指しているなら、「今しかない」と思ってチャレンジしてほしいですね。