私たちの働き方改革

2024/6

看護部主導の広報活動で人材確保を強化! 離島ナースの不足解消目指す

看護部主導の広報活動で人材確保を強化! 離島ナースの不足解消目指す

短期派遣のプチ移住など……多様な働き方のオプションを用意

里津

当院では看護師確保のため、日勤・夜勤の専従だけでなく、短時間勤務や短期契約など看護師の多様な雇用形態を設けています。特に島外からの入職を迎えるにあたり、どんな働き方の要望を持っている方でも応募しやすいように、採用サイトでは働き方の間口を広げて募集しています。

福島

離島という慣れない環境でいきなり正規職員として働くのはハードルが高いため、3カ月や6カ月から働き始めることも可能です。一方で私たちとしては、短期で入られた方がこの島に定着し、長く働いていただくことが目標です。そのためご本人の希望を聞きながら、限られた期間の中で、病棟だけでなくなるべく幅広い経験をしていただくことを意識しています。訪問看護や救急外来もそうですし、高速船での災害訓練など離島ならではの経験を希望される方もいます。

桐谷

管理室では、派遣で来られた方がなるべく円滑に仕事を始められるよう、電子カルテの操作方法や業務などを細かくマニュアル化して、初日のオリエンテーションを丁寧に行っています。以前は、初日すぐに病棟の業務を始めてもらっていましたが、もう少し詳しい説明がほしいという声があり、オリエンテーションを強化するようにしました。

福島

私たちのように地元出身の職員が当たり前だと思っていることも、島外から来た方にとっては全く新しいということもあるからです。それに気づかされたのが、ごみの分別方法です。離島から廃棄物を外に運搬するには負担がかかるため、当院では独自の分別方法で院内の処理施設がありますが、それに戸惑ったという声が応援ナースから寄せられたんです。そのような細かいこともすくい上げて最初に説明するようにしました。

廣澤

仕事面だけでなく、慣れない環境では生活面のサポートも重要です。事務方ができることとして、業務外でも声をかけて、いつでも相談できる環境づくりを心がけています。仕事と生活両面での手厚いサポートのおかげで、短期で入った方の契約延長率がよくなっている実感があります。

長崎県対馬病院 スタッフステーション▲職員間の風通しのよさがうかがえるスタッフステーション

応援ナースからの提案で、職員間のコミュニケーションに風穴も

桐谷

応援ナースの人数が増えれば、もちろん仕事を分担できるため超過勤務も軽減されますが、それだけでなく、応援ナースからの提案で業務の見直しにつながることも多々あります。例えば電子カルテが導入されたあとも、長く勤める職員は慣れ親しんだ紙ベースで確認しないと安心できず、電子と紙両方で確認するのが定着していました。これまで過剰に行っていた紙ベースの業務をなくすことで簡略化でき、超過勤務が減った印象はあります。

福島

他にも、週1回の入浴や毎日の清拭を行っていますが、応援ナースから時間外勤務が発生してまでやる必要があるのか、との意見をもらったこともあります。当院で当たり前となっているケアに対して、他院での経験から客観的に見て提案をもらえるのは職場全体にとっていいことですよね。

桐谷

職員間のコミュニケーションにとってもよい影響がありました。現場の看護師たちが口々に言う愚痴を聞いて、上層部に不満の声が伝わっていないのではないかという意見をもらったんです。それがきっかけで、私たちは業務改善に対する意見を投稿できる提案箱を各部署に設けました。でもなかなか意見が集まらないので、何かを提案するための箱ではなく日頃のちょっとした不満の声を投稿できる「ちょっと聞いてよ」箱を更衣室に設けたところ、いろんな声が集まるように。特に多かったのが、「白衣が更新されない」という声で、これは近々実現します(笑)。今まで直接聞くことがなかったみんなのモヤモヤが発信されるようになったのは大きかったですよね。

熊本

職員の男女比の関係で、女性の更衣室にはシャワーがあるのに男性の更衣室にはない……といったことがありますが、そのような小さなことに対する声が拾い上げられるツールになっています。こうした提案を含め、応援ナースの方は経験が豊富なぶん、職場や業務の改善点など、地元職員が学ぶことが多いと思います。

長崎県対馬病院▲男性初の看護部管理室の一員となった熊本副看護部長(右)

他職種を巻き込んで、病院全体で看護部の活動を押し上げたい

熊本

島外からの人材確保に力を入れる一方、看護部では、島内から看護師になる方を増やしていくためにも、地元の小中学校での出前授業などで仕事紹介を定期的に行っています。島から人材を育てて、医療の仕事をより理解していただくこともとても大切だと感じています。

福島

これらの活動を含め、看護部からの情報発信をより強化して、短期の応援ナースだけでなく、正職員として入職していただける方を増やすことと、今いる看護師の定着が何よりの目標です。人手不足に悩んでいる病院はどこも同じだと思いますが、人員が増えることで職員に余裕が生まれ、患者さんに対するケアが充実するという、よい循環が生まれます。ゆくゆくは看護職員をジャパンハートなどの海外研修に派遣できるくらいの余裕をもち、教育環境をさらに充実させるのが目標です。そのためにも今は看護部が主導している広報活動に、コメディカルをはじめ病院全体をもっと巻き込んで連携を図っていきたいと思います。

長崎県対馬病院

 

写真:笹井健太郎

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施設名:長崎県病院企業団 長崎県対馬病院
住所:〒817-0322 長崎県対馬市美津島町雞知乙1168-7
開設:2015年
ホームページ:https://www.tsushima-hospital.jp/
公式Instagramはコチラ!https://www.instagram.com/tsushima.nurse/

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