高齢者の在宅復帰やリハビリには、介護施設などで行われるレクリエーションがとても重要だと言われています。しかし、「どんな介護レクが利用者さんに喜んでもらえるのかわからない……」と、困った経験がある人はいませんか? 介護関連の資格のカリキュラムには、介護レクという項目は含まれておらず、詳しく教わった経験のない介護職員さんがほとんど。苦手意識があっても仕方ないことなのかもしれません。毎日の介護レクを探せるサイト「介護レク広場」を運営しているBCC株式会社の皆さまに、介護レクの企画のヒントをお聞きしました。
初回掲載日:2016年12月29日
情報更新日:2023年5月16日
レクリエーションのヒントは利用者さんとの会話の中に
「遊びや体操をやみくもに行っても、実は効果は薄い」
利用者さん一人ひとりにさまざまな趣味があるように、「楽しい」と思うポイントは個々で異なります。こころから楽しんでもらえる介護レクを企画するためには、情報収集が何よりも大切です。
では、実際の例をもとに情報収集のコツを探ってみましょう。
■介護レクの例1■
喫茶レクを通して、次の介護レクのネタを見つける
ある施設では、ご家族も参加できる喫茶レクの企画を月に何度か開催しています。利用者さんがご家族と一緒に、お菓子を囲んでゆったりとした時間を過ごしています。この時間は、単にお茶を楽しむだけでなく、和やかな雰囲気の中で昔話などをおうかがいすることで、介護職員は次の介護レクのヒントとなる情報を探っているのです。例えば、次のようなことを聞いているそうです。
・昔のコレクション
・旅行先の思い出
・好きな食べもの
・好きな音楽
このような話題からは、利用者さんの趣味や好みなどの情報をさまざまな角度から集めることができます。また、ご本人のお話だけでなく、ご家族にもお聞きすることで、介護レクのネタの幅が広がります。例えば、娘さんから「昔、お母さん(ご利用者)に縫ってもらったワンピースがお気に入りだった」という話を引き出せたら、その方は縫い物が得意だったことが想像できますよね。「縫い物のレクにしよう」と、次回につなげることができるでしょう。
介護レクを実施する中で、「今回のレクを楽しめたか」「昔似たようなことをした記憶はないか」といったことをお聞きすることも、よい情報を得るためのコツです。その情報をもとに、次の介護レクの企画を立ててみましょう。
介護職員の趣味や特技を介護レクに生かすのもおすすめ
介護レクの企画を練っているとき、「このレクは本当におもしろいだろうか?」という思いに陥ったことはありませんか? アドバイザーの玉城梨恵さんは、「職員自身がこころから楽しんでいることが伝われば、利用者さんにもきっと楽しんでいただけるはずです」と話します。企画者自身の趣味・特技をもとに、何ができるのかを考えてみましょう。
■介護レクの例2■
車好きの介護職員が考えるレク
車に詳しい職員なら、次のような介護レクが考えられます。
・車のプラモデル制作
・車工場や展示イベントの見学
男性の利用者さんであれば、かつて車を趣味としていた方も少なくありません。きっと楽しんでもらえるはずです。
■介護レクの例3■
料理好きの介護職員が考えるレク
「料理のレクなんて普通すぎる!」と思っていませんか? いいえ、料理ネタは、室内でお菓子や食事をつくるだけでなく、もっと幅広く企画を立てることができるんです。
例えば、
・バスツアーで旬の食べ物狩り
・施設内の畑やプランターでの野菜づくり
・盛り付け用の皿やどんぶりを陶芸で制作
・手打ちうどん、そば打ち体験
・お正月の箸袋の制作
「食事をより楽しむためには?」という視点で介護レクを考えることがポイントです。
介護レクの企画でつまずいてしまう理由のひとつは、初めから完璧なレクを目指そうとしてしまうことです。まずは5~10分程度の短い時間のレクからスタートし、利用者さんと触れ合う中で、「次は何をしたらよいかな?」とヒントを探っていけばよいのです。
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