介護レクに成功している施設からは、利用者さんの介護度が現状よりも軽度になった、認知症の進行がゆるやかになった、といった報告もあります。それだけに、利用者さんには生きがいややりがいを感じてもらえるような介護レクを提供したいものです。毎日の介護レクを探せるサイト「介護レク広場」を運営しているBCC株式会社の皆さまによると、地域や学校などと協力して行う介護レクは、よい方法のひとつだといいます。効果的な介護レクの事例をお聞きしました。
初回掲載日:2016年12月30日
情報更新日:2023年6月7日
地域に貢献できるレクリエーション
特別養護老人ホームや介護付有料老人ホームなどの施設の中には、地域の学校や自治会、企業などと協力してレクリエーションを行っているところもあります。「地域とのつながりを深めていけることも、介護レクのメリットのひとつです」と話すのは、アドバイザーの玉城梨恵さん。
実際にどのようなレクリエーションが行われているのか紹介してもらいました。
■介護レクの例1■
小学生の子どもたちに手さげ袋を制作&販売
働くママが多い地域では、小学生の子どもが使う上履き入れや給食ナプキンの巾着などに困っているご家庭が多くありました。そこである施設では、利用者さんが手づくりの手さげ袋を制作するというレクリエーションを実施。できあがった手さげ袋は、地域への貢献活動の一環として、子どもの夏休みや入学式シーズンに販売も行いました。
すると、ママたちにとても評判で売り上げもよく、かわいい手づくりの袋に子どもたちは大興奮だったそうです。利用者さんにとって、買ってくれた人たちの喜ぶ姿や感想の言葉は、なによりもうれしいもの。「誰かの役に立っている」と思えることは、利用者さんのやりがいにもつながります。介護レクといっても、楽しさを追い求めるだけでなく、こうした何重ものメリットが生み出せるのです。
■介護レクの例2■
100円ショップで思う存分買い物を楽しむ
次に、100円ショップで買い物を自由に楽しむという介護レクをご紹介します。店舗の狭い通路を利用者さんが車いすで移動するのは大変ですが、お店側の協力もあり実現しました。
利用者さんに「ここにあるモノはすべて100円です。何でも自由に買っていいですよ」とお伝えすると、皆さんが目をきらきら輝かせてかごいっぱいに買い物をされました。大型の店舗なら、日用品や文房具などあらゆるジャンルの商品があるので、見ているだけでも楽しいですよね。たくさん買い物をするとストレス解消にもなりますし、多いといっても一人当たり3,000円前後と安価で済むことがほとんどです。店舗にとっては客単価3,000円のお客さんが何人も来て、売り上げにつなげることができます。
介護が必要な方は、一人で自由に買い物をすることが難しいこともあります。かつて何気なくできたことを、高齢になっても同じようにできるということは、利用者さんにとって本当に楽しく、うれしいことなのです。
男性の利用者さんに参加してもらうためには?
介護レクを行ううえでの課題のひとつに「女性の利用者さんに対して、男性の利用者さんは参加率が悪い」ことを挙げる施設も少なくないでしょう。どうやら、料理や裁縫、折り紙、ぬり絵などの介護レクは、男性の利用者さんに興味をもっていただきづらいようです。
男性の利用者さんには、そば打ちや彫刻刀を用いる仏像彫り、日曜大工などが人気です。道具の危険度など、配慮しなければならないことも多いのですが、こうした男性好みのレクリエーションの場をつくってみましょう。
遊び、食事、お出かけ、買い物をはじめ、日常生活にある楽しみすべてが、介護レクになり得ます。新しいことを生み出す必要はまったくありません。高齢者の方々が若い頃に楽しんでいたことや、年をとってしまったからできないとあきらめてしまったことを、楽しめる環境をつくれるように企画を考えてみましょう。
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